【読書メモ】『絶対悲観主義』(楠木建 著)
▶今回の書評本『絶対悲観主義』(楠木建 著)
『絶対悲観主義』
楠木建 著
講談社+α新書
▶読書メモ
「絶対悲観主義」=あらゆることについてうまくいかないという前提を持っておく、何事においても「うまくいかないだろうな」と構えておいて、「ま、ちょっとやってみるか…」と思考、行動する。
「事前期待」「事後結果」を「うまくいく」「うまくいかない」の観点で組み合わせると、
①事前にうまくいくと思っていて、やってみたらうまくいった
②事前にうまくいかないと思っていて、やってみたらうまくいった
③事前にうまくいくと思っていて、やってみたらうまくいかなかった
④事前にうまくいかないと思っていて、やってみたらうまくいかなかった
理想は②。絶対悲観主義の7つの利点
実行が極めてシンプルで簡単
事前の期待は思い切り悲観方向に回しておくだけ。万が一うまくいったらものすごく嬉しい。仕事への速度が上がる
(仕事のスピードではなく)仕事に取りかかるまでのリードタイムが短くなる。「うまくやらなくては」「失敗できない」と構えて、なかなか行動に踏み切れないということがなくなる。悲観から楽観が生まれる
リスク耐性が高い。リスクに対してオープンに構えることができる。能力に自信がある人ほどプライドが高い。そういう人は四敗したときに大いにへこむ。若いときほど失敗で被るサンクコスト(埋没費用)は小さい。どうせうまくいかないのだから…という絶対悲観主義は究極の楽観主義でもある。リスク耐性だけでなく、失敗が現実となったときの耐性も強くなる
失敗は常に想定内。挫折とも無縁。レジリエンス(回復する力)も不要。→それこそGRIT(やり抜く力)か?自然に顧客志向になり、相手の立場で物事を考えられるようになる
相手がこっちの都合に合わせてくれる、事情を斟酌してくれる、気分を忖度してくれるといったことなど絶対になっているから。(最も重要な利点として)10年ほどやっているうちに、自分に固有の能力、才能の在処がはっきりしてくる
絶対悲観主義の人は「○○が上手ですね」「xxが得意ですね」と人に言われても真に受けない(謙虚なのではない。自分の能力を信用していない)。それでも、そういう評価を複数の人から繰り返しもらい続けると、悲観の壁を突き破って、ようやく楽観が入ってくる。
「微分派」と「積分派」
人は幸福に対する構えで「微分派」と「積分派」に分かれる。
「微分派」は、例えば昇進した、自分の評価が上がったなど、直前と現在の変化の大きさに幸せを感じるタイプ。本で言うとベストセラー。
「積分派」は、その時点の変化率よりも、これまでに経験した大小の幸せを過去から累積した総量に幸せを感じる。
これと同様なのが、「ベストセラー」と「ロングセラー」
「ブランディング」と「ブランデッド(過去分詞)」
「人気」と「信用」
人間にとって幸福の敵、最大級の不幸のひとつは「他人との比較」、より厳密にいえば「嫉妬」
人間社会の二大問題は、ミクロの「疫病」、マクロの「戦争」
→「健康」と「平和」であれば、後は大体、気のせいレベル。人間にとっての二大資源は「お金」と「時間」
人を見るときは「行為主義」で見る。結局、その人が実際に何をして、何をしていないか、これがその人の本当を表している。
「本棚を見ればその人がわかる」「何を食べているかで人間が分かる」「お金も(稼ぎ方より)使い方にその人の中身がはっきりと出る」組織力からチーム力へ。
組織=ある構造をもって安定的に存在する人間の集団。
チーム=お互いの相互依存関係を理解し合っている人間の集団。
組織とチームは論理的には別物。
組織力とチーム力の掛け算でパフォーマンスは決まるが、今はどんどんチーム力の方にシフトしている。痺れる名言
▶感想
楠木健氏の他の著書や講演・セミナーが好きなので、本書も読んでみました。結論としては「絶対悲観主義」という考え方については特に共感はしなかったが、本書の随所にメモして残しておきたい文言が散りばめられていた。
以上です。