【中国金融】上海、深圳、香港の市場の特徴
0.はじめに
昨今個人投資ブームの中、多くの方々が日本企業や米国企業に投資していると思いますが、先達いわく「一つのカゴに卵を入れてはいけない(鸡蛋不要放在一个篮子里)」、つまりリスクは分散させなければならないとのことから、中国企業への投資をされている方もいらっしゃると思います。
ただ如何せん、中国マーケットの情報は複雑かつ限定的であり、(私もそうですが)初心者にとっては、
・上海、深圳、香港、どんだけ市場があるねん
・メインボード、創業版、中小企業版、どんだけ板があるねん
・A株、B株、H株ってなんなん
といった疑問があると思いますので、ここで少し整理したいと思います。
1.中国の証券取引所の全体像
・中国には大きく分けて、(1)上海市場、(2)深圳市場、(3)香港市場の3つの市場があります。
・外国人投資家は主に(1)上海市場B株(米ドル建て)、(2)深圳市場B株(香港ドル建て)、(3)香港市場で取引してきました。
・最近は、外国人投資家による上海市場や深圳市場のA株への投資も増加しており、投資信託やFTEを通じて、幅広い中国企業の株を購入できるようになりました。
(※A株の購入には、適格外国機関投資家(QFII)または人民元適格海外機関投資家(RQFII)の資格を取得する必要があります。個人投資家は、これら資格を有する証券会社から購入できます。)
2.個別市場の特徴((1)上海、(2)深圳、(3)香港))
(1)上海市場
【概要】
・メインボードと創業板の2つのボードがあり、メインボードにはA株(人民元建取引)、B株(米ドル建取引)があり、創業板はA株のみで構成されている。
・メインボードは1990年開始、創業板は2019年開始。
【詳細】
・①メインボード・A株
1627社(2021年7月時点)。エネルギー、電気電子、銀行、自動車、鉄など。
2021年に入ってから56社が追加。
・②メインボード・B株
48社(2021年7月時点)。エネルギー、電気電子、インフラなど。
2001年以降追加なし。
・③創業板・A株:2019年〜
305社(2021年7月時点)。バイオ、医療、ソフトウェア、素材など。
2021年に入ってから90社が追加。
(2)深圳市場
【概要】
・メインボードと創業板の2つのボードがあり、メインボードにはA株(人民元建取引)、B株(香港ドル建取引)があり、創業板はA株のみで構成されている。
・メインボードは1990年開始、創業板は2009年開始。
【詳細】
・①メインボード・A株
1470社(2021年7月時点)。エネルギー、電気電子、自動車、鉄など。
2021年に入ってから20社が追加。
・②メインボード・B株
44社(2021年7月時点)。エネルギー、電気電子、インフラなど。
2001年以降追加なし。
・③創業板
983社(2021年7月時点)。バイオ、医療、ソフトウェア、素材など。
2021年に入ってから91社が追加。
(3)香港市場
【概要】
・メインボードと創業板(いわゆる「GEM」)の2つのボードがあり、それぞれのボードに、H株、レッドチップ、その他の香港株がある。
ーH株:中国本土企業の株式銘柄
ーレッドチップ:中国本土企業の香港法人の株式銘柄
ーその他香港株:香港のローカル企業や中国以外に本拠地のある企業
・取引は全て香港ドル建て。
・メインボードは2000年開始(香港に存在した複数の機関を統合)、創業板は1999年開始。
【詳細】
・①メインボード
2197社(2021年7月時点)。
・②創業板(GEM)
370社(2021年7月時点)。
3.最後に
上海、深圳、香港の特徴についてまとめてみました。思ったよりも上海市場に新しい企業が上場していて、上海市場にもっと注目しても良いかなと思いました。
それではまた!不见不散!
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