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車選びの基準

【はじめに】

車選びには悩みが生じます。

そんな悩みを論理的に解決しようとすると、様々な側面で切って、基準に適合するかどうかを試みます。

切り取るための側面はどんなものが一般的なのか?その側面の意味するところはなんなのか?を少し深掘りしたいと思います。


【なぜ悩むのか】

どの自動車メーカーも限られた市場の奪い合いです。

ユーザーの本来のニーズを中心に据え、ライバルの市場を横目に見て車を企画・開発します。

ユーザーがライバルメーカーと比較した時に自分達の開発した車を選んでくれるよう、それぞれのメーカーが切磋琢磨しています。

なので余程のことがない限り、決定版というものはなく、どれがいいのか悩むことになります。

そしてそれは自分のほしい車の種類や大きさ等が明確に決まっている場合です。

決まっていない場合はそれ以前の問題で、自分が車に何を求めているのかを考えなければなりません。

進路や就職活動程ではないにしろ、自分自身と向き合うことになり、とても悩ましいことになります。

自分探しに出かけたものの一向に見つからない人は沢山居ますし、自分ほど自分のことを考えてくれる人はいないのに、自分からは大変見えにくい存在です。

車は生活を激変させます。
選んだ車次第でライフスタイルが大きく変わることになるので、その選択には慎重を期すことになります。

そして車の購入は家屋の購入の次に金額が大きい買い物です。
こんなはずではなかったと思ってもおいそれとは買い替えることが難しいものなのでさらに慎重を要します。

このように構造的に悩むように出来ています。


【車選び基準のアンケート】

車選びにおいて何を重視して車を決めるか?

このことについて様々なアンケートがあってその結果を公表しています。

ネットでパッと見つかったものを見て分析してみましょう。

いくつかありますが、継続的に実施されているものがなく、散発的に行われるものをベースにします。


【アンケート結果一覧】

NTTコムリサーチ 2005年
http://research.nttcoms.com/database/data/000158/

ガリバー自動車研究所 2006年
http://221616.com/idom/wp-content/uploads/2009/09/etc_005.pdf

niftyニュースアンケート 2012年
https://news.nifty.com/article/item/neta/12225-120823000943/

gooランキング 2013年
https://ranking.goo.ne.jp/ranking/category/004/business_J6POkSHlukSE_all/

2015年度 乗用車市場動向調査 P98 日本自動車工業会
http://www.jama.or.jp/lib/invest_analysis/pdf/2015PassengerCars.pdf

なぜか女性を対象としたアンケートが多いです。

男性は自らの趣味趣向があるので悩みにくいということでしょうか?


【アンケート集計】

強引ではありますが上記のアンケート結果を合体させて、一般の人が何を重視して車を選んでいるか?何を拠り所にして車を選んでいるのか?を見てみたいと思います。

しかし、このアンケートも車を購入するタイミングによってかなり異なる結果が出ると思います。

車を持った経験の無い人は自分の欲望に忠実な選び方をするでしょう。

購入直後の人は、その車を選んだ理由を確認して票を投じるでしょう。

もうそろそろ買い替えを考えている人は、自分が求める要素に悩みながら票を投じていると思います。

それではランキングを見てみましょう。


【ランキング】

1位 価格 15.94%
2位 外装デザイン 15.38%
3位 運転のしやすさ 9.71%
4位 燃費 8.31%
5位 乗員スペース 7.13%
6位 メーカー 7.00%
7位 走行性能 5.55%
8位 安全性能 5.26%
9位 ボディタイプ 4.74%
10位 乗り心地 4.63%
11位 維持費 3.31%
12位 その他 3.10%
13位 内装デザイン 2.84%
14位 ボディカラー 2.69%
15位 荷室スペース 2.24%
16位 環境性能 1.75%
17位 人気かどうか 0.42%


