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キリアン・マーフィー「Small Things Like These」 Vanity Fairインタビュー(2024年9月17日)抄訳

次にどんな映画を製作したいか、『オッペンハイマー』撮影前からキリアン・マーフィーの心は決まっていた。2021年にダブリンの自宅に来たティム・ミーランツと次のプロジェクトについて話していた時、クレア・キーガンの『Small Things Like These』を映画化したらどうかと妻のイヴォンヌ・マクギネスから提案された。マーフィーは「奇跡的に」映画化の権利を取得した。

キリアン
「(『オッペンハイマー』)撮影中、マット(・デイモン)に『Small Things Like These』の脚本を渡したら気に入ってくれた。マットには、『マットがプロデューサーをした『マンチェスターバイザシー』とかとテーマが重なるところがある』と話した。で、(マット・デイモンの会社)アーティスト・エクイティが出資してくれることになった。すごい早い展開だったね」

キリアン
「(『Small Things Like These』は)単純なように思えるけど実は信じられないほど込み入った話。僕たちアイルランド人の歴史、文化、そしてトラウマとかそういう問題と強く絡み合っている。僕は、そういう問題に穏やかに向き合うには、政府の報告書とか学術論文とかよりもアートの方がいいと感じてる」
「当時(1980年代)のアイルランドでは男性は気持ちを表に出すのを許されなかった。内面がすごく弱いのにその気持ちを表に出せない人物(ビル)は美しい感情の塊のように感じて演じていた」

ミーランツ監督
「キリアンがカメラの前でやることは信じられない。演技をすごく細かく調整できる。僕にとっては地球最強の俳優」
「(キリアン演じる)ビルとよく似たトラウマを自分も経験したことがある。撮影中は自分の痛みをキリアンにいつも話していた。自分が経験してきたことを、キリアンのようにうまくかつ深淵に表現する役者を見たことがない。すごかった」

キリアン
「『オッペンハイマー』撮影の後はかなりボロボロだった。肉体的にも精神的にもちょっと疲れ果てていた。撮影のペースが速く、準備もかなり大変だったし、体重を減らしてまた元に戻すというのもつらかった」
「(『Small Things Like These』は)アイルランドでの撮影だったからすごくよかった。ただ人物の感情を表現しようとすると、自分の心にも影響するから楽じゃない。監督はそういうリアルな生の感情を撮ろうとしてたからね」
「言葉を発する必要はない。何かを感じたり考えるだけで、カメラに映り観客は理解する。観客に質問を投げかけるような、そういう映画撮影とか演技が自分は一番好き」

※この記事は、Vanity Fair (David Canfield) "Inside Cillian Murphy’s First Post-Oppenheimer Role in Small Things Like These"(2024/9/17)の抄訳です。
※見出しの写真@Enda Bowe/Lionsgate



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