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【瞑想登山】マインドフルネス登山におすすめの関東の山

登山とマインドフルネス。
「登山をしているといつの間にか雑念が消え去り、瞑想状態にダイブする」という現象で、登山好きな人は誰しも経験している感覚だ。だからこそ、古くから山岳修行にも用いられて来た。

僕は「本物の瞑想」を行ったことはないので偉そうに語ることは憚られるが、登山で得られる不思議な自己認識の精神状態が「マインドフルネス」と呼ばれるものと近しいのであれば、とても好きな状態であり、それこそが僕が山に登る理由でもある。

コルク佐渡島さんとYAMAP春山さんの対談記事にもその記述があり、佐渡島さんが「初心者でもマインドフルネスしやすい山を知りたい」と話されていたのを思い出したので改めて書いてみることにした。

「こういう風に登ったら、しっかりとマインドフルネスの状態になれる」とか、「この山は、こういうポイントでマインドフルネスになりやすい」とか、教えてもらえるのであれば、すごく興味を持ちます。

初心者におすすめのマインドフルネス山は「鍋割山」

ズバリ、僕が1番瞑想状態に入り込みやすい山は「鍋割山」。神奈川県秦野市にある、丹沢山系の1つで、標高は1272m。
※初心者向けとはいえ、登山をまったくやったことない人にとっては1人で登頂するのはそこそこハードなのでご注意ください。

本格的な登山装備を持っていなくても、底が厚めでグリップが効くソールのランニングシューズと、時速8kmぐらいで5kmは余裕で走れるぐらいの体力がある人なら大丈夫です。でも、体力がない人でもゆっくり登れば全然登頂できます。

鍋割山が瞑想登山におすすめの理由

おすすめの理由①:アクセスが良い

鍋割山の登山口は、丹沢の表玄関「大倉バス停」。小田急渋沢駅からバスで15分ぐらいで到着するので、都内からでも気軽に行ける。新宿からロマンスカーに乗って秦野で乗り換えるのがベストなルート。

渋沢駅に着いたら北口に下り、2番バス乗り場から「大倉行き」に乗車する。

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大倉バス停。鍋割山だけでなく塔ノ岳にもアクセスできる丹沢の表玄関。戸川公園もあり、バーベキューやキャンプもできる丹沢アウトドアの聖地である。

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バス停を降りたら登山前に「登山者カード」を記入しポストに投函することを忘れずに!

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バス停を背にまっすぐ行くと鍋割山、右に曲がると塔ノ岳だ。

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おすすめの理由②:導入行程がしっかりとできる

対談記事内で春山さんも話されているが、瞑想状態に没頭できるかどうかは最初の1時間にかかっている。

特に、最初の1時間は都会のあくが抜けきっていないので、無になるまで時間がかかります。それを抜けると気持ちよさに変わっていきます。

この最初の1時間の「都会のあく抜き」を僕は「導入行程」と呼んでおり、初心者にはこの時間がとても大切だ。瞑想のプロならいきなり導入行程をすっ飛ばしてマインドフルネスになれるかもしれないが、瞑想初心者はこの行程がしっかり確保できないと登山をしても「ただの激しい運動」で終わってしまうからだ。

で、この行程に必要なのが「長く広く平坦な道」である。登山口からいきなり急登がはじまる奥多摩のような山は、悶々とした雑念を引っ張り出す間もなく頭が真っ白になってしまい、エクササイズとしては手っ取り早いのだがマインドフルネス状態にはなかなか至れない。加えて、いきなり激しい運動をはじめてしまうと体もまだ脂肪燃焼モードに切り替わっておらず、めちゃくちゃバテることとなってしまう。雑念を全て吐き出し、脂肪燃焼モードに体が切り替わるのがちょうどこの「1時間」なのだ。

で、鍋割山は最初の1時間〜2時間、ほぼ平坦に近い林道を延々と歩くコースとなっており、導入行程を行うにはピッタリだ。さらに最高なことに、林道でもあるため道が広くとても歩きやすい。

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しばらく歩くと1時間ちょいで小丸ルートを登ることができる「二俣分岐」に到着するが、まだ導入行程が足りない人はまっすぐ進んで後沢乗越ルートへ向かおう。登りの展望は小丸ルートの方が開けているため、景色を楽しみたい人はここから小丸へ登るのもおすすめだ。

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この導入行程で、自分の心に秘められた雑念をすべて引っ張り出す。やり方は簡単で、スマホを機内モードにしてポケットにしまい(どちらにしても歩きはじめるとすぐ圏外になるのでバッテリー消費を抑えるため機内モードに切り替えるのがおすすめ)、何も考えず、ただひたすら、歩くだけだ。

「そんなの山じゃなくても公園とかでできるじゃないか」と思うかもしれないが、街で暮らしているとこの「1、2時間ただひたすら歩く」という単純な行為がいかに難しいかを思い知らされる。街では常に通行人や車や自転車が通り過ぎるため、長時間ぼーっと歩くことはできない。信号も気にしないといけないし、道も複雑だし、LINEも来るし、ついついスマホを見てしまう。景色もどんどん変わるので目に入ってくる情報量もめちゃくちゃ多い。

しかしこの鍋割山の長い林道は基本的に景色がほとんど変わらない広い道がひたすら続くので、情報量と危険が少なく「ぼーっと1、2時間歩く」が可能な数少ないコースなのだ。

