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小4娘との水泳練習で得た学びの備忘録
こんにちは。今日も元気に人材育成・組織開発をやっているうえむらです。夏も終わりに差し掛かり、公園から聞こえてくる声がセミが鈴虫に変わる日も増えてきました。本記事では小4娘と共に水泳練習に取り組むなかで私が学んだことを書いていきます。
水泳の授業に一度しか出席しなかった一学期
妻から話を聞いたのは6月末。授業を見学したいと言っている姿は私も見たことがあったものの、ボイコットに近い状況になっていることを知り「さすがに何かしなければ…」という雰囲気が家庭内に漂っていました。
ひとまず娘に話を聞いてみたところ以下のような答えが返ってきました。
まったく泳げないし泳ぎたくない
友達や先生に笑われたことが恥ずかしい
周りに迷惑をかけてしまうのも嫌だ
実際の状況を見ることはできないためどこまでが事実なのかを把握することは難しいものの、少なくとも本人の認識については理解することができました。話してくれてありがとう。
妻は娘が授業に出るきっかけをあの手この手で模索していたようですが、すでに手は尽くした模様。「授業は休んでいいよ。その代わり夏休みにパパと水泳練習をすること」という約束をするのが精一杯だったと共有を受けました。実はパパも泳げないけど頑張ろう!
序盤の目標設定は大人が一緒にプロセスを歩むとうまくいく
練習を継続するためには動機づけが重要です。動機づけは外発的動機づけ、内発的動機づけに分けられます。ある程度練習を継続することを踏まえるとできれば内発的動機に火を付けたいところ。自分がどうなりたいかを明らかにすると共に、目標に落とし込むことでやるべきことが見えてきます。ということでさっそく娘との会話を試みました。
私「まずは練習を通じてどうなりたいかを明確にしよう」
娘「どうなりたいって…どういうこと!?」
私「夏休みにパパと練習して、どんなことができるようになりたい?」
娘「うーん…あんまり思いつかない。みんなの前で恥ずかしくなければそれでいいよ。」
私「どれくらい泳げれば恥ずかしくないんだろう?」
娘「分からない!!とにかく練習するの!!」
ー完ー
理想から逆算する目標設定は失敗に終わりましたが「みんなの前で恥ずかしいと思う気持ち」が中心にあることを確認することができました。裏を返せば、本人がプールにおいて恥ずかしくないと思える状況を一緒に作っていくことが重要ということ。そのためにも、高い理想を掲げるのではなく小さな一歩をどこに置くかを娘と一緒に考えることにしました。
私「何はともあれ一度練習してみよう。でもその前に、せっかくだから一緒にYoutubeで泳ぎ方についての動画を見てみない?」
娘「Youtube?いいね、面白そう。どんなのがあるの?」
私「まずはバタ足の練習とかいいんじゃないかな。これとかどう?」
娘「うーん、ちょっと分かりにくい。他にはないの?」
私「いっぱいあるよ。色々見てみよう。」
結果的に本人が興味を持った動画を題材に簡易的な練習メニューをつくり、「バタ足の基本動作を習得する」という目標を設定した上で初回練習に臨むことになりました。
このエピソードから私が学んだことは、目標設定のプロセスを本人任せにせず、大人が足場をつくりながら一緒に歩むことが有効という点です。自信のない状況で目標を設定することは想像以上に難しいことであり、下手をするとこの時点で心が折れてしまうもの。「これならできるかも」「やってみたいかも」と思える目標に辿り着くまで寄り添うことが重要だということを学びました。
フィードバックは細かい動作について具体的に提供すると効果的
初回の練習では水に慣れつつバタ足の練習をすることになりました。まずはプールサイドでバタ足をしてもらい、私はその様子を観察しました。
娘「どう?できてる?」
私「全体的には良い感じなんじゃないかな。」
娘「どうすればもっと上手くなるの?」
私「Youtubeの動画では足首を伸ばすことが大事って言ってたね。足首は今どうなってる?」
娘「足首のこと考えてなかった。こうかな?」
私「(足首を手で伸ばしつつ)こんな感じなのかなー」
娘「わかった!やってみる」
私「さっきより足首が伸びてるよ。その調子!」
このような形で動画で紹介されていたポイントをひとつずつ点検し、良いとされる動作に近づけるように具体的なフィードバックをタイムリーに提供していきました。
具体的なフィードバックの効果として、できないことができるようになる実感を育むことができる点に加え、本人が「できているかどうか分からない」状態から抜け出すことができる点が挙げられます。フィードバックと身体感覚を組み合わせることで、できている状態とできていない状態の見分けをつけられるようになり、望ましい動作に自ら向かうことができるようになるという効果がありそうです。
安心感を得ることで次のステップに進むことができる
水中でバタ足の練習をするときのこと。私はせっかちなところがあり、娘にとってはハードルの高いビート板を使った練習を提案していました。
私「次はビート板を使って練習してみようか?」
娘「うーん、まだちょっと自信ないかな」
私「じゃあ水の中で壁に手をつけて練習するのはどう?」
娘「それならできるかも」
私「じゃあやってみようか」
壁に手をつけた練習とフィードバックをしばらく繰り返していると、今度は娘の方から「ビート板で練習したい」と言ってきました。安心することで次のステップに進もうという意欲が湧いたようでした。
