
オレにとっての「1冊目のトルコ語」と長崎のメトロ書店と、白水社課金とかいう現代の沼
おそるべきハッシュタグがTwitterに現れました。そう、このタイトルにもある「白水社課金」。追いかけていくと、言い出しっぺはこの人でした。
シンハりたい!#白水社課金 pic.twitter.com/91LE5VBhmP
— イ・ヒリギ (Lee Hirigi) (@TTAGGGn) March 5, 2021
シンハラ語の語学入門書を購入した喜びをツイートしておられます。
嗚呼。スルーしておけばよかった…。
ツイッターワールドでは、スルーする力ほど重要なものはないことをオレは知っていたはずなのに。耐性がないのであります。
なんだこの不穏なハッシュタグは… #白水社課金 pic.twitter.com/NR9YT011OY
— ウギャーさん(ぴののしもべ) (@uger_san) March 5, 2021
そう…。
何を隠そうこの私は、同社の「言葉のしくみ」シリーズを(旧版のほうだけですが)一応26言語コンプリートしているのです(ドヤ顔)。
え?全部読んだのかって?ハハハおまいは組織のことを知りすぎました🔪
コンプリート、全て自費で購入したわけではありません。実は、出版社のほうから「参考にしてください」ということで、ご好意で5冊ほど御献本賜ったのです。もちろん、「トルコ語」のを書くための参考に、ということで。
ちなみにこのシリーズで、書き手がスゴいと思ったのは、「クロアチア語」です。まあぜひ読んでみてください。恐るべき構想力です…こんなの、自分にはとうてい真似できないわ…
かくして自分は、自分にとっての1冊目の本を出版してもらえることになったわけです。旧版『トルコ語のしくみ』の公刊は2009年のことですから、もう10年以上経ってますね。
この記念すべき自分の1冊目の本を出してくださったのが、何をかくそう白水社。
今思い返しても、なんとありがたいことだったでしょう。それまで執筆の実績がまったくなかった自分のような人間に、絶好の機会を与えてくださったのですから。
それ以前に、白水社には一読者・一学習者として思い入れがありました。
忘れもしない、1996年のちょうど今ぐらいの時期。大阪外国語大学、運良く合格通知をもらって、トルコ語専攻への入学が決まった私は、自宅からバスで1時間のJR長崎駅前南口へ。
今は別のテナントが入っているそのビルは、今も長崎市内では有数の書店の一つたる、メトロ書店の本店がありました。
大阪に行く前に、トルコ語の本ば1冊ぐらいは持っとかんばやろ。
そう思ってはいたものの、当時どんな本が出版されていたのかも全然知らない有様でした。受験に集中していたとはいえ、もうちょっとトルコ語に触れておこうとしなかったものかね?とは思うのですが、これは後づけの思考でしょうね…
ともかく、記念すべき1冊目のトルコ語の本を買えました。それがこれ。以前にもいろんな記事でたびたび言及しましたが。
まさしくトルコ語の教科書!トルコ語そのものの本!
これこそ、私にとっても「1冊目のトルコ語」になるものでした。
出版社はもちろん、白水社。
もちろん迷わず購入して、大阪に行くまでの1ヶ月弱、とにかく読みまくったことでした。唯一、購入当時はCDもついていたわけではなくて、音声はカセットテープ(!)が別売だったと記憶しています。
そちらのほうは残念ながら店頭では売っていなかったので、まあ大学に入ればトルコ語を聴く機会は当然あるだろうから、とかなんとか言っていましたっけね。
結局、その本で親切にカナ書きで「ナッスルスヌス」と発音が書かれていた想像でのNasılsınız?(トルコ語で「お元気ですか?」の意)の発音は、大阪外大で勉強を開始して早々「全然ちがうやん!!」と思ったのでしたが、それも今はよき思い出となりました。
実際、この『エクスプレス』は1年次のある授業で実際に授業での教科書として採用されたので、事前に何回も読んでいた自分にとっては大変ありがたい成績が取れたことも思い出します(O澤先生その節はありがとうございます。ご無沙汰しております。元気です)。
教える側になることが多い今、改めて語学書として見返すのであれば、日本語のカナ書きで外国語の発音を説明するのは、本来なら御法度としたいところなのです。
それでも、最初に発音が難しいといってつまずかないようにという出版社なりの配慮との兼ね合いで、苦渋の選択なのだろうな。自分の『しくみ』の本を書くときも、編集の方とそんなやりとりをしたように記憶しています。
🧿🧿🧿🧿🧿🧿🧿🧿🧿🧿🧿
さて、今やいろいろな言語の入門書を探す時に、まずあたってみるのがこの白水社のラインナップではないでしょうか。
そうして検索してみた時に、『ニューエクスプレス (あるいは、ニューエクスプレス プラス)』シリーズのこの壮観たること。
「にぎやかな外国語の世界」という秀逸なフレーズの生みの親は、語学界では知らぬものはいない(たぶん)黒田龍之助氏ではなかったかと思いますが、これをもっともそれらしく表現している出版社こそ、白水社ではないかと思うのです。
実際、ほかに思い浮かばないでしょう(たとえば大学書林も多様な言語を扱ってはいますが、手軽に入手できる価格帯の本は多くないですよね…)。
この理由ただ1点において、と私はツイッターの例の不穏なハッシュタグを見ながら思うのであります。
白水社よ永遠なれ、と。そして、
沼に入ってしまう語学徒たちよ、お前もか(オレもだ)、と。
#白水社課金 という楽しそうなタグがあると知ったので、皆さんに本質情報を。
— 浜尻六彁 (はまじり ろっか) (@qlocka) March 5, 2021
白水社サイトによると、2021年3月初頭の時点で、ニューエクスプレスプラスの発刊済み単行本は54冊、税抜で総計159,300円。
言葉のしくみシリーズは単行本26冊、税抜総計41,900円です。20万円少々で買える幸せがここに!
お読みいただき、ありがとうございます。この記事は投げ銭制で、どなたも全文読めるようにしてあります。どうぞよろしくお願いいたします。
ここから先は
¥ 100
記事を最後まで読んでいただき、ありがとうございます。Çox təşəkkür edirəm! よろしければ、ぜひサポートお願いいたします!いただいたぶんは、記事更新、また取材・調査のための活動資金に充てさせていただきます。