「くれなずめ」を見て
アマプラ映画感想日記第10弾。
今回見たのはこちら。
松居大悟監督による2021年公開の日本映画。
「人間は2度死ぬ」ってよく言いますよね。
1度目は肉体が滅んだとき、2度目は人々の記憶から消え去ったとき。
この映画を見て、この言葉を思い出しました。
高校時代の仲良し6人組が、12年後、友人の結婚式で再会して一緒に余興を披露し、二次会までの「ビミョーな待ち時間」の間、過去の思い出を振り返りながらあの頃に戻ったかのように馬鹿やってる、というのがこの映画のメインとなるシーンです。
自分も同じぐらいの歳ですが、変わらないんですよね。
同じように結婚式とかで集まっても結局会話の終着地点は当時の話。
ノリも変わんない。でもみんなどっかで大人になってて、「何やってんだろ」って俯瞰で見てしまう瞬間がある。
そんな微妙な違和感をこの6人組はみんな持ってて、絶妙に描かれています。
ちょっとナヨナヨしてて真面目な吉尾(成田凌)、強面だけど意外と打たれ弱い明石(若葉竜也)、切れ者で世渡りのうまい欽一(高良健吾)、カタギでおっさんっぽいネジ(目次立樹)、お調子者の後輩ソース(浜野謙太)、現代人で手厳しいことも言う後輩大成(藤原季節)。
俳優陣は豪華ですが、この作品ではオーラゼロ。
高校時代イケてないグループで、黒歴史を引きずっているのを感じさせます。
トイレで手洗いながら語る場面、落としたお菓子を拾う場面、いろんな場面から過去の思い出が蘇り、過去のシーンと現代(結婚式の2次会前)のシーンを往還していきます。
ただ昔を振り返りながらバカやってる映画のように見えますが、6人のうちの1人があるセリフを放ってから一気に見方が変わってきます。
過去を「引きずっている」ように見えました。
「ハッキリさせようとすんなよ。引きずることから逃げんじゃねえよ。いつもみたいにヘラヘラしようよ」
このセリフに、「引きずることの美学」を垣間見ました。
そこから先のシーンは、痛々しくもあり、バカバカしくもあり、切なくもあり、尊くもあり。
終盤は正直言って超絶展開ですが、そんなシーンを登場させることからも、「必死に引きずっている」感が伝わってきます。
そんなにすぐにハッキリさせなくていい。
「曖昧さ」を大事にしていこうと思う映画でした。