ここに残しても、洸介が読む事は絶対にないだろう。しかし、もし輪廻転生で次に生まれ変わった時(まだ生きとるわ!というツッコミは無視しておく)、どこかで前世の記憶で手繰り寄せでもしてくれたら、そんな嬉しい事はない。 2月9日。障害児の、しかもかなり重度の障害児の親になって、20年が経ちました。 縁起でもないとは思われるだろうが、君を残して、親は先に逝けない。呼吸をする事でさえ、誰かの手を借りなければ完全ではない君を、どうして置いて逝けるだろう?20歳を迎えるまでは、親として、
食道裂孔ヘルニアの手術を受ける為に入院。朝イチの麻酔科受診で、急遽、昨日、ホントに昨日、喉頭分離の手術も同時にやった方が良いだろうと決まったと教えられる。 「それは知らないですよね?聞いてないですよね?」 ダンナと2人して 「うえぇ?」 ヘンな声が出てしまう。そりゃ知らん。聞いてないよ。慌てて、持っていた書類を全部落とす。どうせやらないかん、将来的にはやら
いつか君が、この文書を見つけますように。 君は覚えているだろうか? 春も近づいていたあの日、母は、君と洸介を連れて、海に出かけた。キラキラしてキレイな海だった。その光が、海の中へと誘うように手招きしているように見えた。 先の見えない洸介の介護、身内からの心無い行為や言葉にも疲れ、 「3人で死んじゃおうか?」 と聞くと、君は泣きながら母の足にしがみつき 「かあちゃん!しんじゃだめ!りょんもしにたくないよ!」 と叫んだ。 君に連れ戻された。 あの時