
いまどこにいても、なにをしていても
昨年秋の入り口の、
日記のようなもの。
* *
何を書こうかと考えたとたんに、何も書けなくなってしまうな。息をするように、手が動くのを眺めるように書けばいいのかな。書いているのはわたしだけれど、わたしが書く様子をすこし離れたところから見るような感じで書けばいいのかな。
いま、耳にあなたの声が入ってきて、わたしの体から汗が出てきたよ。さっきまで体はこわばって、耳も冷たかったのだけれど、ほのかに香る和紅茶のおかげかな。ゆるんだ体からじわーっと汗がにじむのを感じているよ。
両肩がずーんと重たくて、長めの首がもう少し短かったらよかったと思うけれど、世間では細くて長い首というのは憧れの対象らしいんだ。こんな形状なのに書く仕事を選んでしまって、でもそれ以外に選べなかったというのも本当だし、ときどき肩を上げたり下げたり回したりして、なんとかやり過ごしているよ。
それにしても昨日はとてもいい日だった。山の緑と遠くに広がる薄めの青空と、短く切りそろえられた芝生の黄緑。みんなとてもきれいだった。レンガ造りの一軒家のカフェにはところ狭しとビートルズグッズが並んでいて、わたしはジョンとポールとジョージとリンゴに見守られながらClose to youを歌って(ビートルズの曲じゃなくてごめん)、お客さまや仲間たちのあたたかな拍手に包まれながらとてもしあわせだった。交わした笑顔もことばもすべてがあかるくて、こんな日々が、まるで魔法のじゅうたんみたいにわたしを掬い、どこまでも連れていってくれるのかもしれないと思ったよ。
わたしの道を歩めば歩むほどに、わたしはわたしに帰ってゆくような気がするな。どんどんどんどん子どもになって、愛そのものに近づいてゆくような。
あなたはいま、どこで何をしているのかな。あなたがいまどこにいても、何をしていても、心地よく笑っていてくれたらうれしいな。いつもそう思っているよ。

いいなと思ったら応援しよう!
