読書感想を通じた新人育成|『「時間術のベストセラー100冊」のポイントを1冊にまとめてみた。』で学ぶ時間管理術
新人Tさんの育成にあたり、まずはタスク管理の基本を学んでもらうために『「時間術のベストセラー100冊」のポイントを1冊にまとめてみた。』のエッセンスをまとめた本を渡しました。
この本は、複数のタスクに追われる中で効率的に仕事を進める方法を学べる内容です。
これまでTさんの読書の仕方を見ると「読んで終わり」になっている印象がありました。そこで、読後に感想を具体的に書いてもらい、その内容を基に私からフィードバックを行う形を取り入れました。
今回はそのプロセスと得られた学びをご紹介します。
1.この本を渡した背景と理由
この本を渡した背景は、まず複数のタスクが増えてくると、もはやどのタスクがどうなっているのか本人もわからず、そしてそれが遅れているのかなども全く把握できない、レビュー依頼もない、などのタスク溢れを起こしたためです。
そしてこの本は私自身が読んだ理由ではないのですが、そう言えば昔にビジネス書を読み漁っていた時に仕事のやり方のような本は何冊も読んで、その時に心に残っていたし、今も血肉になっているような、例えば100点でなくても60点や70点を一旦目指して出してフィードバックを受ける、などの方法も含めて載っていたからです。
100冊もあれば、私自身が昔に読んだ本の内容などもこの中に入っているのではないかと思い、仮にTさんがこの中で気に入った1冊があればそれをあとは自分で買って、深堀りをすれば本を自分で探し、自ら学ぶ癖もつくかな、と思ったためです。
気になったことを書いて、としてしまうときりがないので、特に気になった、活用できそうと思ったベスト5を出してもらうことにしました。
2.感想はどんな内容だったか
もらった感想は次のような内容です。そのままではなく、ちょっと要約しています。
A.どの部分が特に参考になったか
特に気になった5点は以下の通り。
完璧を目指すことより、まず終わらせること。
優先順位を決めて行動すること。
いつかではなく今すぐ始めること。
何にどのくらい使っているかを把握すること
マルチタスクをしない。
積み上げ型の仕事の仕方では納期が守れず、後回しのタスクが溜まる問題が明確に。これを受け、働き方を根本から改善する必要を感じた。
B.それを実務にどう活かせそうか
1.タスクの優先順位と迅速な対応
タスクを振られた際に「要件の理解」→「優先順位の設定」→「すぐ実行する or 後で実行する」を実践。
このフィルターを活用し、生産性向上を目指す。
2.大きなタスクの分解
大きなタスクを「情報収集」「ラフスケッチ」など小さなステップに分解。
逆算して所要時間を見積もり、効率的に進める計画を立てます。
3.キリの良いところまでやり切る
作業を中断しない工夫として、タスクを短時間で完了できる単位に分解。
別の業務にスムーズに取り掛かれる体制を作ります。
C.読んでいてわからなかった点やもっと学ぶ必要がある点
疑問点:スケジュール表やタスク管理表の具体的な使い方について。
学ぶべきこと:時間管理が失敗した際の振り返りを通じて、先読み力を向上させる方法をさらに深く学ぶ必要があると感じました。
3.感想を読んでフィードバック
出してもらった感想には、さらなる成長を想い、私からはフィードバックをしました。
1.要件の理解は、より俯瞰して理解する
まずタスクの優先順位を行う最初のステップである「要件の理解」についてです。
理解という言葉は奥が深く、言葉の意味を理解するのではなく、その言葉を発した背景を理解する必要があるという点を、まずはフィードバックしました。
なにかしらの指示・要件が出てくるということは、その指示・要件の背景には必ず、企業が求める売上拡大・収益増大などのより大きな目的や意図が隠れていますので、それを把握してやるかどうかで、そのOutputは大きく変わります。デザインもユーザビリティを向上させるというもののみでなく、Webサイトであれば競合のサービスとの差別化なども関係してきますので、そのような点も気にしていく必要があります。
ロジカルシンキングで言うところの抽象化であり、俯瞰する力、メタ認知能力かなと思います。
そのような背景を毎回、課題を与える人が説明してくれる理由ではないので、それを自分なりに考え、わからなければ聞くということが必要になるよ、という指示が1つ目です。
2.優先順位の設定の前に、タスク分解をする
優先順位を把握する前に、要件を理解したら、そのタスクがどのくらい大きいのか、そしてそのタスクをこなすための適切なタスク分解が必要です、ということを伝えました。
そのためにはタスクの切り口が必要であり、それはロジカルシンキングでいうところの分解になります。
そしてその切り口は経験のみでなく、IT開発プロセス、デザインプロセスなどの様々な過去からの知恵である「知識」が必要となります。様々な切り口は、その人の引き出しです。
引き出しは、経営戦略を始めとして様々な理論もその切り口になるので、これまでITパスポートとかでも習った内容を、うまくこのような実務に活かすように、ということでアドバイスをしました。
4.本書を渡してみて
今回の取り組みを通じて、Tさんがただ本を「読む」から、本を読んで実務において「活用する」へと行動を変え始めたことに手応えを感じています。
本書を通じて学んだタスク管理の考え方は、彼の成長を加速させる土台になるでしょう。これからもフィードバックを重ね、Tさんのさらなる成長をサポートしていきたいと思います。