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【教室内カースト(鈴木翔/解説 本田由紀)】うえこーの書評#88

 この本を読むと、高校までのクラスの独特な空気を思い出し、しんどくなった。私自身、いじめられた経験はないが、ずっとカースト下位で自分の意見をクラスで言う経験をほとんどしないまま過ごした。今から思い返すととても小さな世界だが、その当時は学校以外の居場所もなく私の悩みの大部分を占めていた。

 本書は、スクールカースト研究の先駆けとなる本で、アンケート結果からその性質がよくまとめられている。学生のアンケートからスクールカーストの順位は一度決まると変わることはほとんどない、そして、クラスの運営は上位層の生徒によって行われているということなど、私の実感にも合う結果だった。

 一方で意外だったのが、教師側のアンケート結果だった。著者が行ったインタビューによれば、教師の上位層にたいする評価は良いのに対して、下位層に対してはあまり良くない印象を持っているようだ。インタビューの中には「下位層は人生損してる」と思う教師もいた。たしかに、上位層は人当たりがよく、話し方も巧みないわゆる「コミュ力の高い」人たちだ。たいして、下位層は話すのが苦手で、自分をだせない「コミュ障」が多い。そうするとどうしても教師は上位層と話す機会が多くなり、印象も良くなるのだろう。だが、あくまで小中高の12年間のクラスの中だけの評価だけで生徒を評価しないでほしいし、ましてや「人生損してる」と言うのはやめてほしい。あくまで、クラスで馴染めなかっただけで他の場所では輝く場合も十分ありうる。

 現在、スクールカーストでしんどい思いをしている人に言いたいのは著者も書いている通り、あくまで「期間限定」の関係であるということだ。そして、しんどかったら学校に行く必要もない。高校卒業の証明だけほしければ、高認があるし、フリースクールの考え方も発刊当初より広まっている。また、学校以外の居場所を作ることも良いいだろう。世界の見え方が広がることで、絶対化されていたクラスでの人間関係が些細な問題に思えてくるはずだ。

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