【書評】大学・中庸(中国古典シリーズ)

儒教、朱子学という言葉をご存知でしょうか。

1.儒教の基本経典(四書五経)

儒教は、孔子(前551-前479)を開祖とする考えであり、その重要な経典として、「四書五経」があります。

「四書五経」は実は成立の源が異なっており、実は「五教」が先で、「四書」が後です。(ちなみに、四書の「大学」と「中庸」は、五教の「礼記」の一部でした。)

五教:
 前漢時代に選ばれ、唐代の初めに確定した5つの基本経典。
 「易経」「書経」「詩経」「礼記」「春秋」から成る。
四書:
 中国・南宋時代の朱熹(1130-1200)が選んだ4つの基本経典。
「大学」「論語」「孟子」「中庸」から成る。

2.「大学」、「中庸」の解説

いつもの角川ソフィア ビギナーズクラシックで「大学」「中庸」の勉強をしました。

(1)大学

大学は、孔子の弟子(曽子)が孔子の教えを述べ記した、基本概念である「経」と、解説の「伝」で構成されています。

「経」の構成:
(1)三綱領(明明徳、新明、止至善)
(2)本末(本質と瑣末)
(3)八項目(格物、致知、誠意、正心、修身、斉家、治国、平天下)

(2)中庸

中庸は、孔子の弟子(子思)が孔子の教えを述べ記した、基本概念である「第一章」と、解説の「第二章以下」で構成されています。

第一章のざっくり要約:
 人には「天」によって定められた「道」がある。感情に偏りを生じさせず、調和を極めれば、天地はあるべき状態に落ち着き、万物はすくすくと育成する。

「大学」と比べると「中庸」はいろんなことが書いてあって、少し難しいですが、「ちょうどいいバランスをとりましょう」というだけでなく、具体的な方法について第二章で色々と書かれていたのは興味深く、面白かったです。

3.最後に

 ・朱子学とは何か
 ・学問の目的、方法は何か(大学)
 ・人はどうあるべきか(中庸)

について知識を得て、考えを巡らすことができました。著者の矢羽野隆男さん、ありがとうございました。

 最後の最後に、四書の関係性について引用して終わりにしたいと思います。

 朱子は弟子との対話でこう語っています。「最初に『大学』を読んで学問の枠組みを定め、次に『論語』を読んで学問の根本を立て、次に『孟子』を読んで学問の情熱的な現れを見、次に『中庸』を読んで古人の奥深いところを追究して欲しい」
『朱子語類』巻十四

 今後も中国古典シリーズの勉強を続けたいと思います。


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