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北海道コンサドーレ札幌 岩政大樹・新監督のサッカー観①【コンサラボpresents】

2024年12月12日。北海道コンサドーレ札幌の新監督に岩政大樹さんが就任することが発表されました。岩政監督は2025年シーズン、いったいどんなサッカーを私たちに見せてくれるのでしょうか。

12/11 監督就任会見

岩政大樹さん
山口県周防大島町生まれ。鹿島、BEC、岡山、東京Uでプレーし、2018年引退。現在は、サッカー指導者。著書に「PITCH LEVEL」、「FOOTBALL INTELLIGENCE」、「FootBall PRINCIPLES」など。文化学園杉並中学高校アドバイザー。

岩政大樹 X @_PITCHLEVEL

今回、岩政さんの「コンサラボ」ゲスト出演回をプレイバックします。来季のコンサドーレの戦い方を探るヒントがあるかもしれません。

なお権利の関係上、配信動画ではJリーグの試合映像を使用することができませんが、こちらには公式動画を埋め込んでいますので、試合映像とともにお楽しみください。


■強烈なゴールの記憶

岩政大樹さんとコンサラボ所長・河合竜二さんは現役時代、横浜Fマリノスと鹿島アントラーズでしのぎを削った間柄。まずはその頃の思い出から…

岩政さん:対戦した時のバチバチ感も思い出されるんですけど、僕的にはやっぱりチャンピオンシップのゴール。あれは僕が新人の2004年だったと思うんですけど、僕がプロになった年。悔しくもあり羨ましくもありで見ていました。その記憶が強いです。

河合所長:岩政さんをマークした時のバチバチ感はかなりあったと思うんですよ。お互い真剣なので。たぶん“ケンカ”もしてますよね…(笑)

■オールコートマンツーマンに挑戦

ーーコンサドーレのサッカーはどう見ていますか?(2020年当時)

岩政さん:キャンプも見に行きました。守備のところで、これまでは後ろで待ち構えた守備が多かったんですが、そこに新しいエッセンスを加える年にして、結果が出ていなくてもチャレンジを続けているなという印象です。

ーー鹿島に対してクラブ史上初めてシーズンダブル(シーズン2勝)を初めて達成した

河合所長:(得点シーン・動画 0:22~)金子選手がしっかりと引っ張ってDFラインを下げさせているんですよね。金子選手の展開が良かったですよね。あれがチーム全体でできるようになると、もっと得点チャンスは増えると思います。

ーー札幌が今シーズン鹿島に2勝できた要因は?

岩政さん:2試合とも素晴らしい内容でした。嚙み合わせの問題で、札幌からすると今年は戦いやすさもあるのかなと。今年の鹿島は新しい監督になってやり方の中でまだ相手を見て立ち位置を変えるとか、少し微調整をするみたいなところがまだあまりないので、それに対して札幌の選手たちがマンマーク気味に付いていくほうが守りやすいほうが多いのかなと。

ーー宮澤キャプテン(当時)も「伝統ある鹿島というビッグクラブにダブルが取れたのはとても自信になった」と話していました

河合所長:ダブルはチームにとって自信になりますよね。次につながる勝利でしたよね。

■ 失点が多い原因

ーー今シーズン(2020年)ここまで失点が多くなっています

岩政さん:ボールを持っている局面持っていない局面、2つの原因があると思います。持っている時には、これは元々ミシャ(ペトロビッチ監督)のサッカーが持っている部分で、途中でボールを奪われた瞬間に立ち位置が整っていない状態で攻められてしまって、ショートカウンター気味に取られてしまう。これがひとつある。

岩政さん:もうひとつは、相手のビルドアップが入った時に、今年は人を捕まえに行く守備にトライしていますが、その練度がまだ上がっていないところと、特性がそこに合っていない選手がいることが失点につながっているのかなと思います。

ーーオールコートマンツーマン、Jリーグでは他に見ない戦術ですよね?

