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グロスター大聖堂を訪ねて(ポッタリアンの聖地)

日本からの15時間弱のフライトを乗り切り、ロンドンに23時過ぎに着いた翌日に、イギリスの南部のワイト島のオズボーン・ハウスを日帰りで訪ねました。その記事はこちらです。

英国滞在2日目は、オックスフォードへ向かいました。ロンドンの拠点駅の1つパディントン駅から1時間弱でオックスフォードに着きます。すぐにホテルに直行して荷物を預けてまた駅に戻り、グロスター駅を目指します。目当てはグロスター大聖堂(Gloucester Cathedral)です。ここは、ポッタリアン(ハリー・ポッターのファン)の聖地です。家族に熱狂的なファンがいまして、そのお付き合い旅です。

パディントン駅の1番ホームには、クマのパディントン像

パディントン駅からは、GWR社の列車でグロスター駅へ。

英国内の鉄道乗り降り自由のブリットレイル・パス1等なので、コーヒーやクッキーなどのサービスがあります。

1st class車内
コーヒー飲みながら田園風景の車窓を眺めるのが至福の時

グロスター駅の周辺は工事中で、大聖堂まで歩いて15分ぐらいかかったけど通常6〜7分でしょう。

グロスターの町は、大聖堂の街にしては観光地化していなくて、物寂しく治安の点で△かもしれません。

駅から歩いている途中では、大聖堂がまったく見えなかったのですが、敷地に入った途端に、この堂々たる大聖堂が見えて、思わず息をのみました。

観光客もまばらで、ゆっくり見学できました。

西暦678年に修道院として建設され、1541年にあの悪名高きヘンリー8世の命令によって修道院は解散させられて英国国教会の大聖堂になりました。

大聖堂の入口

入場料は、voluntary donationということなので、ファミリー寄付10ポンドを納めました。一人5ポンドが基準とのこと。支払いはcontactless (日本のタッチ決済)でした。

左側の「こちらで、あなたを暖かい歓迎がお待ちしております」
「見学順路」よりずっとクールだなあ
6人の聖人・殉教者 顔がリアル

寄付する時にスタッフの方に、ハリポタの大ファンであることを伝えると、見どころを教えてくれました。グロスター大聖堂で、建築的に大変価値があるのが1412年に完成したとされる回廊です。また、ポッタリアンだったら、いつまでも雰囲気を味わっていたい場所らしいです。

扇のように広がって天井を支えているところに注目

天井が装飾的に美しく貴重なものだそうです。建築ではファン・ヴォールトと呼ばれるもので、扇子のような形で天井を支えています。建築学を専攻する学生だったら必見の場所とのことです。回廊の天井がファン・ヴォールトになっているのは、グロスター大聖堂だけと言われています。

扇型が4つずつ合わさって天井を支えているようなデザイン

グロスター大聖堂は、ホグワーツ魔法学校の廊下として、「ハリー・ボッターと賢者の石」など3作において撮影が行われた場所です。ポッタリアンは黒マント(ローブと呼ぶ)をわざわざ日本から持ってきて、それを着てさかんに写真を撮っていました。

ハリーは柱の影に隠れていた、とのこと
私は付き合いで何作か見たのですが、よく覚えていないのです

今日は晴れて日差しが回廊に差し込んでいますが、これが天気の変化でかなり薄暗くなったり、不気味な雰囲気を醸し出したりなど様々に変化するそうです。映画の中では夜の場面が多く、回廊のところどころに松明たいまつが焚かれていていました。

床の至る所に、名前と年号が刻まれた石板がはめられています。聖職者や信者のなどの墓石や記念碑ですね。あらためて教会とは、礼拝の場であり埋葬の場でもあることを意識します。

回廊の途中にはこんなステンドグラス

回廊が取り囲む中庭に出てみました。1000年以上前には、ここを修道士たちが歩いたり、立ち話をしたりしていたのでしょう。

高さ68.6mの中央塔(鐘楼)には、ツアーに参加すれば登ることができます

建築に素人にでもわかるのですが、大聖堂が長い年月をかけて建設を重ねてきて現在の姿になっているので、その変遷が1つの大聖堂の中で観察できるという意味でも貴重な建築物なのです。

回廊を中庭から見て
中庭をぶらぶら歩いていたら、こんな装飾に出会いました
あまりにもリアルで、夕方や夜は怖いでしょうね

この天井もかなり貴重なものです。リエルヌヴォールト(Lierne Vault)と呼ばれるもので、極めて装飾性の高い天井です。

三角やまれに四角形も組み合わさった幾何学的な美しさ

主に教会に見られるリブ・ヴォールト(rib vault)と呼ばれる天井ですが、リブはあばら骨という意味で、その骨が交差するところに装飾が付いています。この装飾はボス(boss)と呼ばれるもので、紋章や動物・植物などをあしらったものがあります。グロスター大聖堂のボスは葉っぱなどの植物のデザインだと見て取れました。

この太い円柱はグロスター大聖堂の特徴のひとつ、イギリスのノルマン様式と言うそうです。

さらに、その骨太な円柱の間には、アーチの形が何層にもなるようにデザインされています。

ステンドグラスは宗教改革で破壊されて、これは19世紀のもの。

このネーブ(nave)と呼ばれる会衆席は、座るのも躊躇するくらい拡張高く映画にも出てきそうですが、ハリー・ポッターの映画には登場しません。

ここにいるだけで厳粛な気持ちになってきます

尖塔や柱、鐘楼などの縦の直線が垂直に、すべて天に向かって伸びているように感じられます。

ここを離れるのが惜しいと思っているポッタリアンとともに、グロスター駅に向かいました。駅に着いて、あとは電車でオックスフォードへ帰るだけと思ったら、一部区間が運休とのこと。乗客が駅員に尋ねていました。私も窓口で運休区間を避けてオックスフォードまで行く方法を尋ねたたら、写真のようなルートをプリントアウトして教えてくれました。

グロスター →   ブリストル →  スインドン →  ディドコット  → オックスフォード
この通りに、うまく乗り換えできるか不安でしたが、駅の表示が正確で、Googleの路線検索もそれと一致していたので、無事、オックスフォードのホテルに帰り着くことができました。

グロスター大聖堂は世界文化遺産にはなっていないのですが、ここだけで建築学的にもポッタリアンにとっても、必見の建築物ですが、残念ながらグロスターの街(少なくとも大聖堂周辺)には、観光客相手の店はまったく見かけませんでした。お店はあるのですが、普通のレストランやパブ、洋服屋などでした。

グロスターはグロスターシャー州の州都で、人口約10万人の都市です。古代ローマ時代からの歴史ある街ですが、Web上では警察官が配属を望まない街という文言も見かけました。ほんの半日しか滞在しなかったのですが、大聖堂の観光資源をうまく活用して、街の活性化に繋げられないものかと思いました。

紫の「ヤナギハナガサ」と青い空と緑の芝生と大聖堂

イギリス国教会の大聖堂としては、カンタベリー大聖堂に引けを取らないと思います。ロンドンから列車で2時間ぐらいです。是非、チャンスをつくって訪れてみてください。

英国滞在3日目は、オックスフォードの城&刑務所、さらにはポッタリアン必見のクライスト・チャーチ(ホグワーツの食堂のモデル)を訪ねます。

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