幕が下りた
なんとなく、終わりを感じた。
電車の中で、短編小説を読んでいた時のことだった。
その情景が浮かんできたのもあるが、人に見られないように涙を拭うため、
ふと車窓を見た瞬間だった。
「終わったな」
確かに、今日の午前中の仕事は終わった。
だが、今日は私にとって節目の日だと感じた。
夏生まれの私が、夏の終わりを感じのは、夏生まれ以外の人よりも感慨深いのかも
しれない。
でも、私にはわかっている。
私にとっての、人生第2幕が下りようとしていることを。
そして、同時に人生の第3幕が上がろうとしていることも。
全ては計画した通りだったのかもしれないが、計画したわけではないような気もしている。
でも、ちゃんと私の心は吹っ切れた感を感じていて、達成感と充実感でいっぱいで、
何一つ思い残すことがないことを知っている。
まるで3年前に大きな別れを経験した時のように。
今までもそうだった。
戦略など考えずに、目の前のことを一生懸命やっているうちに、ちゃんと次のステージが
用意され、ちゃんと幕が下り、次の幕が上がってきた。
回想録を書いて以来、自分の運の強さを一ミリも疑わなくなり、不安が消えたが、
やっぱり私は運がいい、ちゃんと目の前にやりたいことが現れるのだ、と、知っていた答えを
確認したような気分だ。
毎年9月は私にとっては、新たな始まりだと思っているが、今年は、2023年は確かに
新たな始まり。
毎年一つは新しいことに挑戦すると決めてから、20年近くが経つが、今年も新しいことに
挑戦しようとしている。
人生はやっぱり面白い。
息子の死も、
お金が足りなくてスーパーの買い物かごから商品を戻した経験も、
大失恋したことも、
解雇されたことも、
起業後、自律神経失調症になりかけたことも、
薬アレルギーで蕁麻疹が全身に出たことも、
(あれも今考えれば、ストレスがマックスだったのに、それに気づかずに仕事をしていた結果だ)
朝9時から夜22時までほとんど休憩も取らずに、レッスンをしてきたことも、
年間150講演以上行っていたことも、
全て良い経験であり、人生第二幕で私が経験するべきことだったのだと思う。
ただ、一方で子供の頃の自分とは違う人生だった気もしている。
だからこそ、第3幕は、子供の頃の自分に戻る、をテーマに走っていこうと思っている。
ただただ無邪気に。
ただただ純粋に。
新たな幕が上がるのが、楽しみで仕方がない。