【言語技術で「考える」を強くする③】言語技術とは何か?
前回までの記事
①私が論理思考力を身に着けるまで
②どうして言語技術を取り上げようと思ったのか?
言語技術(Language Arts)とは?
言語技術とは、日常生活や社会生活を行う上で必要となる、言語を使用する様々なスキルを総称するものです。英語では、Language Arts と呼ばれています。
世界の多くの国で幅広く実施されている言語教育であり、小学校低学年から高校を卒業するまでに、母語教育の一環として体系的なカリキュラムに従い学ぶことが出来るようになっています。
日本では、近年小中高の学習指導要領に言語能力の育成の重要性が記載されるようになるなど、実践的な言語技術の養成は大きな課題として認識されるようになってきていますが、教育体系が構築されたとは言えません。日本の言語教育は遅れているのです。
日本人は、ディベートや議論が下手とよく言われます。それは忖度するからであるとか、行間を読んで理解する、といった日本特有の文化によるものだ、ということが半ば真実のように語られることもあります。
実際のところはどうでしょう。正しい教育を受け(られ)ていないため、言語を実践的に活用するテクニックが身についていない、というのが正しい解釈なのではないかと、私は考えています。
このように、日本においては遅ればせながら、サッカーやラグビーなどスポーツの世界を中心に言語技術教育が採用されはじめています。コーチの指導力向上、選手技術向上に用いられるようになっており、日本サッカーのレベル向上の一因に、この言語教育があったのではないかといわれています。
言語技術教育の目標
大学生・社会人のための言語技術トレーニング(三森ゆりか氏)によると
とあり、その人間形成の目標は
とされています。つまり、自立して思考し、問題解決を実施したり、世界中の相手と議論や交渉ができるような人間を育てることが目標となります。
ただ、技術を学ぶだけではなく、教養のある人間を育てるために、各国のカリキュラムの中では、文学教育も非常に重視されており、年次が上がるにしたがって技術教育よりも文学教育にウエイトが変化するように構成されています。
言語技術教育カリキュラムとは、一種の「エリート教育」ととらえることもできるのではないでしょうか?
言語技術を習得することで得られること
言語技術を習得することによって、以下のような特徴(言葉を上手に使える生徒の持つ特徴として記述)がみられるようになります。
どうでしょうか?ビジネスパーソンが必要となる様々な要素が含まれているように思われます。上記図書には、1~7までの特徴がさらに具体的に解説されているのですが、ことばを美しく、誤りなく、正しく使うことが出来ること。ことばを正しく活用して周りとコミュニケーションをとることが出来る。ことばを正しく活用して読む、書く、話すことが出来る。
このように、ことばを正しく活用することができている状態が一つの目標となりそうです。
諸外国ではこれらの技術を高校生までに習得し、大学生以降は、それらの技術を専門的な能力向上に応用することで、社会人になると即戦力として活躍できる人材が輩出される仕組みになっています。
翻って日本はどうでしょうか。上記を適切に使いこなせる社会人はどの程度いるでしょうか?私の周りを見渡しても5割に満たないように感じています。言語技術を身に着けることで、大きく評価が高まる要素になりうるということです。
世界中の多くの人が学んで自分のものにしている技術を日本人が出来ない理由はありません。必ずできるはずです。自信のない方々はぜひ学んでほしいと思います。
まとめ
言語技術の概要について説明しましたが、言語技術を学ぶことは、言葉遣いの技術を学べるだけではありません。
と言っても過言ではないと思います。多くの人々が言語技術を習得することで、世界と共通の思考基盤の中で戦える教養豊かな人材になるとともに、ビジネスパーソンとして活躍できる人材が増加します。その結果、企業及び日本の成長に寄与できるのではないかと思います。
次回は、各国の言語技術教育について説明したいと思います。
参考文献
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