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人を大切にしたいと思うには、少しの距離が大切なのかもしれない


本は、純文学、ミステリー、新書をメインに、いろんなジャンルを幅広く読んでいます。…読んでいるつもりです。
好きな作家さん(敬称略)は、太宰治、小野寺史宜、若竹七海、大崎梢、村山早紀、谷瑞恵、中山七里、北山猛邦、むんこ、今村夏子、、、他多数。やはりミステリー作家多めです。
好きな作品、シリーズも多数。こちらはまた別のnoteで書きたいと思います。

最近読んだエッセイ2冊

そんな小説読書が多い私ですが、最近、立て続けにエッセイを読みました。どちらも人に対する優しさを感じるものでした。一冊は家族、もう一冊は家族のような他人。

1冊は、「家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった」(岸田奈美・コルクスタジオ)



もう1冊は、「阿佐ヶ谷姉妹ののほほんふたり暮らし」(阿佐ヶ谷姉妹・幻冬舎文庫)


対照的だな、と思ったのは、岸田さんは内容が面白かったこと、阿佐ヶ谷姉妹さんは、日常の紹介の仕方が面白かったな、さすがお笑い芸人さんだなと思いました。

お笑い芸人の本ばかり読んでいます?

阿佐ヶ谷姉妹さんは、コンビお笑い芸人さんです。お顔がそっくりで姉妹に見えますが、りっぱな他人。
最近お笑い芸人兼近さんの本を取り上げたばかりなので、お笑い芸人の本ばかり読んでるのか?と思われそうですね。
ばかり、ではないです!が、お笑いも好きなので、お笑い芸人さんの本見かけると手にとってます。エッセイなら、ハライチ岩井さん、かもしだセブンさん。シソンヌじろうさんの、OL一人日記のような小説も素晴らしかった。これまた別途noteにします。


「家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった」

岸田奈美さん、今まで読んだエッセイの中でいっちばん良かったです。

またこのタイトルがすごく良いですよね。身近に居た大好きな人たちが、たまたま社会的に見れば家族という括りだった。家族じゃなくても、きっとこの人達が好きだった。そんなようなニュアンスが含まれているような気がします。
家族だから愛さなきゃいけないのか、と苦しむ人にも、救いの一行になりそうだなぁと思いました。

突然死した鬼籍の父、大病で下半身不随になった母、ダウン症の弟。そして、筆者の奈美さんで4人家族です。
この字面だけ見たら、すごく大変そうな生活を送ったんだろうな…と、そればかり考えてしまいます。
でも、岸田さんのエッセイはそんな心配とは真逆の、とても明るくて面白いお話ばかり。
面白い家族を自慢したくてエッセイを書かれた、とのこと。本当に、それ、伝わってきます。

車椅子生活のお母様の目線から見た、他人の優しさや、お母様自身の心の強さに、心打たれほろっと泣いてしまうお話もいくつかありました。

ダウン症に接することのない人が(私もそうです)、その文字から連想する「生活にたくさんサポートがいるんだろうな」という想像は、一瞬で砕け散ります。
弟くん、心がイケメン。優しくて、思いやりがあって、しっかりしています。ぜひ本編でご確認ください。


「阿佐ヶ谷姉妹ののほほんふたり暮らし」

岸田さんのエッセイと、日常を描いている、ということでは一緒なのですが、本当に近所のおばさまの生活を覗いているよう。
近所からのおかずのおすそ分けをたくさんいただいただの、同居のいびきがうるさいだの、ハプニングや大きな事故などもありません。でも、エピソードの紹介の仕方、それに対する反応の表現の面白さ。やはり表に立たれる方の表現力はすごいです。

このお二人、とてもそっくりで本当に姉妹に見えてしまうのですが、実際は他人。でも、家族を超えた絆が見えます。だって他人同士で6畳1間で生活を数年間。どんなに忍耐のある人だって、人間同士合う部分がなければ難しいと思います。

