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花様年華〜21-1. save Hoseok and Jimin #1
21-1. save Hoseok and Jimin #1
ねぇジン。
人はひとつ手に入れると、心に秘めていた全てを手に入れたくなるんだね。
『ヌナ、ありがとう。僕のためにタイムリープの回数を調整してくれて』
ジンのタイムリープ臨床試験は7回目を迎えた。
体調はすこぶる良好で、精神的にも落ち着いている。
リリーフピリオドを調整し、試験回数を増やすというだけで、ジンのこの安定感だ。
『ジン、いってらっしゃい。決して焦らないでね。時間はたっぷりあるからね』
ジンの手を握り、念を押す。
ジンは黙って頷き、瞳を閉じる。
その美しい瞳で、過去の何を見てきているのだろう。
『被験者No.613、キム・ソクジンさんの正常化確認できました』
東条先輩曰く、「コツを掴んだ」らしいジンは正常化に30分とかからなくなっていた。
意識を過去へ飛ばすことに、なんの迷いも不安もないようだ。
そして試験は何事もなく48時間を迎え、ジンは無事に現在へ戻ってきた。
『ヌナ、ただいま』
今回のタイムリープでは残りの仲間のうち、ホソクとジミンとは顔を合わせることしか出来なかったようだが、ジンはその点について不満も焦りもない。
仲間みんなを救う方法を見つけ出し、救える自信を手にしたのだろう。
『おかえり、ジン』
これ以上、ジンにかける言葉が見つからないのは、ジンがあまりにも清々しく、困難をうまく乗り越えた様な表情をしていたからだ。
ジンの心の中心に【過去】があると気付かない方が難しい。
大丈夫よ。
いいじゃない。
早くみんなを助けて戻ってきてもらえばいいだけ。
全てうまくいく。
絵に描いたようなハッピーエンドにきっとなる。
心に言い聞かせた強がりが、一刻も早く現実になるよう、切に願うだけだ。
つづく→