udonpudon

中国で大学院卒業後、遊んでいたら良い歳になってしまいました。80后(80年代生まれ)です。中国の経済と食に関心があります。

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最近の記事

【書評】米中安全保障関係ー3冊一気読み(米中海戦、もし戦わば、世界覇権100年戦略)

米国人著者による、米中間の安全保障モノ3冊を一気読みしてみました。いずれも数年前に買って読んではいたのですが、当時は「安全保障って何?」という超初心者レベルで、ほとんど意味もわからず読んでいたのか、単に記憶力が悪いだけなのか、新鮮な気持ちで、ほぼ初見の感覚で読み返しました。 読んだ3冊のタイトルと、個人的な難易度と特徴は次の通りです。 【1】米中海戦はもう始まっている 21世紀の太平洋戦争(2018/1/29) 軍事ジャーナリストの著者による、東シナ海・南シナ海における実

    • 【書評】中国が席巻する世界エネルギー市場

      目下、電力制限に脚光が当たり、改めて石炭の重要性が見直されている中国ではありますが、再生可能エネルギー、原子力と技術力を上げてきており、また、石炭火力についても高効率化が進んでいるようです。 そんな中国のエネルギーに関する実態を網羅的に述べている本として、「中国が席巻する世界エネルギー市場 リスクとチャンス-技術・権益が奪われる」(日刊工業新聞社)(2019年1月発行)を読んでみました。 1.太陽光発電(1)日本とドイツ オイルショック直後の1973年、通商産業省が策定

      • 【書評】ファーウェイと米中5G戦争

        2019年出版当時、米中貿易戦争の最中にあったファーウェイに焦点を当てつつ、米中貿易戦争の経緯や欧州の対応、日本のとるべき方針まで簡潔に整理された良書でした。ちなみに、筆者は講談社北京副社長として2009年から2012年に北京に勤務経験があり、中国の政治経済にも精通されています。 1.要約・書評以下、本書を引用しつつ、ざっと気になる点をまとめていきます。 (1)ファーウェイ社の全貌編(第1章) 筆者がファーウェイ本社を訪問し、取材したことをまとめた部分。 ・研究開発費

        • 【書評】大学・中庸(中国古典シリーズ)

          儒教、朱子学という言葉をご存知でしょうか。 1.儒教の基本経典(四書五経) 儒教は、孔子(前551-前479)を開祖とする考えであり、その重要な経典として、「四書五経」があります。 「四書五経」は実は成立の源が異なっており、実は「五教」が先で、「四書」が後です。(ちなみに、四書の「大学」と「中庸」は、五教の「礼記」の一部でした。) 2.「大学」、「中庸」の解説 いつもの角川ソフィア ビギナーズクラシックで「大学」「中庸」の勉強をしました。 (1)大学 大学は、孔

          【書評】史記(中国古典シリーズ)

          前漢時代、司馬遷によって書かれためちゃくちゃ面白い歴史本の集まり、それが「史記」です。その数なんと全130編。 対象は主に、「春秋時代」、「戦国時代(漫画キングダム)」、「秦」、「前漢」のみ(本当はもっと昔の時代も書かれています)。ただ、これだけでもざっと500年はあるので、歴史書としては十分な量かも知れません。 しかも「史記」は、単純に読んで眠くなる歴史の教科書のような事実の羅列ではなく、読者が興味を持って読むことができる工夫が施されており、所々読み聞かせ口調になったり

          【書評】史記(中国古典シリーズ)

          【書評】孫子の兵法:3冊読み比べ

          「孫子の兵法」の解説本3冊を読み比べしてみました。(最後のパートで、自分なりの解釈を簡潔にまとめましたのでそこだけでもご覧いただければ嬉しいです)。 3冊は、読みやすさで分けると、初級・中級・上級、といった感じです。 以前から孫子の兵法に興味はあったのですが、いざAmazonで検索してみるとめちゃくちゃ解説本が出てくるんですよね。 中国春秋時代の呉の国の将軍孫武によって書かれた「孫子の兵法」は、抽象度が高く、中国においても古来より多くの解説書が出版されていますので(三国志

          【書評】孫子の兵法:3冊読み比べ

          【書評】膨張GAFAとの闘い-デジタル敗戦 霞ヶ関は何をしたのか

           海外のプラットフォーマーには法律を適用できず、国内の大手IT企業には厳格に法律を適用する「一国二制度」への問題意識に端を発し、霞ヶ関の役所や弁護士、教授、企業の人たちが如何にして対応を進めてきたのか、詳細に追って記述された良書でした。  この本では、 ・日本国内の関係法令をめぐる国内のアクター間の綱引きの歴史 ・欧米の議論を背景として議論を進める日本政府なりの政策形成プロセス ・GAFAの日本政府への連れなさと裏にある米国政府の存在  を主な内容として学ぶことができま

          【書評】膨張GAFAとの闘い-デジタル敗戦 霞ヶ関は何をしたのか

          【書評】【超監視社会】1984年 ジョージ・オーウェル

           非常に面白かったです。監視社会の怖さを訴えるだけの本かなと思っていたのですが、それだけに止まらず、国家の統治法はどうあるべきか、国家と個人の関係はどうあるべきか、個人は何を幸せとすべきか、といったテーマについて、読み進めるほど考えが深まっていく、気づきが得られる本でした。 (ちなみに、あの有名な「サピエンス全史」でも引用されています。)  「一九八四年」は冒頭、次のような書き出しから始まります。  この書き出しにより、この本の中の世界が、常に「見られている」環境にある

