フリーランス新法 完全解説シリーズ【第3回】トラブル事例と実践的な対応策

こんにちは。最終回となる今回は、実際に起こりうるトラブル事例とその対応策について、具体的にご紹介します。

よくあるトラブル事例と解決策

1. 契約書関連のトラブル

事例1: 口頭で合意した追加作業の報酬が支払われない

  • 対応策:

    • 追加作業の依頼時に必ず書面化

    • 見積書の取得と承認

    • 変更契約書または覚書の作成

事例2: 契約書の解釈で認識の違いが発生

  • 対応策:

    • 曖昧な表現を避ける

    • 具体例を契約書に記載

    • 定期的な進捗確認の実施

    • 議事録での認識合わせ

2. 支払関連のトラブル

事例3: 検収が遅れて支払いが遅延

  • 対応策:

    • 検収期間を契約書に明記

    • 検収基準の具体的な設定

    • 検収担当者の明確化

    • 検収遅延時の対応ルール策定

事例4: 予算不足を理由に報酬減額を要求

  • 対応策:

    • 契約時の予算確認

    • 変更手続きルールの明確化

    • 予算超過時の対応手順の事前取決め

    • 段階的な検収制度の導入

予防的対応策

1. コミュニケーション方法の確立

基本ルール:

  • 重要な指示は必ずメールで

  • Web会議後の議事録作成

  • 定期的な進捗報告

  • 課題の早期共有

2. 記録管理の具体的方法

必要な記録:

  • 契約書類一式

  • メールのやり取り

  • 会議議事録

  • 作業指示書

  • 納品書・検収書

  • 請求書

保管方法:

  • クラウドストレージの活用

  • アクセス権限の設定

  • バックアップの作成

  • 検索性の確保

トラブル発生時の対応手順

1. 初期対応の重要ポイント

  • Step1: 事実確認

    • 経緯の整理

    • 証拠書類の収集

    • 関係者からのヒアリング

  • Step2: 対応方針の決定

    • 法的リスクの確認

    • 解決に向けた選択肢の検討

    • 社内決裁の取得

  • Step3: 交渉・解決

    • 相手方との協議

    • 解決案の提示

    • 合意内容の書面化

2. 専門家への相談タイミング

以下の場合は早めに専門家へ相談:

  • 法的な解釈が必要な場合

  • 金額が高額な案件

  • 示談交渉が難航

  • 複数の問題が絡む場合

実践的な予防策チェックリスト

日常的な予防策

  • [ ] 契約書の定期的な見直し

  • [ ] 支払期日のリマインダー設定

  • [ ] コミュニケーション記録の保管

  • [ ] 進捗状況の共有

トラブル発生時の対応

  • [ ] 事実関係の整理

  • [ ] 証拠書類の収集

  • [ ] 社内報告ルートの確認

  • [ ] 専門家への相談検討

まとめ:トラブル防止の3原則

  • 書面主義の徹底

    • 口頭指示を避ける

    • 変更は必ず書面化

    • 記録を残す習慣づけ

  • 早期対応の重要性

    • 問題の早期発見

    • 速やかな対応開始

    • 関係者への適切な報告

  • コミュニケーションの充実

    • 定期的な状況確認

    • 認識齟齬の防止

    • 信頼関係の構築

シリーズを終えて

3回にわたり、フリーランス新法について解説してきました。本法律は、フリーランスの方々との適切な取引関係を構築するための重要な指針となります。ご不明な点がございましたら、お気軽にご相談ください。

下記、上本町社会保険労務士事務所のホームページでも
働き方改革「新章」:フリーランス保護法で実現する柔軟な人材活用戦略
について解説しています。

※本記事の内容は、2024年11月1日時点の情報に基づいています。

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