[KZの相談箱 6つ目]初めてのDJイベント。 #アマチュア8耐 に向けての楽しみ方の相談。
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確かに、DJイベントになると少し敷居が高く感じますよね。
決して、敷居は高くないんですが、ライブに比べると行く機会が少ないからなのかな?
本来、DJイベントはライブより敷居が低く(全部ではないですが)、
さっと行って、好きな音楽を聴いて踊ったり、軽く飲んで、楽しんで疲れたら帰るみたいな。
すごくカジュアルに音楽と関われる空間なんです。
ただ、8耐は普通のDJイベントよりは少しコンセプチュアルで、
「音楽」そして「日本語ラップ」が好きな人が楽しめるイベントです。
逆に梅田サイファーに興味なくても、「日本語ラップ」、「ブラックミュージック」が好き。
そんな人はめっちゃ楽しいです。
そもそも、DJって何?って人もたくさんいると思います。
俺も、昔はそうでした。(知らぬことは恥じゃない)
ライブにはよく行くけど、DJイベントは初めてって人もいらっしゃると思うし、
「そもそも家で、車で、電車で、1人で音楽を聴くのと何が違うの?」と
声が聞こえてきそうですが、断言します。全く違います。180度、音楽人生がかわります。
DJは、いまも細分化し続けてて、厳密に説明すると多岐にわたるし、
俺が偉そうに語れるものではないほど、文化として大きなものなんです、と前置きをして。
(歴史とか、文化としての側面はウィキペディアに聞いたり、書籍を漁ってください)
俺目線から見た、良きDJとは何かを少し。
まず、そのジャンルに詳しく、そのジャンルを愛してやまない人。
カッコいい曲をたくさん知ってて、時には何がカッコいいかや、新しいカッコいいを提示してくれる人。
まだ誰も気づいてない未来のクラシック(名曲)を見つけてきたり、記憶の地中、奥深くに埋もれたオーパーツを掘り当てる。
そして、ずっとグルーブをキープし、体も心も踊らしてくれる人です。(ここ、ほんとにめっちゃ大切。音楽なんで)
乱暴な言い方なんですが、丁寧につなげるとなると、AIとかの方が強い気もするんですよね。
BPMは数字だし、音楽も数学的な要素が多いアートなので。
それでも断言するけど、AIに良いDJが追い抜かされる日はまだまだ来ないし、
特に日本語ラップというジャンルにおいては、遥か先の話だと思ってます。
こんなに文脈として奥深く、さらには多層的に横断できるコンテンツはなく、
しかも、2000年初頭から始まる日本語ラップ氷河期における情報のなさ。
(今でもサブスクにない名盤がたくさんあるし、文化の文脈が”インターネット”ではなく”現場”で書き足されることがまだある)
さらに、日本語ラップはガラパゴス的に進化して、オーパーツがたくさんあるんですよね。
今の技術を持っても絶対に生まれないものが、山ほどある。それが垂涎なんです。
(何それ?どうなってるん?いったい何を考えてたら、そうなるん?みたいな、理解に苦しむ形状のものが盛りだくさん)
そんな、密林と化した音楽のジャングル。その中をターンテーブルの2つの車輪を使って、
フロアの乗客員たちを素晴らしい景色へといざなってくれる、それが俺の思う良きDJです。
ラップってのが面白いところは、ラッパーの人生とほぼ同期されてるアートフォームなんですよね。
つまり、曲を理解するということは、そのアートが発露された背景である人生を理解していくことになるわけで、
そこの解像度の高さがpekoやんは異常なんですよね。
例えば、ただリズム、グルーブ、コード感で綺麗につながる曲を探すことはAIだとすぐにできるけど。
(ただ、ここには「サブスクにない」って言う、AIには渡れない大きな川が横たわってるんですよね、
権利関係も宙ぶらりんなまま、アーカイブ化されていない音源がたくさんあります。
それを手元に保持していることが一つ、良きDJの指針でもあるというか。
保持しているということは、つまりは「買った」んですよね。
当たり前だけど、この事実をよく忘れがちになるんですが、
単純に良きDJたちは自分達が稼いだお金をまたシーンに還元している人たちでもあって、
やはり、その姿勢には憧れや、敬意を払わずいれないです。)
逆にズム、グルーブ、コード感を無視して、音楽と関係のない文脈だけで曲を繋げていくなら、
もしかしたら「オタク」的に日本語ラップと関わっている人の方が強いかも知れないです。
でも、その人たちは情報としての横断が上手なわけで、音楽としての横断とはまた違うわけで。
この音楽としても、情報としても、そのかけ離れた両サイドからの視点からの
