【ご恵贈御礼】日高晋介『ニューエクスプレスプラス ウズベク語』(白水社、2024年)はガチのエクスプレスだった
昨日、郵送にて著者氏よりご恵贈賜りました。Katta rahmat!
まだざっくりとではありますが、さっそく拝読いたしました。一通り目を通した個人的な第一印象は、相当がんばって文法項目を詰め込まれたなということです。「ニューエク」でこれだけの内容を詰めたのは相当意欲的というか、1冊でできるだけ多くの内容を伝えようとしたのだろうなという感想を持ちました。著者の日高氏が同意するかどうかはわかりませんが、先般同じくニューエクスプレスプラスシリーズで出版された『タタール語』(櫻間・菱山共著)の影響が大きいのではないか…というのは身内ネタ的な話になりましょうか。余談ですがタタール語のほうも、この1冊でタタール語を余すところなく身に着けてもらう、という超絶野心的な一冊ですよね…。
まあタタール語もテュルク諸語の一冊ということでぜひまだの方は手に取っていただくとしまして。ウズベク語のほうに話を戻しましょう。
あと、全体に目を通した印象としては文法項目の導入順序よりも現地でのウズベク語を用いた実践的な会話を重視した構成なのかなという感想も持ちました。
たとえば自己紹介の会話では、「どこから来たか」を表す表現があるのですが、この「~から」を表す格語尾をいきなり第1課の解説で紹介しているという。そして第1課終了後には、早くも「表現力アップ」「単語力アップ」を登場させており、このくらいは覚えないとウズベク語は身についたといわせんぞ、といわんばかりの鬼畜ぶり学習者を甘えさせない構成になっています(注:あくまで吉村の主観による感想ですので割り引いて読んでください)。その第1課終わりの「単語力アップ」でも、基数詞と序数詞、さらに個数を表す数詞語尾-taを紹介するという。日高先生ヤバいっすパネエっす。自分、真似できない見習いたいっす。
ということで(ということとは?)。
購入後独学でこの本を使ってウズベク語を身に着けようと計画なさっている方に(老婆心ながら)贈る言葉(余計なお世話とも言いますが)としましては、「とにかく本書の全体を通して、ゆっくりでいいから焦らずに身につけていってください」ということでしょうか。あるいは明日にでもウズベキスタンに行かなければならなくなった等、お急ぎの方で「エクスプレス」という文字通りの特急的スピードで1冊完走したいという方は、この1冊を最後までやり終えたら実力確認および復習を兼ねたさらなる勉強のための本という位置づけとして島田志津夫著『大学のウズベク語』(東京外国語大学出版会、2019年)にもぜひ手を出してみましょう。
こちらのほうはキリル文字表記の練習もできるようになっているので、ローマ字表記・キリル文字表記が事実上併用されている現地の実情により配慮したレイアウトになっていますからね。こちらももちろんオススメの一冊です。
しかし、日本でも市販で音声資料付きのウズベク語の教科書が購入できるようになったわけですね。僭越ながら、その点においてはよき時代になったものだなと思います。
私も以前、少しだけウズベク語の教材を作る仕事にかかわったことがありましたが、それも今やはるか昔の話になりました。自分の仕事のときには、個人的にはウズベク語話者の音声資料をいちおう録音させてもらったことはあるのですが、諸般の関係でその音声を公開することはかないませんでしたから。
今や自宅の本棚には、ウズベク語辞書と参照文法を何冊か残すのみになってしまいました。トップの写真はその自分の蔵書の一部をお見せした次第ですが、このリストの中に『ニューエク』が入った感慨というのは、なかなか言葉にできないものがあります。
ここ数年はウズベキスタンもウズベク語も、トルコ語に負けず劣らず(トルコ語もまあまあ人気ありますよね!異論は認めない(血眼))人気があると伺っています。ということでテュル活民の方でウズベク語にはまだ手を出していないというそこのあなた。そう貴方です。日高氏の『ニューエク』、ぜひ手に取ってみましょう。
かつてウズベク語に少しだけですが関心を持っていた一人として、最初の一冊の有力候補として、同書をぜひお薦めいたします。
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