発問研究のポイント NO3
本シリーズでは、子どもがイキイキと授業に参加してもらうために欠かせない、道徳科の発問作りについて述べて参ります。本号は、その最終号「思考を『揺さぶる』補助発問(問い返し)」についてです。
思考を「揺さぶる」補助発問(問い返し)
1 表面的な問いから深い問いへ
以前にもお話ししましたが、子どもはこれまでの経験から「自分は価値について知っている」という思い込みがあります。例えば「私は親切について知っている」や「規則の尊重とは○○だ」など知っているつもりになっているのです。そして、その状態だとなかなか多面的・多角的な思考は働きません。
そこで・・・
一度、子どもの知っているつもりを表出させるための「表面的な問い」を行い、出てきた発言に対して「深い問い」を与えて、子どもをハッとさせることで思考を促します。
例えば・・・
このように、上部だけの理由では答えられないような問いを与えることで、子どもの思考が働き始めるのです。
この深い問い(補助発問)を、道徳では問い返し(または揺さぶり)と呼びます。
2 思考を「揺さぶる」問い返し
思考を揺さぶる問い返しには大きく分けて2つのパターンがあると考えています。
それは・・・
①子どもの発言の妥当性を問い揺さぶる。
②子どもの発言よりも妥当性の高い考えを提示し揺さぶる。
です。
もっと詳しく説明いたします。
①子どもの発言の妥当性を問い揺さぶる
上述したように、まずは、表面的な問いで子どもの考えを表出させます。その後、子どもの発言は本当に正しいのかを考えさせるように次のように問います。
上記のように、子どもの発言の穴を見つけて問い返していくのです。そして、主人公とのび太の違いを丁寧に引き出してあげれば、道徳的価値の理解は深まっていくのです。
以上が、子どもの発言の妥当性を揺さぶる問い返しパターンです。
*先ほどの「自然愛護の授業」も同じパターンです。
次号で、思考を「揺さぶる」問い返しパターン、②子どもの発言よりも妥当性の高い考えを提案する、について述べて参ります。
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