交渉の極意
交渉とは戦いではなく、相手の欲を満たし、自分の利益を最大化するゲームなのである。
交渉は2人以上の人物が存在すると発生する利害の対立とその調整である。
極意というと、心理テクニックで駆け引きをするイメージが多いだろう。
メンタリストのように相手を操り、自分の利益を実現する。
詐欺師になりたいのであればそれでもいいが、ここではビジネスでの極意だ。自分と相手ともに利益があり、世の中にも貢献する必要がある。
それでは極意をお伝えする。
STEP1:相手の話を聞き出す
相手の求めているモノを知ろうとすることが重要である。
人は自分の利益を実現させるため、自分の主張を相手に押しつけがちである。
俺は相手の話を聞いている、と思ったあなた。
相手の主張を耳に入れているだけではダメである。どうせ耳に入れただけで、自分の主張を繰り返し、結局は落としどころを探すか、力関係で無理矢理決めるかだろう。
例えば、相手が何を思ってその主張をしているのか。どういった関係者が存在しているのか。相手が本当に実現したいことは何なのか。
相手のことが好きでしょうがなくて、何でも知りたいくらいの気持ちで聞いているだろうか。
STEP2:相手が本当に求めていることを見つける
相手の求めていることは1つではない。1つに見える場合でも裏にはいろんな思いがあったりする。
それをSTEP1で色々聞き出した中にヒントがあるはずだ。ヒントがないならもっと聞く。相手は自分の気持ちを正確に把握していない方が多い。カウンセリングしているつもりで相手の気持ちを考えて欲しい。
売買の取引だと価格や量などの定量的なところに目が行きがちである。もちろんそれは大事な要素だ。
でも、敢えて定量的なところを考えて欲しい。相手は何のためにその取引を行いたいのか。なぜ価格や数量にこだわっているのだろうか。
そうやって裏にある目的を考えると、相手の本当に求めていることが分かってくる。相手が直接教えてくれるのは相当希なケースである。
例えば、数量にこだわるのは単にノルマを達成しておらず、上司にきつく言われているのかもしれない。
もしかすると実は価格や数量以上に重要なことがあるかもしれない。それは製品の品質かもしれないし、社内での自分の立場かもしれないし、ひょっとすると自分の話を聞いてくれる存在かもしれない。
相手が本当に求めていることを聞き出すのが重要でなのである。極論を言うと、自分の話はしなくてよい。
STEP3:自分が本当に求めているモノを考える
相手が自分が本当に求めているモノを理解していないということは、あなたも自分が本当に求めているモノを理解できていない可能性があると言うことだ。
彼を知り、己を知れば、百戦危うからずという孫子の言葉があるとおり、何のために自分が交渉しているのか、一度冷静になる必要がある。
STEP4:自分が提供できるモノを考える
相手の求めているモノを知った後は、それを満たすことができる提案を考える。
その際、最も重要なことは自分が負担なく提供でき、かつ相手がより喜んでくれる方法であることだ。自分の負担と相手の利益は比例しない。これは忘れがちな大事な点だ。
さらに相手の利益を実現させることで、自分が求めているモノも実現できれば言うことはない。
お互いの利益が一致しているところは案外多い。
それを探るためには定性的な要素に注目するとよい。
価格や数量といった定量的な要素は、その裏にある定性的な要素があるものだ。
何にこだわってその数字になっているのか。重要なのはその定性的な要素を満たすことなのである。
それが分かれば案外提案は難しくない。
STEP5:交渉
STEP4で考えた提案を武器に、詳細を決める。
最終的には駆け引きは発生する。だが、ここで重要なことはSTEP4で考えた提案で相手は満足すると言う点だ。
例えば、価格が多少思い通りに行かなくとも相手は満足なのである。逆に言えば相手から素晴らしい提案があれば、あなたが譲歩したって問題ない。なぜならば、それを上回る利益が手に入るからだ。
おまけ
最高の交渉の終わり方は、双方が自分の利益が大きかったと思うことである。
自分と相手は立場が違う。同じモノでも価値の感じ方は違う。お互いが自分には価値が低い(負担なく提案できる)が、相手が心から求めているモノを提案しあえれば、それは最高の交渉結果となるのである。
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