いつもと違う時間の流れ方
先日、あるカフェに行った。
カフェといっても予約制で、目の前で和菓子を作ってくださるのを見ることができるという、特別なカフェ、というよりお茶席だ。
決して広くはないカウンター席。
席数はわずか四つ。
壁、天井はすべて黒。
カウンターは白木作りで、職人さんの制服は白。
使う道具は銀色。
お皿は黒と白。
茶器は白。
ライトは、天井にある数個の小さな暖色系のスポットライトのみ。
BGMはない。
職人さんの和菓子を作る美しく無駄のない姿と、その技に見惚れ、
香りを堪能し、
食べては感動し、
お茶を飲んで整える。
それをしばし繰り返しながら、
時に職人さんと、時に一緒に行った人との会話を
楽しんだ。
時々訪れる沈黙さえも心地よく、
黒に包まれたシェルターの中にいるような気分になる。
音のない空間で、黒に包まれ、
スマホも見ないでいると、制限時間90分がとても長く感じた。
余計なものに邪魔されない時間は、こんなにも濃く、深く、充実してい
ものなのだと、時間の流れ方の違いを感じた。
和の世界は、歴史と伝統、静なる美しさを魅せてくれる。
その背景にある「禅」にも通じるような美しさが、日本人としての
DNAに深く響いた気がした。
あのような空間を作り、
あのような時間を1日のうち一回でも持つことで、
人生をもっと濃いものにできる気がした。
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