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2018年鑑賞録

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劇場、試写会、Netflix・Amazonなどの配信、有料チャンネルなどで観た映画・海外ドラマの備忘録 in 2018
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2018年映画ベスト10 プラスα

2018年映画ベスト10を考えてみました。順位ではなくベストと思う10本。次点もそれほど変わりなかったりします。サントラベストと海外ドラマも出しました。 ●『スリー・ビルボード』赦しや優しさは連鎖・伝播していく(その逆もまたしかり)。そんな今日的テーマで周到に作り込み、巧みな俳優たちで力強く描き出した人間愛に溢れた傑作。 ●『君の名前で僕を呼んで』ティモシー・シャラメという奇跡のものすごさを、ラストシーンで確信しました。 ●『レディ・バード』おそらく沁みない人には1ミリ

『アイ・フィール・プリティ!』平成最後に贈るエンパワーメントMOVIE? 公開中

原題:I FEEL PRETTY ★★★★☆ まず、なぜにこのUS版ポスターが、いつもこうなってしまうのか。 『ピッチ・パーフェクト ラストステージ』などもそうでしたが、キラキラピンクにするのもうやめません? ティザーの段階でも、基本構図は同じでもラブコメ/プリティはイコール、ピンクという価値観がありますね。 確かにカワイイけれどもさ、あまりにも画一的、短絡的ではないでしょうか。 そんな中、「ちょうどいいブスのススメ」という原作本がもてはやされ、同名ドラマが誕生す

『斬、』真剣で人を斬ることに、真正面から向き合う。池松×蒼井×塚本の共鳴 公開中

英題:Zan, ★★★★☆4.5 塚本晋也監督による『野火』から地続きの“反戦”へのメッセージを込めた時代劇。 真剣を打つキン、キンという鋭い音が響くオープニングからして、チャンバラ活劇とは一線を画すつくり。 『斬る、』の「斬」とは、残酷や無惨の「ざん」という気がします。 役者たちが学ぶ斬るための「殺陣」とは、殺りくのための備えとも書きます。あるいは、ひとしきりの殺し合い。 斬るとは殺すためのもの。その世界を描いています。 観ている間はしんどい部分もありました

Netflix『アウトロー・キング~スコットランドの英雄』クリパがすべてさらけ出す!ただ、GoTを知る者としては… 配信中

原題:Outlaw King ★★★★☆ Netflix映画で、ずいぶん前に観たけれども書いていなかったので。 14世紀、スコットランド独立戦争下、伝説的英雄ロバート1世となるロバート・ブルースをクリス・パインが演じた歴史スペクタクル。 クリパが、かなりの力を入れて演じております。 血みどろ。 性描写ももりだくさん。クリパもすべてをさらけ出します。 切るべきところはバッサリ、アッサリとカットするメリハリの効いた構成、もの足りないといえばもの足りないのですが、壮

Netflix『バード・ボックス』“○○したら終わり”Ver.のサバイバル、視覚編 配信中

原題:BIRD BOX  ★★★★☆4.5 『スピード』で大ブレイクしたサンドラ・ブロックが、約四半世紀たった今、たったひとりで2人の子どもを抱え、目隠し状態で川も下る! 森を駆ける! ただ、生き抜くために!  「いい、これから言うことは死なないために大事なことなんだからね、絶対守るって言いなさいっ」 語弊があるかもしれませんが、終始そんな調子のお母さんなのです。 『未来を生きる僕たちへ』『セリーナ 炎の女』「ナイト・マネジャー」などのスサンネ・ビアが、ジョシュ・

『メアリーの総て』フランケンシュタインの「F」はフェミニズムの「F」 公開中

原題:MARY SHELLEY  ★★★★☆4.8 名作「フランケンシュタイン」の世にも恐ろしい、哀しき怪物を生み出したのは“18歳の若い女性”だった。その作家メアリー・シェリーを、現在の若手女優で最も才能と魅力にあふれるひとり、エル・ファニングが熱演します。 夜に眠れず、白昼夢のような空想の中でひたすらペンを走らせていた可憐な少女は、尊敬する父に捨てられたように感じていたところで、“異端の天才”といわれる妻子ある詩人パーシー・シェリーと出会い、駆け落ち。 しかし、

『ROMA/ローマ』どこか懐かしい、もの悲しさと優しさの余韻…。 Netflix配信中

原題:ROMA ★★★★★+ 祝!アカデミー賞10部門ノミネート! ヴェネチア映画祭で金獅子賞を獲得し、現在もいたるところで絶賛され、アカデミー賞では作品賞、監督賞ほか10部門にノミネートされた、『ゼロ・グラビティ』『トゥモロー・ワールド』のアルフォンソ・キュアロン監督最新作。 昨年の東京国際映画祭で、スクリーンで目にした方が本当にうらやましい! タイトルのROMAとは、もちろんイタリアのそれではなく、メキシコシティにある町の名前。本作はキュアロン監督自身の幼少期

