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経営者が知っておくべき、「withコロナ」で生まれる組織の分断リスク

性格傾向データを活用しスタートアップ・ベンチャー企業への組織課題解決や採用支援を行うなかで見えてきた、withコロナ社会で発生する組織課題について。

心理学的なポジションから、経営者・マネージャー層が知っておくべきことを発信していきます。

社会環境は変わったけれど、人間の脳は変わらない

今、世界は1つの脅威、同じものを見ているはずなのに個人個人の反応が違うのはなぜか。

もちろんそれぞれの立場や職業など条件が違いますが、例えば医師や政治家など似たような職業でも楽観や悲観、人によって反応はそれぞれです。

その要因の一つに、脳や神経伝達機能の個人差による認識の違いがあげられます。

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社会は突然変わってしまい、見えない脅威を身近に感じながらも経済機能を支えなくてはならなくなりました。行動は制限され、SNSには不安や絶望が充満しています。

外出自粛や在宅勤務、学校・保育園の自粛など、働く人の環境はコロナ禍以前とは大きく変化しています。

従来ならば、仕事の時間だけは同じような環境のオフィスで一緒に働けていたメンバーも、それぞれの物理的にも感情的にも全く異なる環境で過ごさざるを得なくなりました。

withコロナの時代に変わっても、人間の脳は変われません

環境が変わると、人はそれぞれ脳の認知の偏りに応じて、その環境に適応しようとします。その結果、考えや行動、価値観がそれ以前と劇的に変化することがあります。

経営者やマネージャーが「みんな自分と同じ感覚・認識で生きている」という前提でメンバーを判断していると、大きくすれ違いが起き得ます。

弊社保有のデータでは、経営者の43%が「リスクに鈍感で大胆」「他人の感情の機微を読み取れない」傾向が強いとなっています。

全データでは22.4%なので、経営者は「リスクに鈍感で他人の感情の機微を読めない脳」である確率が他の人の約2倍。

メンバーの価値観が大きく変わっていても気がつかない、または軽視してしまい、後で取り返しのつかない組織の分断を生んでしまう可能性があります。

では、環境変化によって引き起こされる組織のズレを防ぐためにはどうしたらよいのでしょう?

まずは簡単な脳と性格の仕組みについて説明します。

脳機能の個人差からくる認識の差が性格につながる

脳や神経伝達機能の個人差による認識の違いについては、例えば最近よくビジネス書や自己啓発系の書籍で扱われる、性格の内向 or 外向 があります。

内向 or 外向 については、脳が外からの情報や他者との関わりといった刺激に対して敏感か、鈍感かで傾向に差がつきます。

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敏感な人は、「1人でいるだけで充分刺激的」といった感じで、目標達成や昇進といった報酬的な刺激を重視しません。それよりも自分自身で納得できるかどうかを追求していく傾向があります。

鈍感な人は「もっともっと刺激がほしい!」と他人と会ったり、出世・年収増加という報酬的な刺激を求めるような傾向となります。

他に、脳の機能の個人差からくる傾向で実感しやすいものですと神経質かどうかがあります。これは、命に関わる危機などに対して敏感か、鈍感かで傾向に差が出ます。

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同じものを見ても「危ない!今すぐ逃げなきゃ」や、「このくらいまだまだ大丈夫だろう」と感じ方が異なる人が存在するのはこのためです。

例えば3月に入ってからは、弊社のクライアント企業からも様々な声が聞こえるようになりました。

「うちの経営陣はこんな時に無茶をしようとしている。あれもこれも、とてもじゃないがリスクが高すぎて賛同できない」

「あの人は、なんでそんな細かいことまで気にするのかわからない」

特に今は、命に関わる緊急事態のなかでスタートアップとして成長を目指さなくてはならない特殊な状況になってしまったため、この脳の傾向の個人差が組織や社会の分断を生みやすくなっているのかもしれません。

