『返校 Detention』と「クーリンチェ少年殺人事件」
『返校 Detention』(Nintendo Switch版)
台湾で開発された「白色テロ」下の台湾を舞台にしたホラーアドベンチャー。操作方法はオーソドックスなポイントを調べてヒントを集め謎を解くタイプです。
『返校 Detention』の評価
単純に怖い。不気味さの残るプレイヤービジュアル、映画的に画面からフレームアウトした場所にカメラを戻すと何かいるとか。ゲーム画面のフレームインフレームに区切られた校舎の窓とかピロティの柱。ろうそくの頼りない光と圧倒的な闇影とか。スクリーンショット撮影禁止パートのアレとかコレとか。台湾ホラーいい加減にしろよ(涙)
甘美な敗北には下準備が大切だ。
という普通のレビューは置いといて、このホラーゲームについては各方面から評判を聞いていたのですが、よりこの作品のホラー味を甘美に味わうべく、事前に「クーリンチェ少年殺人事件」を摂取したうえで事に及びました。おかげで登場人物(学生たち)のビジュアル面に関しては完璧にイマジネーションできるようになり生々しくて逆につらい。見知った顔が恐怖に巻き込まれていく姿はみてらんない。たすけて。
「クーリンチェ少年殺人事件」Filmarksでの感想
映画自体は起伏が少なく冗長なんですが、そのぶん登場する町の人々の描写が生々しくてフィクション作品とは思えない域まで達しています。できる限り人物相関図とかを用意しての摂取がおすすめです。当時の学生生徒は服装や髪型に特徴がないので。そこが「返校」でのホラー描写につながってくるのでヤダ味がつよい。
白色テロ
政治的な話題であり勉強不足なのでリンクを張るにとどめます。
映画では「政権が移ろい密告が推奨される社会情勢」「日常的に戦車が走り軍隊が目の前にいる」「大人ですら足元がおぼつかない社会不安」「少年たちは徒党を組み自警的な暴力を振るう」「旧日本軍が残した日本家屋に住み旧日本軍が残した軍刀や銃が沸く」みたいな描写が舞台装置となっていました。確固たるエゴを固められない時代というのは不安で目が離せないですね。
陰惨な校舎から脱出しろ!!
というわけでゲーム本編なんですが、台湾独自の文化や怪異ビジュアル、ギクシャクした時期の動きに半泣きになりながら校舎を右往左往したり、シナリオのフラグを立て損なったせいでサイコパスどころではない行為をしたりするアドベンチャーゲーム下手杉問題が発生しています。ゲームは下手な方がたのしいね!(こわい)そして、章ごとのボス格と思われる恐怖体験。徐々に明らかにされる「信用できないタイプ」の主人公、陰鬱な校舎に潜む謎に囚われていくわけです。(おばけもでる)
未来へ
少年少女は怪異体験の中でどこへたどり着くのか。紙飛行機が象徴する夢の先とは……?『返校 Detention』オススメです。