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          【書評】お金のむこうに人がいる

          資本主義とは何かという問いを丁寧にわかりやすく解説した本。 普段当たり前に思ってしまっていることを改めて違う観点から教えてくれる本でした。 例えば、 貿易赤字は何が問題か、GDP成長率の低下は何が問題か、年金問題は何が問題か この本だけではまだ解けない問題は多いのですが、 普段当たり前のように流れていくニュースのヘッドラインに抱いていた違和感を少し違った角度から見てみることを教えてもらった気がします。

          【書評】お金のむこうに人がいる

          【書評】サステナブル資本主義

          流行のSDGsや日本人の所得向上策について書いてあるとのことで飛びついて読んでみました。 サステナブル資本主義 本全体の感触は、研究者、外資金融、スタートアップ投資家としての筆者のキャリア感が良く出ていて、海外から見た日本という視点と、資本主義の成り立ちからその欠点を補ってサステナブルな未来への指針を示す良本。 個人的に気になったのは以下のような点でした。 1、資本主義の成り立ちから見る現在地昔欧米圏に旅行すると年配の人たちが別荘持って優雅に暮らしててあれは何なんだろ

          【書評】サステナブル資本主義

          【中国経済】国有企業について

          中国の国有企業について,その①歴史と②現状を調べてみました。 0.初めに(参考にした情報元)①国有企業の歴史は,チャイナ・エコノミーという本を主に参考にして書いています。    チャイナ・エコノミー この本は中国の国有企業だけでなく,農業,都市,金融,工業,人口問題など,関連データと政策を幅広く整理されてますので,中国経済に関心のある方にオススメです。 ②国有企業の現状は,中国のサイトからまとめました。 ↓↓↓↓↓ それでは早速,国有企業の歴史(1),国有企業とは

          【中国経済】国有企業について

          「通商白書」を通じてみる,世界経済のテーマ一気読み(21世紀の振り返り)

           毎年政府が発行する通商白書のメインディッシュ「第2部」のテーマ解析を通じて、21世紀の世界経済を振り返るの巻、をやってみたいと思います。  通商白書の見方については、前回の記事(【世界経済】通商白書の見方:世界経済の動向とリスク、主要トピック、通商政策)でも解説していますので、こちらもご覧いただければ嬉しいです↓ https://note.com/udonpudong86/n/n023788880357 (前回のnoteの要約)政府発行の通商白書は、世界経済の客観的な

          「通商白書」を通じてみる,世界経済のテーマ一気読み(21世紀の振り返り)

          【日本経済】ものづくり白書で振り返る日本の製造業

           日本政府が発行している「ものづくり白書」は、日本の製造業をとりまく環境や課題、政策についてまとめて、毎年発行している白書です。ものづくり基盤技術振興基本法に基づき2001年より発行されています。 ものづくり基盤技術振興基本法 (年次報告) 第八条 政府は、毎年、国会に、政府がものづくり基盤技術の振興に関して講じた施策に関する報告書を提出しなければならない。  今回は、ものづくり白書に沿って、平成日本のものづくりの変遷を見てみたいと思います。(※ちょうど、ものづくり白書2

          【日本経済】ものづくり白書で振り返る日本の製造業

          【中国経済】シャオミのスマート電気自動車工場の立地競争からみえる、「あるある」

           三国志赤壁の戦い、そして昨年新型コロナで有名になってしまった中国湖北省武漢市が、スマホ大手のシャオミ(小米)のスマート電気自動車工場の立地に向けて積極的に進めている、との報道がありました。 https://www.jiemian.com/article/6471315.html  これ面白いのは、武漢市政府からの発信です。  記事を更に読み進めていくと、西安市とか安徽省も工場の立地に手を挙げていると書いてあります。  一方で、シャオミの回答は、「まだ決まってません」

          【中国経済】シャオミのスマート電気自動車工場の立地競争からみえる、「あるある」

          オリンピック(その2):メダル数の推移と中国選手の年俸

          前編(その1)では、メダル獲得国Top15の推移をざっと見てきましたので、ここでは具体的に中国と日本に着目してみていきたいと思います。 記事の後半では、トップアスリートの年収や、スカウトの仕組みについてもお話しします。 2.「メダル獲得国(Top15)の推移」から見えてくること その1で見た、夏季オリンピックにおけるメダル獲得数の推移でわかるのは、 (1)金メダル数の「順位」に着目・金メダル数の「順位」では、1992年以降常に「トップ4」に入っています。  ・金メダル

          オリンピック(その2):メダル数の推移と中国選手の年俸

          オリンピック(その1):メダル数の推移と中国選手の年俸

           「昔は米国がメダル独占だったけど、今回は中国のメダル獲得数が目立ちましたね」、とある日本のコメンテーターが話していて気になったので、   夏季のオリンピックのメダルの推移(トップ15カ国)と、せっかくなので中国人選手はいくらもらっているのか調べてみました。もちろん日本のメダル数も見たいと思います。 1.メダル獲得国(Top15)の推移 ここでは、中国がオリンピックに参加した1992年@バルセロナから、Top15カ国のメダル獲得数推移を見ていきます。(1988年の五輪に中

          オリンピック(その1):メダル数の推移と中国選手の年俸