UXデザイナーがプロダクト設計をスムーズに推進するためのいくつかの心得
メンバーズでUXデザイナーとして仕事をする中で、デザインの対象が「WEBやアプリ」のプロダクトになることがあります。いくつかのプロダクトを担当する中で、プロダクト設計を推進するための自分なりのやり方がなんとなく定まってきたので、まとめてみようと思います。
※ここでは「設計」という言葉で、HCD-Netの認定制度のコンピタンスでいうところのA5(ユーザー体験の提案・構想能力)〜A10(デザイン仕様作成能力)あたりを指しています。
心得1:カタチにする事を恐れない
ここでいうカタチとは画面デザインに限らない。ペルソナ、カスタマージャーニーマップ(As-Is or To-Be)、ユーザーストーリーマップ等、ユーザー像や体験などでもOK。
何かしらカタチにすることで議論が進む。カタチがあると議論の焦点が定まり、何を議論して何を決めればいいのかがはっきりする。また、同じ言葉で話していたとしても頭の中で想像しているものは全然違うことはよくある。
「しっかり準備して100%のものを出す」のは諦める。50%でいいから出して、議論とF/Bを受けながら完成させていく。その方が早いし、関係者の合意も得られるし、なにより、よりよいものが作れる。
会議の中で一緒につくる。なんでもかんでも持ち帰らず、重要なポイントや自分の理解が十分でない部分があれば、その場でカタチを変える。
心得2:「課題」と「解決策」は常に分離し続けるべし
課題と解決策はよく混同される。今のフェーズでは、課題を深ぼるのか、解決策を出すのか、常に意識してプロセスや会議をコントロールする。
解決策を出すのが好きな人はけっこう多いから、課題の検討フェーズで解決策の話が出がち。まず、その発言は課題についてなのか解決策についてなのか(それ以外なのか)を見極める。解決策の話なら、その人がどんな課題を解決するためにその解決策を持ち出したのかを確認する
心得3:プロダクトはプロダクトマネージャーのもの
UXデザイナーとプロダクトマネージャーで意見が異なった場合、議論が尽くされているなら最終決定権はプロダクトマネージャーにある。
UXデザイナーは、そのプロダクトのユーザーにとっての価値とその提供方法を考えるのが主な役割。一方で、プロダクトについて最終的な責任を負うのがプロダクトマネージャー。責任のあるところに最終決定権がある。
UXデザイナーは、プロダクトマネージャーがプロダクトに愛着を持ち、また自信をもって判断ができるように伴走していく。
プロダクトマネージャーがユーザーに接し、ユーザーを理解し、プロダクトマネージャーの心の中にユーザーが存在している状態を作りだすのもUXデザイナーの役割。
心得4:アウトプットの「解像度」とお友だちになるべし
プロダクト設計の各フェーズのアウトプットには解像度がある。例えば、旅行サービスのカスタマージャーニーマップであれば、
解像度低:調べる→比較する→予約する→旅行に行く
解像度高:日付を入力する→行き先を入力する→ペット可で絞る→検索結果を見る…
解像度は高ければいいというわけではない。その時の議論の進捗によって最適なレベルがある。メッシがボールをコントロールするかの如く、UXデザイナーは解像度を自在にコントロールしなくてはいけない。
設計における各プロセスの解像度は、タイミングを見計らいながら、全体をゆっくり上げていく。漫画家がまずは頭の中の構想をネームに落とすように。画家が木炭で下絵から描きはじめるように。彫刻家が大まかな形から切り出すように。
あるプロセスが100%になったら次のプロセスに進む、というのはできない。なぜなら、あるプロセスが100%になったかどうかは、次のプロセスのアウトプットが出せるかどうかで判断されるから。各アウトプットの解像度は、並行してあげていく。
心得5:「不要な機能」はない。「優先度の低い機能」があるだけ。
解決策(機能や画面)について議論をしていると、アイデアがたくさん出てくる。その時に、「いらない機能」のアイデアが出てきることはあまりない。どのアイデアも「あったらいい」と思えるもの。
問題は優先度。限られた開発リソースと、次々と出てくる課題・アイデアの中で、どの機能が実装すれば最も高い価値をユーザーに提供できるのか。UXデザイナーは、メンバーに常にそれを問いかけ続ける。
ということで、ふだん無意識で考えていることを言葉にしてみました!
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