最適解を出し続けるのが、やっぱpekoやんなんです。
なので、予習をせずに、昼寝だけしっかりして、その日に自分が好きな曲を感覚的に見つけていくみたいな、
楽しみ方もすごく素敵だなと思うんですよね。
予習をすることで楽しめる部分もあれば、何も知らないから楽しめる部分もあって。
この塩梅が、DJイベントだと難しい。
そもそも、DJが何をかけるは、DJ以外は知らないし、もしかしたらDJ自身も知らないこともあるので。
(げんに過去の8耐で、その夜、その瞬間に生まれた素晴らしいルーティンを俺は隣で何度も目の当たりにしてます)
知ってることでマウントを取られる世の中になりつつあると感じるんですが、
知らないということは素晴らしく、なぜなら知るという感動が残されていて、
それは知った人間はもう2度と味わえない、素晴らしいものだと俺は思うんです。
(書きながら、かまいたちの「トトロみたことない」のネタを思い出しました)
なので、知りたい好奇心と、その夜を使い果たせる体力だけで乗り込んで大丈夫。
pekoやんとnoonが生み出す、奇跡を信じて。
それでも「不安」だとか、「より楽しむために」って声が聞こえてきそうなので、初歩的な部分を話すと。
自分の好きな動きやすい服と靴でくる、あと荷物と上着はクロークに預ける。
8時間あるので、無茶はせずに定期的にバーカンに立ち寄って水分補給をしつつ、
アプリの「シャザム」をいれて、気になる曲が流れたら、こっそり調べてみたりする。
当然、最前列でずっと音楽を楽しみ続けるのもいいし、
あえてバーカンで友達と話したり、その日出会った人と乾杯してみたり、
なんせ、正解の楽しみ方が1つではなくて、一晩かけて自分の楽しみ方を探す。
たぶん、朝方にはなんとも言えない多幸感に包まれて、ぽーっとなると思います。
その上で、最も忘れて欲しくないのが、身体性です。
「音楽が持つ、プリミティブな喜びはなんのか」が置き去りになっている時が多くあって。
正確にいうと音楽に限らず、多くのものが脳みそだけで楽しむようにデザインされてしまってて、
身体が放置されてると思うんですよね。
簡単に言うと、「自然と身体(心)が動く」これを大切にして欲しいんです。
例えば歌詞における、ライムやポエティック、登場する固有名詞は脳みそで理解して楽しむ部分なんですが、
リズムやフローやメロディーは、何も知らなくても楽しめる要素なんです。
小さな子供ですら、小気味いいリズムが聞こえてきたら身体を揺らしたり手を叩いたりするように、
もう、どの人にも標準装備で音楽を楽しむ力は、ついてるはずで。
大人になると、人と違う動きをするのが、なぜか恥ずかしくなって、みんなが手を上げたら、上げる。
右みて、左みて、同じ行動をしてしまう。ありますよね。分かります。
でも、そんな照れは手荷物と一緒にクロークに預けてきてください。
身体も心もゆるゆるにしてて、ビビッときたら正直にその衝動に身を預けて、身体をぐわんぐわんして、
足をダンダンと踏み鳴らしてください。
時には手をあげたり、ふったり、ラッパーのように手でリズムを取ったり。
もう好きにやっちゃいましょう。
自然と身体が揺れて、その揺れでほぐれた心にメロディやフローが飛び込んでくる。
そこに意味が少しだけあるから、身体が熱くなったり、涙がこぼれたりするんだと思うんです。
だって前の8耐が2019年で4年ぶりの開催で、
今回が終われば次がいつあるかなんか、誰も分からないわけで。
最初に書きましたが、1人で音楽を聴くこととは全く別もんなんですよ。
昔の8耐終わりに書いたブログから自分の文章を引用させてください。
長くなったし、ただ思いをつらつら書いて良いアドバイスになったのかも
少し怪しいんですが、言葉を扱う人間の癖に、
この8耐の魅力は言葉にならない部分が多分に含まれてて。
行間に隠れている、日本語ラップへの愛や、8耐へのトキメキを感じてもらえれば幸いです。
最後に過去に、pekoやんやKZが書いた話した、8耐関連の読み物をまとめておきます。
それでは、noonで会いましょう。お互いにとって、最高の夜にしましょうね。
『俺が狂ったのは』Written by peko
#アマチュア8耐 とは何だったか。 Written by KZ
アマチュア8耐ロングインタビューvol.3
日本語ラップとはなんだ,8耐の心構え
アマチュア8耐ロングインタビューvol.2
DJ,サイドMC,HIPHOP
アマチュア8耐ロングインタビューvol.1
基本のキ
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