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【読書感想文】松本山雅FC 街とともにつくる劇場

アウトプット第2弾です。
今回は読書感想文を書きます。

【文献紹介】

フットボールサミット 第22回 松本山雅FC 街とともにつくる劇場
(2014年6月17日 創刊)
https://www.amazon.co.jp/dp/4862552544/ref=cm_sw_r_cp_api_i_ARQ-Db9PZ339E

【この本を選んだ理由】

松本山雅FCは長野県松本市を中心に9市町村をホームタウンとするJリーグクラブです。
2015年に初めてアルウィンへ足を運んで以来(この時は柏レイソルのアウェイゲーム)、非常に興味深いクラブとして活動をチェックしています

人口25万人弱の松本市において、何故これほどまでに人気があるのか?ずっと疑問でした。
ならば過去を紐解く文献を読めばいいんだ、という事で喫茶山雅(*1)を訪れた際に見つけた当本を購入するに至ったわけです。

*1 松本山雅FC発祥の喫茶店をモチーフにしたカフェ
https://www.yamaga-fc.com/kissa-yamaga

【松本山雅FCの人気】

人気のヒントは、当時社長の大月弘士氏を始めとする各クラブ関係者のインタビューにありました。

大月元社長(現取締役)
「このクラブは我々が主導したのではなく、多くのサポーターや地域の皆さんなどの協力があったからこそ、一歩一歩ステップアップしてここまで来られたんです。そうやって街として十分に盛り上がったときに必ず昇格できると思っているし、それが松本のスタイルなのかなと思うんです。」
八木取締役
「山雅は地域活性化に間違いなく貢献しています。みんな松本を叫びたいし、俺たちが松本だよと誇りたい。その気持ちに気づかされた。それが実現できたのは、みんなが手を取り合い協力してきたから。一枚岩になってぶち当たってきたからです。」
加藤GM(現副社長)
「これまで山雅をつくってきた人たちの話には、『地域のために」という言葉が必ず枕詞に付く。自分たちの存在は地域があるからこそ。だからがんばって恩返しをする。それが存在意義であり、そういう組織であり続けなければいけない。」 
神田管理本部長(現社長)
「こっちに復帰したときに、2005年の北信越2部時代に感じた、クラブの温かさや緩さというものがずっと残っていて、あれから純粋にサポーターや地域のことを一番に考えながらやってきたんだなと感じたんです。」 

一様に「地域のために、松本のために」という言葉を口にしていました。
また神田氏は以下のようにも語っています。

「クラブの人たちが、なかなかできそうでできないことをやり続けて、ここまで大きく育ててきたんだなと思います」 

どのクラブも「地域貢献」という言葉は口にしますが、本当に実現できているクラブは数少ないのではないか?と感じさせられました。

具体的な施策について語られている部分は少なかったですが、信州2部リーグ時代から、Jリーグへ昇格しJリーグへ生き残っていくために必要なものは何か?をビジョンとして標榜し続け、実現するための地道な活動を続けてきた結果の賜物なのでないでしょうか。

そして「Jリーグへ昇格しJリーグへ生き残っていくために必要なものは何か?」を語っている部分が大月氏のインタビューにありました。

【松本山雅のビジョン】

インタビュアーの鈴木康浩氏が以下の質問をしていました。

「J1リーグに加入した12年の初頭の大月社長のインタビューを見直しますと、そこで中長期のビジョンを掲げられています。第一段階が予算6億2000万円で、観客動員が平均1万人、第二段階が8億円で平均1万2000人、第三段階が10億円で1万5000人。当時の日本経済新聞の取材には『長期的には15億から20億まで予算を持っていきたい』と話されています。」

正直、驚きました。2012年は松本山雅FCがJ2への初昇格を果たしたシーズンです。
観客動員数と予算を紐づけたビジョンを掲げ、将来的なJ1定着を目指した具体的な数字を示している。

これはサポーターからしたら刺さりますよね。
もちろんお金が必要なことを理解していても「どれくらい必要なの?どうやって増やすの?」という部分は中々ハッキリしない部分だと思います。

故にサポーターもどう行動したらよいのか分からない、というのはほとんどのクラブにおいて当てはまる事だと思います。

しかし松本山雅は、当時の社長自らが明確な金額と観客動員数を示した事でサポーターも何をすればよいか、が具体化されたのではないでしょうか。
これについては神田氏もこう語っています。

