1年間、伴走させていただいて
ちょうど1年くらい前、そのクライアント様とのやり取りは始まりました。
現在は全てのセッションをスカイプ経由で行っているのですが、特に初回はツールの使い方に慣れておらず、時間になってもログインできない方がたくさんいらっしゃいます。
このクライアント様も例外ではなく、開始時間を過ぎてもなかなかログインされて来ませんでした。
そんな時のためにご案内している緊急連絡先にもなかなかご連絡が頂けず、どうしたものかと焦ったのを今でも覚えています。
当時は、周囲の全てに対してビクビク、オドオドしているような人でした。
それほど大きくない組織の中で、「こんな風にならなくてはいけない自分」という理想像を何重にも作り上げ、そうなれない自分にダメ出しをし続けていました。
どんなにやりたくない仕事でも、「頼んできた相手の気持ちを思えば…」と、断らないのを当然と考えていました。
会議の場では、他の誰かのように上手くしゃべろうとあれこれ構えて、でもそれが出来ずむしろ白けさせてしまったと落ち込むばかりでした。
仕事にはやり甲斐が見出せそうもないので、何か他の趣味を作ろうと躍起になるけれど、どれも上手く行きませんでした。
いつも周囲の目、周囲の反応に怯えて、それらを通してのみ自分の価値を見積もり…結果、自己卑下と自己否定の嵐。
でも、そんなことを他人に悟られたくないので、変に虚勢を張ったり分かったフリをしたり。
その結果、さらに自分の首が締まっていく。
しかも、自分を抑えてばかりいる反動で、自由気ままに振舞う人々にはものすごい怒りを覚えてしまう。
どこにも逃げ場がない。
どこから解きほぐしていけばよいのかわからない。
…そんな感じだったのではないでしょうか。
そこから、2週間に一度という頻度でのセッションを続けてきました。
私の都合で何度か日程をずらさせていただいたことはありますが、それ以外は全く欠くことなく、本当に1年間、コンスタントに自分と向き合い続け、宿題をこなしていただきました。
それだけでも、とてつもなく凄いことだと思っています。
私が行ったのは、自分へのダメ出しを戒めることではありません。
他人との関係性を構築する上でのアドバイスでもありません。
もちろん、より上手な話し方のレクチャーでもありません。
ご本人の中の何が、その状況を創り出しているのか。
深く深く、観させていただく。
ご本人の世界観では“当たり前”となっていて、もはや意識もされないのだけれど、ご本人を苦しめる原因となっているマインドの存在に光を当てる。
それが、まったく“当たり前”ではないことに気付いていただく。
その世界観から離れることができるということに、気付いていただく。
そして離れ方についてのガイドとサポートを、粘り強く実施していきます。
1年経過し、このクライアント様がどうなっているか。
なんと今では、自分の組織をより大きく、より強くするために、外に向けての営業活動を精力的にこなす人になっています。
誰から頼まれたわけでもなく、ノルマとして設定されたわけでもなく。
ネットワークを広げるために、これまで考えもしなかった場所に出向いて話をしたり、様々な人々にアドバイスを仰いだり。
もはや、小さな世界の周囲の目に怯えて縮こまっている姿はそこには無く、むしろ周囲を引っ張っていくような活動を展開されようとしています。
当然、周囲の見る目も変わってきたのでしょう。
以前は考えられなかったような仕事の依頼を受けるようにもなりました。
また、この方の活動に感化されるように、営業につながる活動を自主的に行ってくれる同僚も現れたとか。
日々、楽しそうな仕事の種を探して奔走しているので、お休みを取るのも忘れてしまっているくらい。
ご本人から溢れてくるエネルギーが精力的過ぎて、今は行き過ぎを心配しています。
もちろん、今でも劣等感が襲ってきたり、思わすネガティブな行動を取ってしまいハッとされることなどはあります。
また、活動の幅が広がり、仕事の次元が上がったことで、これまでとはまた違う課題も見えてくるかもしれません。
でも、それらがマインドの揺さぶりであることをすぐに理解して、引きずられないように対処できるだけで、生きやすさは格段に変わってきているはずです。
こんな風に、クライアント様が本来の自分を見つけていくプロセスに関われるこのお仕事、やっぱりやり甲斐が違います…!
もちろん難しい面も多々ありますが、ますます深く広く、エネルギッシュに邁進していきたい ― そう思う今日この頃です。
※当文章は、ご本人の承諾を頂いたうえで記述、掲載いたしました。