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「幕が上がる」ということ〜雪のミッドサマーODYSSEY 千秋楽配信感想〜

今年1月、東京国際フォーラムから出航予定だった「ODYSSEY」号は、様々な難しい局面と別れの悲しみを経て、ついにミッドサマー版として再出航し、本日無事に千秋楽まで完走しました。

1月の公演を上演できなかった公演関係者、観劇できなかったファンだけでなく、この数週間、手に入れていた公演チケットが消失してしまった全ての宝塚ファン(私も含め)にとって、今日の「ODYSSEY」千秋楽上演が心の救いになったのではないでしょうか。ものすごいプレッシャーの中、最後までやりきった関係者の皆様には本当に心からの拍手を送りたいです。

さて、今回は本来上演予定だったものから大幅なキャスト変更があった関係で、ものすごく特殊な公演になったような気もしていて、、、
そういう意味でもめちゃめちゃ見応えがあったので、感謝の気持ちを込めて、感想を簡単にまとめておこうと思います。(残念ながら配信しか見られなかったので覚え書き程度ですが悪しからず。)

1.これぞエンタメ!適材適所なノンストップショー


ポスターをみた段階で、我々ファンは一体何が行われるのか?海賊?神様?と混乱し、冬の公演プログラム(彩風咲奈さん演じる美女のシーン等々)発表の時点でもさらに混乱を呼んだ本作品。
蓋を開けてみれば「やりたいこと、見たいシーン、ぜーんぶ詰め込ませてもらいます!!!!」と言わんばかりに野口節炸裂の作品でした。
なんといってもあの、「SUPER VOYAGER!」で、♪腰GUIGUI ♪壁DONDONな野口くんですから覚悟はしていましたが、
まさか「どっせい どっせい オデッセイ!!!」が歌になるなんて、誰が想像したでしょう?これにはきっと望海さんもびっくり。

野口ショーといえば、オタク心を理解しきった配役や、今っぽい(例えるならアイドルのライブっぽい)シーン作りに定評がある訳ですが、今回もまさしく、「あーこの人でこのシーン見たかった〜〜〜」が詰まっていました。

トップスター様、しかもあの咲ちゃんのダルマが見れるなんて??誰が想像した??ついでに朝月希和さんもダルマ披露してたし??てか朝月希和さんって骨ある??腰そりすぎでは??骨ある??(2回目)朝美さんのメフィストフェレスは反則。。中国のシーンの朝美絢さんのビジュアルが優勝しすぎていた件。。誰よりも強い女、縣カルメン千さん。そして、出番の多すぎる眞ノ宮さん、ほっっそ可愛いほっっっそ!!娘役似合いすぎて軽率に恋?かと思いきやイケ散らかしてて??

といったような形で終始興奮しっぱなしでした。

そんな中でも、1幕最後、Twitterでも初日から話題になっていたJazzアレンジの群舞。ここ数年のショーのワンシーンでも特にファンの多い、SV!の「海の見える街」リターンズと噂の通り、彩風咲奈パイセンを中心とした「ダンスの雪組」ならではの、完璧に揃った振り付けと、おしゃれな構成、そして音楽。あのシーンだけでも十分な見応え。すでにまた見たい。

後半では、顔面国宝である朝美絢さんをセンターに置く最強アイドル雪祭男子のコンサート会場へと誘われ、旗ではなくペンライト振ろうかと思いましたし、こういうシーンがあると、他の界隈のファンの方も宝塚にとっつきやすいんじゃないかなあと思います。

オデッセイ号の海賊の話は一体どこに行ってしまったんだと思って見ていると、海賊たちの行き着く先は宝塚だったんですね。わかる、私も世界中を旅した後に、結局宝塚にたどり着く自信あるもんな。海賊とは宝塚ファンのことだったのかも。こういう宝塚らしいシーン入れてくるあたりも理解っているなというか、これが宝塚だよなと再確認してくれる安心感があります。

劇中劇的な感じで『赤と黒』やってるのを見て、「世界中を旅する」というざっくりとしたテーマは、”なんでもアリ”を可能にするためだったのだなと改めて感じましたし、エンタメ性の高い作品作りができる演出家として野口先生は宝塚に必要な存在なのだなと感じました。

唯一残念だったのは以下ツイートの内容。

なかなか全て思い通りとはいかずとも、もう少し見せ場があっても良かったのでは?感。

2.眞ノ宮るい、華世京の大抜擢


そんな今回の作品の一番の衝撃は、ここにきて突如大抜擢された眞ノ宮るいさんの大活躍ではないでしょうか。ここでもはいちゃん、ここでもはいちゃん、次のシーンでもはいちゃん…!!!!
出てくるたびに男女問わず様々な役柄を演じ分けるはいちゃんのあまりの出番の多さに、ラウール(SnowMan)もびっくりの「The time has come」具合でした。そしてどのシーンも期待値を優に超えてくるクオリティの高さ…!!!芸達者な方だとは知っていたけれど、顔が良いのはもちろんのこと、お化粧や表情作りが素晴らしい。速着替えも相当大変だったことと思いますが、今回で相当爪痕を残した感があります。にしても、まさか2回もヒロインシーンがあるなんて知らずに観劇した私は、ジャンヌ(少女)のあまりの美少女っぷりに呆然としていました。すごかった。

そしてもう一人、まだまだ超若手、なんと研3の華世京くん。歌える踊れるメイクも上手い、さすがポスター起用ジェンヌさんなだけありますね。昨年の「ほんものの魔法使」での役が印象的でしたが、今回は男役5番目として大抜擢。雪組の、宝塚の未来だなとしみじみしちゃいます。

そして、この2人の大抜擢の裏には、当初予定されていた超重要キャスト、和希そらさん、綾凰華さんの枠が空いてしまったという経緯がある訳です。通常宝塚の作品は、スターありきでシーンが作られていく訳なので、今回のような”シーンありき”の配役は異例のはず。
二人のことを考えるとただただ胸が苦しいですし、その他出演できなくなってしまった方々を含む幻のキャスティングが見れなかった事実は消えませんが、心にポッカリあいたその隙間を埋めるような若手二人の眩い活躍が本当に救いだったと思います。

3.舞台人にとって「幕が上がる」ことの意味

終演後、トップスター彩風咲奈さんの挨拶は、舞台を引っ張る座長として、いや、このODYSSEY号を率いる船長として本当に素晴らしいものでした。

慎重に、言葉を選びながらゆっくりと紡がれたのは、この作品に再挑戦でき千秋楽を迎えられた感謝や喜びとともに、1月に上演できなかった事実は消えないという内容。
懸命に準備してきた公演を一度も披露できなかった悲しみは、舞台人として相当なものがあるのだと改めて痛感すると共に、仲間とともに作り上げていく中で、タカラジェンヌたちが強い信頼関係の上で舞台を作っているという舞台人としてのプライドをものすごく感じる挨拶でした。

すでに退団済みのあやなちゃん含め、出演できなかった全員の名前を出してはっきりと「思い出は消えない」と言葉にした彩風咲奈さんにもまた、多くのファンが救われたように思います。

何はともあれ、素晴らしい作品にまた一つ出会えたことに感謝するとともに、今回活躍が目立ったスターさんたちの今後の活躍も楽しみです。
これ以上、公演中止の悲しみを味わうことのないよう祈るばかり…

蒼穹の昴のチケット取れるといいな。。。



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