岩政さん:世界でもほとんどないですね。ミシャがやっているマンツーマンは、基本的に誰が余るかが設定されていないんですね。他のチームは、サイドに展開させて逆サイドの選手は余ってますというような、余る選手を作るんですけど、ことしの札幌は余る選手を基本設定していません。

河合所長:明確に誰のマークにに付くのかは分かりやすいけど、ひとつ剝がされてしまうとどうしても後手を踏んでしまう。その辺りのデメリットは失点数に表れているかもしれないですね。

■“確認”の時間がサッカーにはない

岩政さん:(1失点目のシーンを見ながら)外に展開された瞬間に、駒井選手はおそらく安井選手を確認していて、マークは安井選手だと思っています。進藤選手も左後ろにいますけど、古橋選手を担当だと思っています。ただ古橋選手がマイナスの方向に移動した。ディフェンダーは相手がマイナスに移動したからといって付きにいけませんよね。行ったらゴール前が空いちゃうわけですから。なので、この逆の動きをやられてしまうと同時に見るのは難しくなる。

岩政さん:進藤選手はここはカバーに行かなければいけない場面でもあります。そうするとカバーに行った瞬間、誰が浮いた選手を受け持つのかという時に、“確認”をする時間がサッカーにはないんです。これを「危険なスペース」からつかみに行くとマンマークが弱まってきます。ことしは札幌は「人」から、マンマークからつかみにいきましょう、ということをやっていますので、こういう時にどうするかということを埋めていくための練度をどう上げていくかが課題ですね。

岩政さん:ことしは「新しいことをやっていこう」とミシャ監督は言っているので、出てきた課題に違う集中の仕方を作っていこうというよりも、今はまずこのやり方をみんなでやろうよというところに目線が行っているのかなと。それによって起こる失点の多さかなという気はしますね。これをマイナスと捉えるか、次の得るもののための痛みと捉えるかは、捉え方次第という気がします。

■原則は「前で触られないこと」

ーー今年最も多い「CKからの失点」場面を見ていただきます

河合所長:(失点シーン 3:56~)まずはマークの付き方ですよね。背中に付いちゃってるじゃないですか。ゴールと相手ディフェンダーの間に体をれておかないと対応できないですよね。もしニアに入られてしまうんだったら、(アンデルソン・)ロペスに「走ると思うから気にしておいてくれ」と声掛けをしておけばちょっと違ったかなと思いますね。

岩政さん:セットプレーってよく注意・集中と言いますけど、本当にちょっとした差なんですよね。田中(駿汰)選手はちょっと背中側から付こうとしている。であるならば、前がやられやすくなりますよね。それを周りに伝えておかなければいけない。ちょっとしたことですけど、それを中でコミュニケーション取って、どんなことが起こりうるのかということをチーム内で共有して対応することがチームの雰囲気の中にないと、本当に一瞬ですよね、頭一個分前に出されて失点という形になるので。

ーー岩政さんがCKの守備時に気を付けていたことは?

岩政さん:原則はとにかく「相手に前で触られない」こと。相手に前で触られしまうと失点の確率が高いので、前はやられたくない。ただ背中に回られると視野から外れてしまいますから、ここで駆け引きが生まれるわけなんです。

河合所長:難しい所ですよね。CKの時に「前に出てディフェンスする」か、「後ろに下がる」か。岩政さんは前に飛び込むのが上手い選手だった印象。意識していたことは?

岩政さん:「相手の心理を読んで逆を取る」という感じですね。おそらく僕と対戦する相手の選手は、チームからプレーをビデオで見させられているだろうなと想像するわけです。そうすると最近の試合でどういう動きをしていたか思い出して、その動きを再現しようとすると、相手は反応してくれるんです。頭にインプットされているから。

岩政さん:それを利用して、もう一回やりますよと見せて逆を取るとか、1本目はまた今日もやりますよと見せておいて、2本目で変えるとか。これは相手を感じながらですけど。最終的には原則「相手の前を取ること」が大事なので、「前をとるために後ろで騙していく」ことが大事ですね。

ーーそういったプレーを「マリーシア」と言ったりしますよね?

岩政さん:日本語にすると汚いことをやっていると受け取られがちですけど、さっきから言っているかけひき騙し合いのところが「マリーシア」なんですよね。ブラジル人選手達は相手の心理の逆を取ったりすることが非常に上手い。日本だと審判の見えないところで肘うちするとか、そういう風に受け取られることが多いですが、もっと心理戦の意味合いのほうが強い言葉だと思います。

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