【解説】

それではそれぞれの内容に関して解説を加えてみたいと思います。

〈1位 価格〉

絶対的に避けられない基準です。

全く同じモノ・サービスであるならなら1円でも安い方を選ぶのが当然でしょう。

しかし、この基準は捉え方次第・人の価値観次第で意味が変わります。

・予算の上限まで使い切る。
・物の価値を犠牲にしてでも価格が少しでも安い車を選ぶ。
・コストパフォーマンスを優先する。

予算の考え方もまちまちで、
・ローンの上限(生活のギリギリ)
・現金支払いの上限
・生活から車に払えるお金の上限

など、人によって異なります。

中には「一番イイヤツ持ってこい」という太っ腹な人も居ると思いますが、このタイプの人は価格という基準の優先は低いのだと思います。


〈2位 外装デザイン〉

外装デザインはエクステリアデザインとも呼ばれます。

いわゆる「車のデザイン」というと一般的にはエクステリアデザインの事を指します。

車は何人もの人を丸のみにする程大きな物体なので、形状が与えるインパクトも大きいです。

車のキャラクターはこのエクステリアデザインが決めることが多く、まだ乗ってない・所有していない段階で、気に入るか気に入らないかの分かれ目はエクステリアデザインでしょう。

車のデザインに関しては下記のノートを見てください。


〈3位 運転のしやすさ〉

女性に聞いているアンケートが多かったのか3位に入っています。

女性は運転に自信がない人が多いです。

今時運転挙動の特殊な車なんて無く、運転しづらい車なんてそうそうないですが、車両感覚がつかみづらい車は昔に比べて多くなっていると思います。

車の大きさを気にする人も多いかと思います。

運転のしやすさに関するノートがあります。
よかったら見てみてください。




〈4位 燃費〉

本来は維持費に統合してランニングコストとして冷静に見るのがいいのですが、要素が沢山あって把握しづらいので燃費に着目する人が多いです。

燃料代は車の維持費の中でも多くを占めていて、駐車場代(約35%。人によっては特別かかってこない)に次いで高い割合(約18%)です。

燃費に関しては下記のノートを見てみて下さい。

また、エコロジスト観点でCO2排出量を気にする人も居ると思います。
これも本来はLCA(ライフサイクルアセスメント)で総合的に見たほうが良いです。

LCAに関しては下記のノートにまとめてますので見てみてください。


〈5位 乗員スペース〉

ミニバンブームの時にパッケージングの重要性がよく取りざたされるようになりました。
(本来のパッケージングは乗員スペースに限らず、車両の全てのパーツの配置に関わる用語ですが)

乗員スペースと言った時も人によって指すものが違います。

運転席の余裕は車を買う人(=ドライバー)に直接関係しますが、運転している時には運転操作が大事なのでそんなに広々とした空間は必要ありません。

むしろ手が届く範囲に必要なものがあった方が使いやすいです。

運転席以外の座席数や座席の余裕を気にする人が多いかと思います。

座席数は家族構成に強く依存しますが、大は小を兼ねるといった単純なものではありません。

座席が多くて小さな車は追突への安全性に不安を覚えますし、大きな車は重いので燃費も悪いしエンジンのパワーも小さく感じます。

経済的な余裕がある人でも大きい車は取り回しに苦労します。


〈6位 メーカー〉

メーカーの選択にも、重視する点が人によって異なります。

・信頼感のあるメーカーを重視する

車にとって信頼性はとても重要です。
車で出かける予定を組んで、動かなかったらその日の予定は台無しです。

車の修理保証はある程度ありますが、メーカーの過失が認められなければ修理費用がかかってきます。
時間も取られるし良いことはないです。
不具合を喜ぶ人は居ないでしょう。

