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四季折々の旅の記憶【旅の匂い】

日本が本当に素晴らしい国だと思うことのひとつは、四季折々の自然の豊かさだ。

四季は様々な景色を見せてくれると同時に、様々な匂いを私達に感じさせてくれる。

春の旅の匂いは、萌える新緑の匂い

春に田舎へ旅すると、一斉に芽吹く草の匂いを感じることが出来る。

子供の頃は普段の生活に存在していた草の匂いだけど

都会がコンクリートジャングルになった今では、車を少し走らせて田舎へ出かけないと感じられなくなってしまった。

夏の旅の匂いは、南の島の匂い

夏休みに家族で行った南の島の匂いは、どこかトロピカルな記憶。

見たこともないフルーツの匂い。確かドラゴンフルーツって言ってたっけ?
そして、食堂で食べたヤギは本当に独特な匂いだった。

南の島の写真を見ると、時間がゆったりと流れていたあの島の映像とともに食べ物の匂いがたくさん蘇ってくる。

秋の旅の匂いは、落ち葉の匂い

木々が赤や黄色に色づくこの季節は、山を旅するとよい。

真っ赤に燃えた森に踏み入ると、ふかふかの落ち葉のじゅうたんが発する土の匂いが鼻を付く。

落ち葉の間をよく見てみよう。ひょっとしたら、キノコが顔を覗かせているかも知れない。

キノコも秋を代表する香りだ。

キノコの話をしてたら、なんだか食べたくなってきた。今年の秋は、山あいの温泉旅館へ出かけてキノコや山菜を愉しもう。

そして、冬の旅の匂いは

子ども達が小さな頃は、冬になると広島や北海道へスキーに出かけていた。スキー場の空気はいつも乾いていて、キラキラと輝いていた。

雪に匂いはないのだけど、スキーには匂いの思い出がある。

板に塗るワックスの匂い

ウェアに塗る防水スプレーの匂い

そして、リフトの潤滑油の匂い

どれも化学的な匂いなのだが、それは私にとって冬の旅の匂い。

旅の思い出は映像として残っているが、同時に匂いも記憶の引き出しに閉まってあるので、同じ匂いを嗅いだ時、匂いがきっかけとなって、懐かしい思い出が一気に溢れ出てくることがある。

技術の進歩で、映像は脳の外へデータとして残せるようになったが、匂いはそうはいかない。

ひょっとしたら匂いもデータとして残せる時代がやってくるかも知れないが、恐らく私が生きている間での実現は無理だろうから、匂いの記憶だけはいつまでも忘れずに持っていたい。



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ケンタロウ
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