板書研究のポイント No5
本シリーズでは、〜できる板書研究について述べてまいります。本号は第3弾「○○の視点移動で板書を創る」についてです。
*前回号と合わせてお読みいただけると幸いです。
○○の視点移動で板書を創る
1 はじめに
板書研究の一番最初の投稿で「板書の役割」について述べさせて頂きました。以下に示すのはその中の一つです。
学習活動の中で起こる多様な考えの整理
授業の中で教師は自分の正しいと思われる価値を教え込むのではなく、子どもから出された考えのファシリテーションを行い、子どもの思考を交通整理しながら、よりよい価値の創造へ導いていかなければなりません。
しかし・・・
道徳科では、子どもの言葉から考えの真意を引き出し、全体へ共有することは難しいのです。
そこで活躍するのが、次に述べる○○の視点移動です。
2 4つの視点移動
少し難しい話になりますが、道徳的な事象や状況を考えたり、直面したりするときに、思考の視点移動の方法(スキル)を身に付けておくことで価値を深めたり、よりよい判断につながるそうです。
思考の視点移動について、武庫川女子大学の押谷由夫教授は次のよう整理しています。
これらの4つの視点移動は教材や子どもの言葉にも複雑に絡み合っているため、教師が見極め分析的に聞き取り、子どもの考えを整理していく必要があります。
では、次からは、具体的に説明します。
(1)対象軸の視点移動の板書
教師の発問に対して、子どもが「○○さんの立場から考えると〜」など、主人公の立場だけでなく、対人物の立場から道徳的価値を深めるような発言が出てきた時には、関係図(主人公や対人物・関係者など)で適切な場所に提示し吹き出しなどで思いを可視化していくのです。(図1)
(2)時間軸の視点移動の板書
教師の問いかけに対して、子どもが「先のことを考えたら〜」など、未来志向であったり、「昔はそうじゃないかも」など過去に目を向けるながら、道徳的価値を深めようとしている時には、黒板に補助線を引き過去・現在・未来が見えるように可視化していくのです(図2)
(3)条件軸の視点移動の板書
教師の問い返しやゆさぶりに対して、「もしも〜」や「例えば〜」など、教材の枠を超えて道徳的価値を深めようとする時には、子どもが考える場面と教材の場面とを比較し可視化していくことが有効です(図3)。
(4)本質軸の視点移動の板書
教師の中心発問に対して、子どもから表面的な考えではなく、本質に迫るような発言が出てき時には、表面的な考えと本質的な考えを浮き彫りにさせるように可視化しねらいに迫ることが大切です(図4)。
この4つの視点移動を組み合わせながら活用することで、学習活動の中で起こる多様な考えの整理が可能になってきます。また、これまで投稿した板書研究の(No2〜No4)までの全体構図と組み合わせて活用することで、さらに板書をレベルアップさせることができるので、お試し下さい。
今回で長きに渡り続いてきた板書研究も最後となりました。
次号では、「『問い』を生み出す導入の工夫」について私の考えを述べて参ります。
*私のnoteでは、2週間に一度、「道徳科授業づくり」について書いております。興味のある方はフォローして頂けると幸いです。よろしくお願いします。
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