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花様年華〜18-1. save Jungkook

18-1. save Jungkook

ねぇジン。
隠し事なんてしてほしくない。
ありのまま話してほしいよ。



ジンはタイムリープにより過去でナムジュンと再会し、2人で協力しながら仲間を救い出すことをベースとしたようだ。

次は最年少のジョングクらしい。

2回目の試験では居場所は突き止めたものの、ジョングクの不幸を知らせる電話に出た時点で覚醒したようだった。

その2回目のタイムリープを終えたジンはひどく疲れていたものの、何か確信を得たような自信が瞳から伝わった。

あと一歩。
このあと一歩が、被験者にはごく小さく、容易いと感じてしまうらしい。
その一歩に達するためにリリーフピリオドを切り上げ、家族の反対を押し切って過去へ舞い戻る。
結果、過去で事故を起こしたり、現在へ戻っても家族を失ったりしてしまう。

タイムリープに無理は禁物だ。
自分の心ばかり優先で進めると良いことはない。

『ヌナ、次はきっとジョングクを助けられる。絶対大丈夫だ』

そう話すジンに100%前向きな応援を送れないのは、現在でナムジュンと連絡を取り合っていることをまだ私に話してくれていないからだ。

彼と電話で話しているのを聞いてしまった。
いや、誰と話しているのか気になって、わざわざ席を外したジンを追いかけて盗み聞きしたのだ。

聞かなければ良かった。
疑惑が確信へと変わる時、安堵なんて訪れない。
また別の真っ黒な感情に支配されるだけだ。

3回目の試験を迎え、ジンは意気揚々と過去へと旅立った。



『それでね、ナムジュンと協力してジョングクの居場所を見つけ出して、なんとか一命は取り留めたんだ。ビルの屋上から落ちそうになったところを無理に引っ張り上げたから、ジョングクに怪我させちゃったけど』

『ジン。ジョングクさんを救えたのは本当に良かったと思う。だけどね、今回ジンもケガをしたじゃない?』

先の試験でジンはジョングクの命を救った。

ビルの屋上から飛び降りようとしていたジョングクを引き上げる際、ジンは右腕の腱を傷め、ジョングクを抱えたままコンクリートの地面に強く打ち付けた腕には大きな傷が残った。

『こんなの平気だよ!こっちへ戻ってきたらかなり薄くなってたし、服で隠れる部分だから気にならない。この先、この傷を見るのはヌナだけだよ』

丸い瞳が三日月になる。
ジンは私をからかっているのだ。

『こんな時に冗談言わないで』

私は自分で思うより低く、沈んだ声が出たことに驚いた。

『ジン。ジンが過去に行って、過去を変えたことで未来である今も変わってきてる。今回はジンの体に傷が残るだけで済んだけど、これからもっと危険なことがあるかも知れない。もし過去でジンが...いなくなっちゃったら...』

声が詰まり、涙が出る。
ジンが過去からいなくなれば、その先の未来でジンが現れることはない。
私はジンと出会えなくなるのだ。

『ヌナ。そんなことあり得ないよ。僕がなんのために過去へ行くのか。全てヌナのためなんだよ』

優しい声が私の冷えた心を包んでくれる。
それでも心の芯までは解かせない、根の深い疑心暗鬼に囚われていた。

つづく→

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