ふたり暮らし
30数年前ひとり暮らしをしていました
私のひとり暮らしのところにある日家で仕事をしていた弟が辞めてやってきました
家の仕事が嫌になったようです
そこで私のワンルームのアパートに居候するようになったのですが寝る場所がありません。こたつがありましたのでそこで寝ていました。まわりは車雑誌で足の踏み場もありません
そのうち彼は「村さ来」という居酒屋の食品を配達する仕事につきました。たまに持って帰ってくる冷凍ピザなんかを二人で食べていました
ある日家に帰ってきたら私のいない間にフライ系のものを油で揚げていたら火が出たらしく焦った彼は油に水を注いでしまったようです
世間知らずの私でさえ火の出た油に水を注いではいけないと知っていました
爆発を起こし天井まで油でべとべとになりました。べとべとさんです
そんな彼は数か月後実家の方に戻り紆余曲折の末また家の仕事につきました
ところが消防士になるために再び家の仕事を辞めることになります。あの火に水を注いで爆発させた男が消防士になるなんて
その身代わりというか私が実家に連れ戻されることになりました。抵抗したのですが父親が言う事を全然聞かない人間だったのでしぶしぶ戻りました
完全週休二日制の会社から完全土曜日仕事の会社になってスーツから作業着になって発狂しそうでした(笑)しかも苦手な工具とか使う仕事
あいつさえ仕事を辞めなければ今頃IT長者になってタワーマンション住んでいたはずなのに(?)
アパートを大火事にしたかもしれない男がなんで消防士やねん
それから数十年が経ちマイナス億り人になったので親戚など役に立たない、親の葬式なんかに金を掛けないとか色々相談するためにふたりでご飯食いに行く事になりました
私が親と仲たがいしているために正月も実家に行かないし必然的に弟ともあまり合わなくなりましたので近い将来か遠い将来かわかりませんが大まかな打ち合わせしておいたほうがよいとおもったのです
彼の迎えの車がやってきました。ハイブリッドカーの助手席に私は乗り込みました
「久しぶりやな、署長」