『ファースト・マン』D・チャゼルの偏執ぶり炸裂(しすぎ?)。IMAXで観る月とクレア・フォイは最高。 2019年2月8日(金)公開

原題:First Man ★★★★☆ ライアン・ゴズリングがデイミアン・チャゼル監督との再タッグで、月面に降り立った最初の男に。IMAX必須案件。臨場感がものすごく、ブリキの箱で宇宙に行くってこういうことなのか、と手に汗。私は乗り物酔いしやすいので若干、酔いました。 資料を見てまずハッとしたのが、ルイ・アームストロングたちが月へ行ったときよりも遥かに優れたコンピュータが、今、あなたのポケットに入っている、という言葉。(昨日は繋がらなくなったけれども!) そんな、スマ

『ボーダーライン:ソルジャーズ・デイ』愛のままに、わがままに、僕は君だけを傷つけないデル・トロ  公開中

原題:Sicario: Day of the Soldado ★★★★★ FBI捜査官のエミリー・ブラントと同じ目線になって、国境地帯で展開する無法の麻薬戦争の真っ直中に投げ込まれた『ボーダーライン』(15)の続編。 もはやボーダーラインというよりも、原題の「暗殺者・ヒットマン」のストーリー。しかも今回は、容赦のない国境麻薬戦争に否応なしに巻き込まれていく子どもたちの登場とベネチオ・デル・トロ扮する元検事の暗殺者との関係が軸となっております。 巻き込まれた少年、少女

『Merry Christmas!~ロンドンに奇跡を起こした男~』こんなダン・スティーヴンスが観たかった!プラマーさんも最高 公開中

原題:The Man Who Invented Christmas ★★★★☆3.8 原題は「クリスマスを発明した男」で、名作「クリスマス・キャロル」の誕生秘話を描いたちょっぴりダークさもあるファンタジー。「クリスマス・キャロル」を書いたころのチャールズ・ディケンズを演じるのはダン・スティーヴンス! そして彼が生み出した有名なキャラクター、スクルージを演じるのはクリストファー・プラマー! ディケンズに創作の芽を与えた父親には「ゲーム・オブ・スローンズ」ハイスパローこ

『ライ麦畑で出会ったら』受け入れられない喪失を抱いて。 公開中

原題:Coming Through the Rye(2015) ★★★★☆  青春小説の金字塔、J.D.サリンジャー著「ライ麦畑でつかまえて」に触発され、あの主人公のホールデンはまさに自分だと、ならば、この小説を演劇にして自分が演じようと考えたジェイミー(アレックス・ウルフ)という高校生が主人公。 彼は原作者のサリンジャーに脚色の許可を得るため、隠遁生活を送るサリンジャー探しの旅に出ます。演劇サークルを通じて出会った他校の女の子ディーディーと一緒に。 ジェイミーにと

『ファンタスティック・ビーストと黒い魔法使いの誕生』真の物語は、ここから始まる 11/23(金・祝)~公開

原題:Fantastic Beasts: The Crimes of Grindelwald ★★★★★ 「ハリー・ポッター」から連なる魔法ワールドははるかにパワーアップ。 しかし、いっそうダークに。 友情に恋愛、兄弟愛、師弟愛、さまざまな絆が試されます。 唯一無二の魔法ファンタジーにすぐさま没入今回もあっという間に、この世界に入り込めます。 それって本当にすごいことで。 現実とのボーダーをひょいと超えて魔法ファンタジーに誘うかと思えば、すぐさま現実世界にも十分

『生きてるだけで、愛。』女優・趣里に魅せられて… 11/9(金)~公開中

★★★★☆ 「ブラックペアン」の猫ちゃん。「邪魔っ」が口グセの二宮和也演じる天才外科医につくオペナース、キレ者じゃなきゃできませんよ。そんな猫田役が印象的だった趣里さん。某朝ドラ若手女優を、若干くってしまった感もある猫ちゃんが、とても好きでした。 あと、松岡茉優『勝手にふるえてろ』のドール風なカフェ店員さんも。 本作では、体は小柄、か細いのに、骨太の演技で暴れまわります。 すごい人が出てきた! と圧倒されます。 その奥には、自分自身に対する投影があるようにも思え

『スマホを落としただけなのに』サイドストーリーというのか、表裏一体の“彼ら”こそ必見! 公開中

★★★☆☆3.8 本当にもう、ただ、スマホを落としただけなのに、あんなこと、こんなことに巻き込まれちゃうなんてねぇ。 同時期に『search/サーチ』の公開もある中、映画としてのダイナミクスはやはりハリウッドには叶わないとは思いますが、 『リング』の中田秀夫監督と現代日本のスマホ社会、SNS社会が結びつけば、こうなるのか~というところ。 北川景子とのLINEでのイチャイチャのやりとりが、田中圭がスマホを落としてから一変するのです。 実は、あるキャストたちの熱演がとても