
「個別最適化」は「画一化」の対義語ではない
今日は「個別最適化」のお話です。
先日、note に「サニーバンクで目指すもの(2) | コンビニ化」という記事を投稿しました。
これには先があるのです。
この記事では大量生産が必要ということで、サービスのマニュアル化、画一化、自動化を推進するように宣言しています。
これに相対するように、最近ではデジタルトランスフォーメーション(DX)にて「個別最適化」という言葉がよく使われるようになりました。
これは「同じものを大量につくるのではなく、お客さんに合わせた最適化をした商品をつくる」というものです。
これを私の提唱している「コンビニ化(画一化)」とは逆の方向性と考えてる方もいらっしゃるのではないでしょうか?
そうではない、というのが今日の本題です。
デジタルトランスフォーメーションとは?
デジタルトランスフォーメーション(DX)とは、進化したITの浸透によって、世の中をあらゆる面から良い方向に変化させていくというものです。
「ハンコを無くす」というのもDXの流れの中の1つだと言えます。
ハンコというアナログを無くすことで紙にする必要が無くなります。承認や証明といった意味合いにしても、電子契約関連のサービスは複数台頭してきていますし、そちらの方が複製できるハンコよりもはるかにセキュリティ上強いことから、ハンコはもうほとんど不要となっています。
このように「より楽に」「より良い方向に」向かうのがDXです。
そこで本題
「お客様のニーズに応える」というのを「個別最適化」と同等と捉える向きがあります。
これは全く違います。
最初のステップからお客様のニーズを聞きながら1つ1つ作り上げることを「オーダーメイド」と言いますが、この「オーダーメイド」には2種類あります。
1つは全てをゼロから作り「世の中に同じものは1つもない」といった完全に個別に要望を聞いて、お客様にあったものを作る場合。これを「多様化」といいます。これは1件1件に相当な時間がかかるため、コストもかかりますが、同じものは1つもない、お客様に合わせた「匠の品」とも呼べる商品です。
もう一つは「セミオーダー」とも呼ばれるものでカスタマイズを選べるものです。選べる種類が増えるとそれだけ「自分好み」になりますが、既に存在するものの中から選ぶため、コストは安く抑えられます。
DXの世界でいう「個別最適化」は後者を更に極めたものです。
靴を選ぶ時も、今までは既に存在する数パターンの中から好きなものを選んでましたが、DXの世界では色や柄、素材も自由に選んで作ってもコスト的にもほとんど変わらない世の中になります。また、そうなると在庫が不要になるので、倉庫代を浮かせることができますし、無駄な廃棄処分もなくなります。コストそのままに「個別最適化」をするという例です。
つまり「個別最適化」は、「画一化」と反対の「匠の品」の方にシフトする(戻る)イメージを持っている方もいらっしゃるかと思いますが、そうではなく、「画一化」のさらに先にあるもの(匠の品とは正反対のもの)と考えるのが正しいと思います。
コンビニでは
「個別最適化」は自分好みに出来る一方で、選ぶという手間が必要になってきます。その手間を極限まで減らしたのがコンビニですので、コンビニでは当面は「個別最適化」は進まないと思っています。
ですが、デジタルの世界、何があるか分かりません。
手間のかからないカスタマイズ手法は今後いろいろと発明されていくと思います。そうなるとコンビニでも個別最適化された商品を購入できるようになるかもしれません。
今後が楽しみですね。
まとめ
コンビニ化した世界の後は「個別最適化」の世界です。
「一人ひとりに応える」というのは「画一化」の先にあります。
というところで、今回はここまで。