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広告クリエイティブ視点で読んだ本(SHOE DOG)

これは、広告クリエイターの僕が広告クリエイターとして世の中の流れをみたり、広告クリエイターとしての調査能力・問題解決能力を発揮したり、広告クリエイターとしてのセンスを遺憾なく発揮したうえで皆さまにさまざまなことを「広告する」noteです。

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ずっと前から読みたかった本、NIKE創設者のフィル・ナイト氏の自伝「SHOE DOG(靴にすべてを。)」を読了しました。SHOE DOGとは、いわゆる「靴バカ」みたいな意味ですね。分厚いけど小説のようにぐいぐい読み進められるので、ビジネスやブランディングに興味のある方にはとってもお勧めです。


バック(フィルの愛称。なぜバックなのかはぜひ読んでみてください)はオレゴン州ユージーンにあるオレゴン大学(University of OREGON)の卒業生。実は僕も学生時代オレゴン大学に1年間留学していたので、ずっと親近感を感じていました。

オレゴンは自然が豊富でとてもいいところなんですが、言ってみれば田舎町。NIKEはそんな小さな町で、「ブルーリボンスポーツ」という日本から靴を輸入する会社(従業員はバックのみ!)として設立されました。設立といっても、最初は口から出たでまかせの会社。日本の会社と取引をはじめたいがために成り行きで言ってしまった会社名だったんですね。
そしてそのどうしても取引をしたかった日本の会社というのがオニツカタイガー。いまでいうアシックスです。NIKEの創設者の最初の仕事が、実はオニツカタイガーの靴をたったひとりでアメリカに輸入して売ることだったという意外過ぎる事実、知らない方も多いんじゃないでしょうか。

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このバックという人、頭がいいのはもちろんなんだけど何がおもしろいかって子どもの頃に野球チームに入れてもらえなかったことを根に持っていたり、会社もないのに単身日本に飛んで契約を結んできたり、陸上競技を愛していたり、仲間への信頼感がハンパなかったり、毎晩父親と電話で話したり、なんというか特別な生まれや目に見えた才能があるというわけでもなく、そのへんの兄ちゃん感をずっと持ち続けている人なんですよね。誰もが知っているNIKEをつくった話なのに、あれ?これって努力とか行動力とかの問題で実は誰でも企業できるんじゃね?とすら思ってしまいます。(まぁ時代やタイミングもあるんでしょうけど。あと、そもそも会計士という時点で超優秀なんですが。)

個人的に興味深かったのは、何度も訪れる現金ショートの危機にもかかわらず、最後まで会社の上場を渋ったこと。どちらかというと利益を追求して大きくなったというよりは、自分たちの好きなこと(スポーツを支えること)をやり続けたいという想いが強かったために、株式を公開することで会社の理念がブレることを極端に嫌ったそうです。

広告クリエイターとしての目線でも、今でもNIKEの多くの広告が人の心を動かし続けているのは、こうした創業者たちの想いが脈々と受け継がれ続けているからだということがよくわかりました。「ただの靴屋さんがどうしてこんな広告を打つのか」とか「こんなCMをつくったところで靴が売れるのか」とかさまざまな意見はありますが、この本を読んで彼らの理念に触れることでそうした広告たちについてもポジティブな見え方がしてくるのではないかと思います。

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特に印象に残ったのは、「ビジネスとは何か」という章。ビジネスにおける利益を血液に例えて記した印象的な文章を引用します。利益と血液…いつか広告コピーに使えそうな気もします…

〝ビジネス〟という言葉には違和感がある。当時の大変な日々と眠れぬ夜を、当時の大勝利と決死の闘いを、ビジネスという無味乾燥で退屈なスローガンに押し込めるには無理がある。
 一部の人間にとって、ビジネスとは利益の追求、それだけだ。私たちにとってビジネスとは、金を稼ぐことではない。
 人体には血液が必要だが、血液を作ることが人間であるわけではないのと同じだ。血液を作るような人体の営みは、より高い次元の目標達成に向けた基本的なプロセスだが、それ自体は私たち人間が果たすべき使命ではない。その基本のプロセスを超えようと常に奮闘するのが人生だ。

更に詳しく知りたい方は、ぜひ読んでみて感想を教えてください。

おすすめ度    ★★★★★
クリエイティブ度 ★★★★☆
コスパ度     ★★★★☆
本棚映え度    ★★★★★

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