それぞれが執筆された短編小説もそれぞれ1編ずつ入っていて、こちらも良かったです。
ミホさんのは現実と創造が混じり合い、全て本当の話に見えてしまうような日常小説。
エリコさんは、深夜のおっとりした恋愛ドラマを見ているような、ドキドキがありました。


人との距離が、人に優しくするコツなのかもしれない

2作品の共通点「大好きな人だけど、距離は必要」ということ。
※ 岸田さんの作品については、TV取材での発言も参考にしています。

阿佐ヶ谷日記では、家族ではない他人が、家族のようにお互いを思いやり生活しています。
落ち込んでいる姉を励ますため、自分は苦手でも姉の好物を作るなど、本物の家族のような思いやりでした。
しかし、妹のミホさんは常時一緒にいることがマイナスに働いてしまうこともあったようで。「きらいではないが、(一緒にいる時間が)多い」と、姉と一緒にいる時間を調節し、一人の時間を作ることで二人の共同生活をうまく運営していました。

岸田さんも、タイトルからわかるようにとても家族を愛していらっしゃる様子が伝わります。兄弟や家族で旅行に行ったり、家族のピンチの際には、一緒になってピンチを乗り越えようと声をかけあったり。
人から大切にされた人だけが、人を大切にできる、とお母様が呟かれるシーンがあります。
そして、後のインタビューで、四六時中一緒にいるのではなく、相手に優しくできる距離を探ることが大切と話していました。


八方美人と言われても、誰へも優しい気持ちを持っていたい

私の友人で、とても思いやりのある子がいます。
元々優しい子でしたが、営業職を通して、思いやり力に磨きがかかっていました。
私が、この話を聞いて欲しいな、と思うときに、話しやすいように振ってくれたり、意見や思いを話すときに、欲しい言葉をくれたり。
遊びにきてくれるときの手土産、結婚時のお祝いの言葉。彼女の対応は、私にとって嬉しいものばかりでした。

私は両親が年齢を重ねてから生まれた一人っ子なので、自分勝手と気づかず、当たり前のように自分勝手に振る舞ってしまうときがあります。
人と一緒に生きていく社会の中で、私と接触を持ってくれている、夫をはじめ、同僚、友達、もちろん家族、親戚。
全員に思いやりを持ち、優しい人でありたいな、と日々思いながら生活しています。

人によって、今この人から大切にされているな、とか、この人は優しい人なんだな、と思うのは、接する方法によって様々だと思います。
その人がされて嬉しいことは、人によってばらばらですから、
目の前に居る人を助けてあげたいと思うけど、どんな言葉をかけたら、私が大切に思っているということが伝わるのかどうか、
日々考えながら行動しています。

まだまだ修行中です。


先日、勇気を持ってお子様連れのお母様に声をかけました。
地方都市ですがなかなかの人口数なので、犯罪的な面から、他人から声をかけられる事に不安を抱かれてしまうかな・・・とも思いつつ、それでも見過ごせなくてかけました。
駅の出口の階段の途中で、お子さまとお話をされていて、傍らにはベビーカーがありました。もしかして、階段を上がれずお困りなのでは?と思ったのです。
その出口は、途中までエスカレーターがあるのですが、その同じ距離ぐらい階段が続き、エレベーターも近くにありませんでした。
お困りでしたらお手伝いしましょうか、と声をかけました。ご主人が来てくださるとのことでしたので、立ち去りました。
困ってはいなかったので、良かったです。

私は子どももまだ居ないので、お子様連れでベビーカーがある状態が、どのくらい大変なのかがわかりません。結構勇気いりました。
駅だったので、ベビーカーで電車に乗って来られたのだと思います。ベビーカーは幅もとりますし、段差上げるのも大変だったろうし…。もしかしたら肩身の狭い思いをしたかもしれません。

お母様に、子育ての味方は、実はちらほら居るんだよ、ということが伝わったら、いいなぁ。


参考動画


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