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花様年華〜19-2. save Yoongi
19-2. save Yoongi
→つづき
ジン、気付いて。
臨床試験は最後の回まで、被験者が無事でいることが一番大事なの。
目的は果たせなくても、ちゃんと現在に戻って過去を受け入れる心の余裕を生み出す。
それが目的なの。
『ジン。私にとってジンは一番大切な存在なんだよ』
ジンの長くきれいな指に触れる。
いつもより少し冷たい。
『僕にとってもヌナが一番大切だよ?』
小さな声で呟くようにジンが答える。
『ヌナと堂々と幸せになりたいんだ』
分かってるよ。
分かってるからこそ、無理をしてほしくないの。
『ジンの体のことを考えて試験時間を延ばすことは賛成できない。...ただリリーフピリオドを短縮することで試験回数を増やしたことは前例がある』
過去に長時間滞在することより、現在での体調を鑑みながらリリーフピリオドを短縮する方が、ジンの体への負担は軽減されるだろう。
『ヌナ...じゃあ...』
ジンの瞳から光が溢れ出る。
もう...
この顔見ちゃったらやるしかないよね...
『明日、東条先輩に話してみる。だけどねっ』
ジンの小さな顔を両手で包み込んで、しっかりと視線を合わせる。
『絶対無理しないでねっ』
『ヌナ...うん...うんっ...ありがとう...』
ジンが私の手を包み込んでくしゃっと笑う。
ずるいよね、かわいすぎるよね。
『ヌナ、大好きだよ』
ジンがゆっくりゆっくり私を抱き寄せる。
少しずつジンに近付く、この瞬間が私の不安を消していく。
私もジンを力いっぱい抱きしめた。
でも足りないんだよ、これじゃ。
早く。
早くジンの全てが私のものになればいいのに。