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菜の花の季節、畑で小躍りするように
このところ雨がちな瀬戸内地方。
たまの晴れ間に畑でぼーっとするのは最高の贅沢だ。
陽の光を浴びる。体をぐうっと伸ばして深呼吸。おそらく畑の虫たち、植物たちも同じだろう。
みんなで伸びをする。
アブラナ科の植物たちは花芽をつけ始める季節だ。次の世代を残すため、寒い時期に体を作って春に備える。寒さにあたって凍ってしまわないように、アントシアニンを出し赤紫色に染まるものもいて、たくましさに見惚れてしまう。
自然農を実践する先輩方からよく聞いていたのは、白菜の菜の花のはなし。
本来結球する野菜だが、うまく成長できず巻かないまま春を迎えるものもある。
それでも悲観すること勿れ。
白菜の花芽は最高に美味しいのだ、と。
そして、ついにその日が来たのだ、と思う。
胸が高鳴るとはこのことだ。
一番最初に出る花芽がおいしいらしい。
目の前には大株に育った白菜があり、その真ん中から花芽が伸びていて風に揺れている。
生で食べてみる。
あまくて瑞々しい。
歯応えもかなり強い。
蕾ひとつひとつが弾けてあまい香りが広がっていく。苦味はない。甘みの奥に上品な青みを感じる。
ほほう。
これが白菜の花芽ですか。
確かにおいしい。
畑にある他のアブラナ科の花芽も食べてみる。
かぶは甘みと苦味がある。
大根は甘みと苦味、ほのかに辛味も。
それぞれにおいしいと思った。
なんで今まで知らなかったのか。
学校では教えてくれなかったし、大人になってからもそうだった。だれも教えてくれない。
もしかしてこの気持ちは大事にしないといけないんじゃないか?
みんなに知らせなければ、と思う。
冷たい風がひゅーっとふいてきた。
畑に腰をおろすといろいろな音がしている。
鳥の声や風の音。自分の鼓動の高鳴り。
様々な色の花が咲き、虫たちが飛び回る。
そう、春は賑やかだ。