「サポーターが増えるというのは一番のスポンサーのメリットになりますからね。それと山雅のサポーターが温かいなあと思うのは、応援してもらっているスポンサー企業のホームページを見てその店舗に行くようなことが結構あるみたいで。スポンサー企業さんからは『そういう繋がりが見えますよ』というお声も頂くんです。やっぱりここでもサポーターのおかげなんだなと思うところが一つ。」

スポーツチームをスポンサードするメリットは「広告効果が向上し商売に繋がる」以外にありませんから、サッカークラブにおいてサポーターの活動は欠かせません。

「ただ一方で、山雅のコアなファンの方々からは『あまりメリットありきの組織にしたくないんです』というお声も頂いているんです。それを私が伝えるのはおこがましいですけれど、そう感じている方がいるということを企業さんに伝えることはできます。そういうファンの方々のクラブに関わるときの主体的な姿勢というのが、山雅の輪をここまで広げてきたのかもしれないな、なんて逆に学ばせてもらったりもしたんですよ」

クラブがオープンに現状とビジョンを掲げる事でサポーターも主体的になるのでないでしょうか。
まだまだ観客動員とお金が必要と分かれば

・スポンサー企業に還元する
・観客動員のために家族や友人、同僚に輪を広げる

という活動がどんどん広がっていきますね。
もちろん上記だけではなく、スタジアムの魅力や地元出身選手への思い入れ、などクラブが発信する様々な魅力があるのは間違いないと思います。
(私自身もアルウィンへ足を運んで感じる魅力はたくさんありました。)

それらも含めた松本山雅という環境が、ホームタウンやサポーターなどクラブに関わる全ての人間に浸透しているからこその今があるのだな、と強く感じさせられました。

【まとめ】

松本山雅は2019年には約25億円規模のクラブとなりました。
2012年時の大月氏の長期ビジョンがいつまでを基準にした目標であるかは分かりませんが、約20億円以上の予算増を成し遂げるのは簡単ではないと思いますし、達成するには本当に血の滲むような地道な経営努力があったからこそではないでしょうか。

しかしここ数年、一気にJ1クラブの予算規模が膨れ上がったためまだまだ足りない状況になっています。
ただ2019年最終節、アルウィンに足を運びましたが、まだまだ伸びしろと可能性を感じました。

降格が決まっている最終節であろうとアルウィンを埋め尽くすサポーター。
活気あふれるクラブスタッフの会場運営。
募金ブースでは選手もつられてスタッフの方と一緒に大声で募金を呼び掛けていました。
そして、ホームタウンに仲間入りした町村長の「ホームタウンに入れて頂いた」という言葉からは松本山雅のブランド力を感じました。

松本に関わる人たちが足を運びたい、まだ知らない人にも足を運んでもらいたい、そう思える空間が松本山雅FCの歴史そのものであると、地域リーグ時代からクラブを造ってきた人達のインタビューから感じる事ができました。

新しくサポーターになった人も、創立の歴史やクラブを運営しているフロント陣が "どう考え、どうクラブと向き合っているのか" を知る事が出来ますし、それによって古くからいる人達と同じ視点を持って、主体的に活動していけるようになるのではないでしょうか。

私が言うのもおこがましい話ですが、最近サポーターになった方には是非とも読んで頂きたい一書です。

【あとがき】

今回は、なぜ人気があるのか?をフロントの方々にフォーカスを充てて考えてみましたが、まだまだ他にもたくさん魅力の秘訣があると思っています。

松本山雅FCサポーターの皆さま、まだまだこんな魅力があるぜ!というのがあればどんどん教えてください。
また新たな視点を持ってアルウィンに足を運び、観察・分析をしてアウトプットしていきたいと思っています。 

※妻とガンズくん

ちなみにフットボールサミット第31回も松本山雅についての特集です。
私は既に購入して読み始めています。これの読書感想文はまたいつか…笑

フットボールサミット第31回 特集 松本山雅FC 『フットボールサミット』議会 https://www.amazon.co.jp/dp/4862553184/ref=cm_sw_r_li_dp_U_rwV.DbKHDTEZ5

以上、アウトプット第2弾でした。

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