【シリーズ】あるじとしもべのダイアローグ(8):
「しもべゴルァ」
「はいあるじ ひさしぶりですねこのシリーズも」
「シリーズてなんやねん それは知らんけども」
「まあまあ。で、今日はどういったお話で」
「ワイ、ナガサキいうところに連れてこられましたね」
「ええ、我々が今いるところです。長崎」
「ここにきてどれくらいになりましたか」
「えーと帰国が2020年1月ですから…かれこれ1年と10か月ですかね」
「そんなにか」
「そんなにです。いやああっという間ですね」
「あっという間や…アンカラにいたころが懐かしいよ」
「懐かしいですか」
「懐かしいな~ ワイそろそろまたトルコの空気吸いたくなってきた気がする」
「ウソでしょ?」
「…そやな ウソつきました すみません」
「まったくもう笑えない冗談をハハハ もう今トルコに戻っても…ねえ?」
「せやな なんや知らん間に世の中いろいろ変わってしもうてるみたいやから」
「おっしゃるとおりで。まあ諸行無常というべきかどうでしょうか」
「ショギョームジョーとかいうのはようわからんけど、ワイはおまいのことを所業無情と思てるねん」
「ななななにを突然言いがかりを」
「いいやおまいはひどいやつです また動物病院とかいうホラーハウスに連れていきよってに」
「またおしっこに苦労してたみたいでしたからね…もうあるじの振る舞い見てたらすぐわかるようになりました 長年いっしょに暮らしてみるもんですね」
「まあたしかにおしっこしたらおティンティンがイタイイタイにはなってたけども それにしたっておまい ワイが動物病院大嫌いなんわかってておまい 無理やりバッグの中にワイを詰めこんで車でおでかけしていくのはいかがなもんかな!???」
「連れて行かないとどうしようもないでしょ お薬も症状に合わせたものをもらわないと」
「グスン ワイが動物病院でありったけの阿鼻叫喚の鳴き声を叫んでいるのがおまいにはわからへんかったんか このアホボケカス」
「それはもう重々承知の上ですあるじ…心がいたくないしもべなどいましょうか」
「おるやんけ(前足で指さして)」
「またまた~(頭死ぬほどなでて)あるじったら~」
「やかましわ 今そんなんいらんねん おまいのその腕かみちぎりますよ」
「あっ痛い ひどい(怒) もうごはんあげませんよ」
「ごはん…いや~ 市販のドライフード、下部尿路ケアのやつでもあかんかってんなあ」
「病院でそういわれてしまいましたよね…ついに動物病院指定の療養食になってしまいました」
「せやねん えらいもんでワイ、今回の発症の後もう市販の下部尿路ケアのやつ食べんくなったやろ」
「気づきました。びっくりしました。ねこでもそれなりに頭使ってるもんなんだなと」
「おまい、ねこをアホみたいに言うな ネコパンチの刑に処します」
「あっ痛い 痛い だってあるじアホでしょ 毎晩窓にひっついてるヤモリに飛びついてるじゃないですか 窓の向こう側にひっついているんですから捕まえられるはずないのに」
「アホ アレは本能いうやつやないか おまいも人間できれいなおねいさん見たら興奮するやろ それと一緒」
「(んなアホな…)そうですかね?じゃあそういうことにしましょう 我々は要するに… アホな生き物ということでファイナルアンサーでしょうか」
「アホやと思うで おまいなんや、最近ずっと『星の王子さま』とかいうお子様向けの小説集めてるらしいやんけ」
「集めてますね なかなかいい趣味でしょ」
「おまいせやかて、テュルク諸語全部そろう算段ついてんの?」
「…」
「おまいは無駄なことしてるねん だっておまい、あの世にテュルク諸語は持っていかれへんのに どないするねんあの20冊くらい買いためたやつ」
「…」
「それにおまい、ウズベク語訳ゲットするのに5000円以上払ったらしいやんけ で?今度はクルド語のも注文したのはええけど、本の価格より送料のほうが高いとかなって涙目なってたやんけ こんな生きもんをアホといわずしてなんと言うnぐえーーーーーいたいいたいいたいいたい」
「アホ発言を撤回しますか」
「ハイハイハイハイしますしますします」
「わかればよろしい まあいいんです 自己満足ってことは重々承知…そのうちなんかいいことがあるでしょう 確実でこそないが」
「まあええけど、ワイのごはん代大丈夫なの」
「…」
「4キロで7500円とか言うてたな」
「…(号泣)」
「まあワイのためにがんばれや おまいの仕事です」
「…ウッウッ なんとか稼いでいくしかありませんね さしあたっては目の前の仕事をどんどんやっていくしかない…」
「まあお金なんておまい、たいして重要なことやあらへんと思うねん トルコリラでお金もうてんのと違うんやろ?? 日本円、ええやないかいな 安定した通貨やで ワイが言うのもなんやけど」
「…」
「ワイの敬愛するキツネはんも言うとったわ」
「…なんとおっしゃっていたので」
「『大切なものは、目では見えない』いうて」
「…」
「まあでも、ワイにとって大切なものはおまい、ちゅーるですね!ガハハ!!おあとがよろしいようで!!!」
(おあとはまったくよろしくないが次回に続く!)
「ぴの」と一緒に日本に帰ってきて、もうすぐ2年。
あっという間という気もしますが、今年下部尿路に異変を抱え、投薬治療を日本でも経験しまして、それなりに大変ではありますが、回復してしまえば快適な日常を過ごしている模様。この時期は涼しくなってきたこともあり、実家の祖母などに遊んでもらったり、手ごろな寝床を探して家の中をうろうろしていたりと、それなりに快適にすごしてくれているのではないかなと思っています。
ぴのとの生活こそ、私のテュル活の基本。今後とも2匹ともども、よろしくお願いいたします。
(2021年10月27日、しもべ記)
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