その他にも、物事に対して「今ここにあるものだけを見る」か、「想像を膨らませて未来を見る」かといった傾向も、脳の機能の個人差によるものが大きいです。

人間は「今はないもの」を想像し創造することで発展してきましたが、それは今目の前にあるものをそのまま認識しないという認識の偏りです。

これらは、ビッグファイブ理論というもので科学的に証明されています。

人間の性格を表す言葉を無数に並べて、カテゴリごとにまとめていくと5つの因子にたどり着く。この5つの因子の特性で個人の性格が構成されているという理論。医学の発達により脳や神経伝達物質の機能差と5つの因子が相関していることが認められている。

これら5つの因子は人類の進化の過程での淘汰を経験し現代にも残っているため、どの因子の傾向が強い人が優れているという判断のためにあるものではありません。

命の危険を感じにくい人はメンタルも強い傾向がありバリバリ仕事をこなせそうですが、統計的に見るとトラブルに巻き込まれ早く死亡する確率が高いという研究結果もあります。

「リスクを取る人の方がすごい」という風潮はありますが、当然ながらリスクを取ることはそのリスクによって死んでしまう確率を上げるのです。人類が全員リスクを取るのが好きな傾向だったとしたら、とっくに滅んでいたかもしれません。

当然、会社組織や狭いコミュニティ内で合う/合わないはありますが、人類のために必要のない傾向というのはないはずです(あったら進化の過程で淘汰されているので)。

コロナ禍以前は、スタートアップ界隈の空気は「最速で成長すればいくらでも資金がついてくる」という流れでした。

しかし今は、資金供給がどこまで保たれるかわからず、人と人との接触が必須で成立そのものが不透明になった領域が出てきたり、今まで絶好調だったSaaSに見直しと解約が相次ぐなど様相が一変してしまいました。

社会の空気が変わると、人はそれぞれの認知の偏りに応じてその環境に適応しようとします。その結果、考えや行動、価値観がそれ以前と劇的に変化することがあります(大事なことなので2回目)。

「みんな自分と同じ感覚・認識で生きている」という前提で人を判断していると、大きくすれ違いが起き得ます。そうならずに組織を同じ方向に進めていくために以下の3つのコツがあります。

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お互いの性質を把握し、お互いの性格傾向を認識し尊重し合うだけで、コミュニケーションにおける問題の多くは解消されます。

経営者やマネージャーは、今メンバーがどんな認識・気持ちで仕事に臨んでいるのか、自分が全体と比較してどのくらい偏った認識をしているのかを科学的に理解する必要があります。

その上で、目指すビジョン・目標に向かいメンバーが最も力を発揮できる環境を整えていきましょう。

お互いの、脳からくる根源的な性格傾向を知らない状態での「もっと貪欲に目標の更に上の結果を出してほしかった」「もっと私の気持ちに寄り添ってほしかった」といった合意なき期待のかけあいは、呪いと変わりません。

歴史的な社会変化のなか、スタートアップ企業が本当にやるべきこと・本当に向かうべき方向に進んでビジョンを達成するためにも、今こそ組織内のコミュニケーションを見直してみませんか?

在宅勤務により浮いた通勤時間分を、お互いの価値観・根源的な性格傾向を認識しあうために使ってみてはどうでしょう。

まとめ

・自分の認識の偏りを知る
・メンバーなどコミュニケーション相手の傾向を知る
・合意のない期待という呪いをかけあわない組織に
・それができないなら最初から採用しない、入社しないがオススメ

脳の機能の個人差から生じる認識の差異・性格傾向を知る方法

【参考になる書籍】

↑ビッグファイブについての知識と、個人の5因子の数値傾向を測定するための簡単な質問が得られます。

【本を読むのが大変なときは】

企業の経営者やマネージャーで組織全体で性格傾向の把握と活用を行いたいという方は、5月末まで有償の組織診断&アドバイスサービスを無償提供いたします。

社会課題を解決するビジョンを持ったスタートアップ・ベンチャーがより早くビジョンを達成することを性格傾向データを活用した組織最適化の側面から支援することが弊社が今できる貢献かなと考えています。

ご希望される経営者・事業責任者の(またはそれに準ずる)方は、以下の記事をご覧ください。


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