雑念を引っ張り出すのに「何も考えずに歩く」とはいかがなものか?と思うかもしれないが、心配無用だ。長時間景色があまり変わらない道を延々と歩いていると、何も考えるつもりはなくとも、次から次へと自動的に雑念が浮かんでくる。今抱えている不安ごとだったり、人間関係の悩みや恨み、傷ついたことや後悔していること。ポイントは、この次から次へと浮かんでは消える雑念を無理に取り払おうとせずに傍に立って俯瞰すること。

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人は自分が思っているよりも、はるかにたくさんの声を心の奥底に封じ込めている。導入行程で生じるさまざまなありのままの雑念を素直に受け入れて眺めていると、ふと「あ、本当はこれが悔しかったのか」などと思いもよらなかった自分の本音に辿り着けることがある。とても感動的な瞬間だ。

おすすめの理由③:急登が短い

さて、こうして導入行程が終わるとようやく本格的な上り坂に突入する。

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この車(おそらく山荘の方の車)が目印だ。林道はようやくここで終わり、橋を渡ると本格的な急登が姿を現す。

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登山に慣れていないと、「え、ここからまだ登るの?しかも急!!きっつ!!!」と、このいきなり始まる急登に面食らうのだが、むしろ鍋割山はここからがようやく本番開始で、600mぐらいを一気に登り上がる。しかしそれも1時間ぐらいの辛抱だ。

奥多摩の山などはこのレベルの急登が開始からいきなり2時間以上続くので夏に登ると地獄を味わうこととなるが、アップ後の1時間と割り切れば全然耐えられる。バテそうになったらこまめに休憩しつつ(座ってしまうと立てなくなるので、立ったままの5分休憩がおすすめ)、ゆっくりゆっくり、一歩一歩、着実に登ろう。大丈夫、絶対に登れる。

全集中。山の呼吸

で、導入行程で出会ったさまざまな雑念が、この急登に集中しているといつの間にか消え去っている。同時に体も脂肪燃焼モードに入ってテンションが上がってくるため、「もっと上りたい!もっとキツい坂を!!もっとちょうだい!!!」と全集中「山の呼吸」ゾーンに入ってめちゃくちゃ心地よくなる。足の裏に感じる山の感触と自分の境目が曖昧になり、山の一部になったような感覚。ここがいわゆるマインドフルネス状態なのかな?と僕は捉えている。

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ソーラーパネルが見えたらもうゴールはすぐそこだ。

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おすすめの理由④:山頂で食べる鍋焼きうどんが美味しい

1000m級にある山荘で、凝った料理を食べられることはほとんどない。調理環境の厳しさや物資補給の都合、生モノの保存問題などから、カレーやラーメンなど簡素なものが定番となっている中、鍋割山は「山頂で美味しい鍋焼きうどんが食べられる」ことで有名である。

この日は特に登山者が多く、みんな鍋焼きうどん狙いだったのか山荘は大行列!鍋割山はたくさん登ってるが、こんなにうどんに並んでるのを見るのは初めて。

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しばらく見たところ30分ぐらい並べば鍋焼きうどんを食べられそうだったが、僕は断念して下山することにした。うどんはまた今度。

上りは後沢乗越ルート、下りは小丸ルートがおすすめ

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さ、下りだ。よく登山は「上りも下りもキツい」と言われるが、僕としては「上りはキツく、下りは危ない」という印象。下りは上りに比べたら体力的には全然キツくないが、急登の下りの場合は特に危ない。どこに足をかけるか悩むような岩場が多く、気を抜くと滑ったり木の根に足を引っ掛けて転んだりしてしまう。上りの場合は転んでも前のめりに倒れるので手や顔が汚れるだけで済むが、下りで転んでしまうと滑落するリスクもある。ただでさえ疲労が溜まってきていて下りはボーッとしてしまうので、足場をしっかり確認して一歩一歩踏みしめながら下りよう。

来た道をピストンでそのまま戻るより、帰りは小丸ルートか下りるのがおすすめだ。登山者も少なく、景色は抜群。鍋割山の山頂よりも小丸の方がだいぶ眺望が良い。

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雪化粧の富士山!今年はコロナで登れなかったが来年は登るぞ!!

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南側には相模湾。この季節になると江ノ島までくっきり見える。

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小丸から二俣に下り、そこから大倉まで来た道を戻る。5時間でフィニッシュ!16km、消費カロリー1700kcal。

締めは温泉で昇天して明日へ向かう

登山と温泉は切っても切り離せない。下山後に疲れた体を癒すために入る温泉は格別だ。なんとしてでも温泉に入らねばならない。

帰りに寄れる温泉では「鶴巻温泉駅」の「弘法の里湯」がおすすめ。一旦バスで渋沢駅まで戻り、そこから小田急線の上り列車に乗って3駅。

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そして駅から徒歩3分ぐらいのところに「弘法の里湯」がある。

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入湯料は1000円。シンプルなつくりの温泉だが、サウナもあるし、建物が綺麗でとても清潔感があり食堂のメニューも美味しく、大好きな施設だ。

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以上、鍋割山で瞑想登山のススメでした。

鍋割山は初めてソロ登山に挑戦した思い出深い山で、一番たくさん登ってるかもしれない。

今後も悩んだら鍋割山に登る。鍋割山がある限り、僕はまた歩き出せる。

ありがとう鍋割山!


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