カールズバーグのキャッチフレーズ”Probably the Best Beer in the World"について思う(2)
(カバー写真引用元:dailymail.co.uk)
Probably Not the Best Beer in the World
(恐らく世界でベストのビールなんかじゃない)
2019年、カールバーグ社は突然、これまで自社が発売していたオリジナルビールに持ち続けてきた自信を撤回しました。Probably the Best Beer in the Worldに”Not”を挿入しProbably Not the Best Beer in the Worldのキャンペーンです。
このキャンペーンは単なる広告プロモーションではありませんでした。何故なら広告コピーだけが変わったのではなくビールそのものの製造法、味を変えるというビジネス上の大きな決断でした。
名前をカールスバーグ・デニッシュ・ピルスナーと改め、レシピも改良。度数は3.8%のままで下がよりコクのある味わいのビールに仕立て上げたのです。
このキャンペーンが面白かったのはソーシャルメディアなどに投稿された多数のカールズバーグへの悪口を紹介してみせたことです。
おそらく世界で一番おいしいラガーです。かつてはそうだったが、今はどうだろう?おそらくそうではないでしょう。どこかで道を踏み外したのです。曰く、
「カールスバーグは古くなったパンの棒のような味がする」
「猫の○○みたいだ」
「いや、悪魔の腐った○○」
と言ったひどいレビューです。その上で、
おそらく世界で一番おいしいラガーでした。かつてはそうだったが、今はどうだろう?おそらくそうではないでしょう。どこかで道を踏み外したのです。
と認めました。そしてこう結びます。
質ではなく量を醸造することに集中した。最高ではなく、最も安いもののひとつになった。だから、そのために必要なことはひとつしかなかった。もっといいビールをつくらなければならなかった。頭からホップまで完全に作り直した、新しいカールスバーグです。
冒頭のキャッチフレーズには続く言葉がありました
So We've Changed.
だから変えたんだ。(かつては)世界でベストのビールだった。でももうそうではない。だから変えたんだ。
カッコよくないですか。そして実際に製造ラインまで変更したわけですから、マーケティングにはトップマネジメントのビジネス上の大きな決断が必要となることがあるということです。そしてプロモーションがそれに続いた。大好きな事例です。
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