不具合が原因で事故を起こしたらたまったもんではありません。
時間やお金の他、失うものが多すぎます。

・ブランド力の高いメーカーを重視する

見栄です。
車は嫌が応にもその姿が他人に晒されます。
車はファッションアイテムの側面もあるので、ブランド力を重視する人も多いです。

・自分の趣味とメーカーの方向性の一致を重視する

ある程度車のことがわかってくると、こだわりが出てきます。

人は往々にして初めに選んだ車のメーカーが好きになることが多いようです。

これは、どの自動車メーカーも基本的には長い歴史を持っており。今まで生き残ってきた海千山千の猛者なので、魅力的なためです。


〈7位 走行性能〉

車を所有したことがない人にはイマイチピンとこないのがこの基準です。

しかし、所有したことがある人にとっては結構大事な基準です。

走行性能は、ドライバーの快適性に大きく関わってきます。

しかしこの部分は価格に跳ね返ってきます。

同じ車でもグレードによって走行性能が違い、グレードによって価格が違うので、頭を悩ませることになります。


〈8位 安全性能〉

車には様々なリスクが付きまといます。

その中でも安全性は自らの人生だけでなく、乗員や路上の他人の人生にも関わってきます。

理屈で考えたら本来はもっと上位に来ても良いと思いますが、恩恵を受ける機会があまりにも少ないので優先が下がりがちです。

衝突安全については下記のノートを参照ください。

最近流行りの予防安全については下記のノートを参照ください。


〈9位 ボディタイプ〉

ボディタイプは車の用途と趣味性を色濃く反映させる基準です。

ボディタイプの選択が優先低い人はほとんどいないでしょう。

しかし、初心者は自分の求める車の像が曖昧なので、あるい意味自由な縛られない発想を持っています。

ここがどのタイプの車に興味を持つのかという分かれ目ということでもあります。

ボディタイプに関しては下記のノートを見てください。


〈10位 乗り心地〉

乗り心地という基準は人によって大きく異なります。

・とにかく路面の凹凸を和らげるのが良いと感じる人
・とにかく乗員の車酔いを少しでも避けたい人
・運転していて思った通りに運転できるのが乗り心地が良いと感じる人

車酔い傾向にある人は気にしますがドライバーや車をよく運転する人が酔うケースはほとんどないので、よく乗せる家族に気を使うケースがほとんどだと思います。

車酔いの要因は車の動きそのものにもありますが、乗員の工夫で和らげることもできます。

下記のノートにまとめてますので見てみてください。

ま、乗り心地が悪い車をワザワザ求める人は居ないと思いますが。


〈11位 維持費〉

車は高いですが、本体価格だけ見てると大きくかかってくる維持費に痛い目を見ます。

税金・燃料代・メンテナンス費用がかかってきます。

基本的に高い車には高い維持費がかかります。

維持費に関しては下記のノートを見てください。


〈12位 その他〉

アンケートにはその他と書いてあるものもあれば、その他に分類せざるを得なかったものを入れてあります。

内容は以下です。

・その他
・わからない
・装備
・車は特に必要ない
・拡張性


〈13位 内装デザイン〉

外装は乗っている間はほとんど見えませんが、内装は乗っている時によく見ます。
(一番見るのは外ですが)

内装の善し悪しが車を所有する満足感/残念感に繋がりやすいです。

これは運転する人だけでなく、他の乗員の評価にもつながりやすいため、お金を出していない人からの忌憚のない意見も受けやすいです。

また、外装の機能性は見えづらいですが、内装の機能性はわかりやすいです。


〈14位 ボディカラー〉

アンケートにこの項目がないのが原因だと思います。

今回対象のアンケートの中では、niftyとNTTコムしか対象になっていませんでした。

niftyでは女性のみのランキングでも10位(全15項目)でしたが、NTTコムのランキングでは4位(全15項目)でした。

ずいぶんバラついていますね。

車のボディーカラーについては下記のノートを参照ください。


〈15位 荷室スペース〉

昔よりも沢山の荷物を積む機会は少なくなったのかもしれません。

バブル期はスキーに行ったり、キャンプに行ったりと、車で多くの荷物を運ぶ需要が多かったですが、最近はそうでもないようです。

ミニバンなどのMPVやコンパクトカーでもシートアレンジが進歩していて、乗員スペースを犠牲に荷室を設けるケースが少なくなったのも影響しているかと思います。


〈16位 環境性能〉

車の環境性能は購入する人にとっては直接のメリットが無いので優先順位は低いです。

妥当な順位ですね。

有名人なんかは自己中心的な人格と思われたくないから、環境性能を重視する向きもあります。(今でもあるのかな?)

車の環境性能に関しては下記のノートを参照ください。


〈17位 人気かどうか〉

車は高い買い物なので、他人の言うことにあまり惑わされないで、自分の価値観で選択する人が多いようです。

おそらく昔のほうが人気の車種に集中する傾向があったのではないかと思われます。

近年は車両メーカーに技術が集中することが無いことが要因で技術的な均衡があり、メーカーの特色が出づらいことも要因としてあるのかもしれません。


【あとがき】

アンケートをまとめてみましたが、アンケートごとの項目のバラツキがあって苦労しました。

継続的にやってもらえれば世代が進むごとにどのような変化があるのかを読み取ることが出来そうなんですけどね。

自工会のアンケートには若者のみを抽出したデータがあるので面白そうです。

また次の機会に分析してみたいと思います。


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