心理カウンセラーのまなざし|相手を理解するために、必要な視点
✽ バナー画像は、愛するスピッツへのオマージュです。
➡︎ 言動の不一致に目を向ける
✎_解 説
心理カウンセリングの現場では、さまざまな視点から相談者を理解しようと試みます。それを専門用語で、
『心理的な見立て』
と呼びます。
この心理的な見立てには、心理テストやNLPはもちろん、カウンセラー自身の感覚を研ぎ澄ませることが必要です。その中から、比較的日常生活でも役に立つ視点をひとつ、ご紹介します。それは、
「言っていることとやっていることが違う場合、やっていることがその人の本質に近い」
というものです。
『言葉』で嘘をつくのは、簡単です。『話し言葉』よりも『書き言葉』の方が、より簡単になります。SNSが良い例です。
場合によっては、嘘をつき続けることもできます。言葉だけでなく、『行動』で嘘をつくこともできます。たとえば、
作り笑いとか。笑。
でも、"行動で嘘をつき続けること"は、"言葉で嘘をつき続けること"に比べると、とても難しいことです。たとえば、
トイレを我慢し続けるとか。笑。
この背景には生物学的な背景があり、実証されています。そこまで話すとごちゃごちゃしてしまうので、今回は、割愛します。
人と接していて、理由は分からないけど「?」と感じることが多い場合、このような視点から相手を理解してみると、腑に落ちることがあります。SNSなどのインターネット上で『書き言葉(文字言語)』が中心となる場面では、特に、当てはまることがあるかとおもいます。
ここに、スパイスとして個人的な味付けを、少々、加えます。どんなスパイスかと言うと、
「私たちは多かれ少なかれ、この、矛盾を孕んだ存在」
というスパイスです。
私たちの、こころも、からだも、考えも、気持ちも、夢も、希望も、愛も、数学のように割り切れるものではありません。割り切れるのは、概念上だけのことです。どれも、実の世界では、決して、割り切れることはありません。「割り切れる」とおもうのは、錯覚です。
どんなに素晴らしい理論や哲学にしても、この錯覚から逃れることはできません。
この矛盾、もっとも抱えているのが、私たちの『こころ』です。ですから、私たち人間自体が矛盾を抱えている存在だと言えます。
この矛盾は、矛盾したこころを抱えた人間同士の関わり、つまり、対人関係にも及びます。
矛盾を抱えた家族。
矛盾を抱えた家族が住む矛盾を抱えた地域。
矛盾を抱えた地域がある矛盾を抱えた都市。
矛盾を抱えた都市がある矛盾を抱えた国。
矛盾を抱えた国が集まったこの星。
それは、矛盾を抱えたひとつとの宇宙へと続いていきます。
ですので、わたしたちの抱える矛盾はこのような入子構造、つまり、フラクタル構造になっていることがわかります。
ごちゃごちゃとお話ししましたので、ちょっと、分かりにくいところがあったかもしれません。ここまでを、わたしの言葉で簡単にまとめると、
矛盾は、雪の結晶のようなもの
ということになります。
では、視点を、もう一度、対人関係に戻します。すると、相手の言動の不一致は、自分の言動の不一致と共鳴、共振します。これは、つまり、
相手の言動の不一致の奥にある矛盾は、自分の中にもある
ということです。この矛盾を、忌み嫌ってしまえば、話はそこで終わりです。けれど、この矛盾と向き合い、付き合ってみると、それは、自他(のこころ)のより深い理解へと繋がります。
こんな風に考えると、ひと段階上の視点から、自分がどうするべきかが見えてくるのではないでしょうか。
種明かしをすると、これは、普段、心理カウンセリングの現場で、わたしが行なっているこころの営みです。ひと言でいえば、
『共感』
というものです。この『共感』は、何も特殊な能力ではありません。超能力でもなければ、宇宙人に連れ去られたときに与えられた力でもありません。笑。
元々、私たちの中に備わっている力です。
でも、私たちの社会は、都市は、教育は、その能力を衰退させます。心理カウンセラーとしてのわたしの共感力というのは、その弱くなった力を、自分のこころと向き合いながら取り戻す過程にある、とも言うことができます。
今回は、心理カウンセラーの立場から、こんな小噺を披露させていただきました。
みなさんの大切な『命という名の時間』を使って、さいごまでお読みいただきありがとうございます。
みなさんのこころを支えるすこし、になれば幸いです。
✎_心理カウンセラーU
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