また別の機会では、練習メニュー後にプールでおんぶしてほしいとお願いされました。小4にもなっておんぶ姿を周りに見られるのは恥ずかしいのではと思いましたが、実際にやってみると周囲の目を気にすることもなく安心感に包まれている様子。しばらくおんぶしていると自然とまた練習に戻る流れができ、自ら反復練習に向かっていく様子が見られました。
同じ課題に取り組む姿勢を観察させることで学びが発生する
娘の水泳練習をする傍ら、私自身も自らの水泳に対する苦手意識を払しょくすべく、クロールの練習に励んでいました。
娘「パパは何の練習してるの?」
私「クロールの息継ぎをやってるんだよ。上手くいかなくて」
娘「ふーん。息継ぎのコツとかあるの?」
私「伸びてる方の手をまくらにして、首を真横に曲げるんだって」
娘「へー。じゃあ私が見てるからやってみて」
私「わかった。やってみるね」
娘「(水中で観察) 最後まで手がまくらになってないよ」
私「(手を回すのが早すぎるのかな) なるほど、もう一回やってみるね」
娘「(水中で観察) 今度は上手くできてたと思う!」
この時私の動きを観察することで得た学びを、後に娘自身の息継ぎ練習でも役立てている様子が見受けられました。当初は挑戦する背中を見せることで「パパも頑張ってるから私も頑張る」という効果を狙ってのことだったのですが、それ以上に観察することから得られる学びの大きさに後から気づきました。
練習を振り返る機会を持つことで自ら目標に向かうようになる
夏休みといえば自由研究。例年親子そろってテーマ探しに明け暮れる8月ですが、今年は娘から「水泳について書きたい」という提案がありました。
私「じゃあ、まずはここまでの練習を振り返ってみようか。」
娘「何をしたのか覚えてないよ。」
私「練習後にメモを取ってたから大丈夫。これを見れば思い出せるんじゃない?」
娘「ほんとだ!水に潜ってブクブクパッってやってたなあ」
私「そうだね。ブクブクパッの練習は何でやってたんだっけ?」
娘「なんで?えーっと、息継ぎの練習のため!」
私「そのとおり!他の練習も何でやってたのか順番に考えてみよう」
これまでの練習内容とその目的を言語化していくことで、娘の頭の中で水泳練習の全体像が整理されていく様子を伺うことができました。また練習前に動画で見た動作やコツが実際に泳いでみた際に上手くいったかどうかや、自分が難しかったと体感したことを言語化することで、より具体的に振り返りができているように見受けられました。
このような振り返りをするなかで、娘から驚くべき提案がありました。
娘「パパ、私ね、クロールで25m泳げるようになりたい」
目標を定めることをあれだけ嫌がっていた娘ですが、このときは自分から具体的な目標を宣言してきたのです。これには驚きました。恐らくですが、振り返りをしたことでこれまでの練習の道筋が明確になったことや、自分ができるようになったことを自己認識したことにより、今後どうなりたいかを具体的にイメージできるようになったのだと思います。
自ら目標に向かうようになった後の成長曲線は半端じゃない
振り返りによって目標が明確になったことで、娘の水泳練習に対する姿勢は前のめりになっていきました。
私「じゃあ次はビート板つきのクロールで10m泳いでみようか」
娘「わかった!やってみる。(泳ぐ) できたー!」
私「すごい!じゃあ今のをもう一回やってみよう」
娘「いいけど、もう少し長く泳げるかも?」
私「ほんとに?じゃあ15mにしてみようか」
娘「わかった!私はできる、私はできる。」
結果的に、ビート板つきではあるものの、クロールで足をつかずに25m泳ぐという目標をわずか2回の練習で達成してしまいました。またビート板を使わずに泳いだ場合にも25mプールの半分ほどを泳ぐことができるようになり、本人は「たぶん次はビート板なしで25mいけるね」と自信をにじませていました。これには本当に驚きました。
(追記) 娘の宣言通り、次回練習にてビート板を使わずにクロールで25m泳ぐことができました。ほんと凄い。
これまでは同じ練習メニューを飽きがくるまで反復し続けてから次のメニューに進んでいたのですが、目標にコミットするようになってからは不確実な状況でも次の練習メニューに自らチャレンジする場面が増えたように思います。そして、私の想像を超える速度でチャレンジをクリアしていくようになりました。目標を本気で達成したいという願いが自らを目標に引き寄せ、結果的に成長が引き出されていく様を間近で見せつけられたような気がしました。
おわりに
本記事では小4娘との水泳練習から得た学びを備忘録として書き起こしました。スイミングスクールのように正解となる動作を教えることは私にはできませんが、娘の自発性を引き出しつつ、上達する過程を支援できたのではないかと思います。
最後に大事なことを娘に確認してみました。
私「みんなの前で恥ずかしくなければいいって最初に言ってたけど、今はどうなったの?」
娘「恥ずかしくないっていうか、普通に楽しいからもう大丈夫!それよりもっと速く泳げるようになりたいかな。」
私「じゃあ夏休みが終わっても練習を続けよっか?」
娘「うん、続ける!」
当初は水泳の授業に際して「みんなの前で恥ずかしいと思う気持ち」が中心にあった娘でしたが、この夏を経て景色が変わったようです。これで来年については一安心。あとは私自身の水泳が上達すれば大団円となりますが、それはまた別のお話…。
それでは、また。
うえむら(@Uemura_HR)