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絵を描かなくなったこどもたち


個展会場に設置した感想ノートには、感想だけに限らず来場者の方々の様々なコメントが残されています。

個展会場に着くとまずはじめにこの感想ノートのコメントを読むのですが、これが個展中の一つの楽しみでもあります。

中津個展初日、午前中散歩をしたあと会場に戻ると一つめのコメントが残されていました。

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「ぞうさん」「正義の味方」が
心に残りました。

絵を描くのが好きだった息子が
「僕もうかかない かきたくない」
といってまったく描かなくなりました。

早くこの作品に出会わせてあげたかったな。

周りの大人やともだちのことばは
ざんこくで、折れた心を
治してあげられませんでした。

これからもいろんなところで
たくさんの人を
勇気づけて下さい。

気軽な気持ちでページを開いたら1ページ目にこのコメントがあって、胸がきゅーっと締め付けられました。

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このノートに残されたコメントのように、小学生や中学生になって子どもが絵をきらいになったとか描かなくなったという話を時々聞くんですよね。

そういう話を聞く度につらいなぁと思ってて。

絵を描かないと生きていけないわけじゃないけど、絵を描くのが好きだった子どもが、絵を描くのが嫌いになってしまうのはかなしいことですよね。

自分自身で絵を描くのが楽しくなくなったなら仕方ないけど、先生や親や友達の言葉や授業がきっかけだったとしたらそれは残念。

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(これは、実家にあった小学校の時に描いたであろう絵。笑)

ぼく自身、絵を描くのは好きでも嫌いでもなかったんですけど、小学校5年か6年の時に少しだけ絵を好きになれた出来事がありました。

図画工作の時間に、自由テーマで絵を描く授業があって、その時にぼくが描いたのが「月面の秘密基地」みたいな絵だったんです。

1日目は下書きまで描いて、2日目の授業で大体みんなは絵を完成させていってたんですけど、ぼくは太陽の色塗りだけに2日目の時間をほとんど使っちゃったんですよね。

当然完成するわけもなく、太陽だけ塗って提出したら、当時の担任の先生がみんなにぼくの絵を紹介してくれたんです。「木村くんの太陽のグラデーションがとても綺麗だよ」って。

かなり恥ずかしがり屋だったので、嬉しさと照れで顔を真っ赤にしたのを覚えてます。

その出来事があったからか、それ以来、宇宙の絵や太陽の絵を描くのが好きになりました。詩太になる前に趣味で絵を描き始めた頃も、最初の頃に描いたのは太陽の作品でした。

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あの時先生から褒められたことがぼくの中で自信になったのは間違いないです。

身近な大人の一言が子どもに自信の種を植えることがある。逆に、芽を摘んでしまうこともある。

ぼくは、子どもに自信の種を植えられる大人でありたいなと思い、保育園や小学校でのライブペイントやお絵描き教室に臨んでいます。

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そして、この「ぞうさん」という作品にも、そんな想いを込めました。

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上手いとか下手とかそんなことよりも、大事なことがあるんじゃないかなと思ってます。

好きだと言ってくれる人がいてくれればそれでいいはず。それが例え自分自身でも。

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ぼくは自分自身で絵は得意とは思ってないけど、こうやって好きって言ってくれる人がいてくれるから、自分の絵をだんだん好きになれてきました。

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絵を描かなくなった子ども達がもう一度絵を描くのを心から楽しめる日が来ることを願って、これからも子ども達と関わっていきたいなと思います。

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