映画感想：シビル・ウォー アメリカ最後の日

「見たほうがいい」
という識者のコメント（映画の評論家とかではなく国際・経済・ビジネス分野の方）を受けて見てみた。期待値は上げ過ぎている。
今、大統領選の中で分断された米国を感じつつ見るのは意味があるかも。
原作はもっとシビルウォーだったのかもしれない。

雑感

なぜ内戦が起きたのか？は全く説明されない。
説明されないが、たしかに内戦が起きてもおかしくない国ではあるので、視聴者の知識と想像力に委ねているのだと思う。
西部連合の目的も語られないし、道中で出会う人たちが戦っている目的、戦っている相手についても説明はない。本人たちが分かっていないまま戦争に突入した状況が想像される。

誰もが、メディアや文化で伝達されるアメリカンドリームの夢にだけ目を奪われ、現実の世界の状況を見ずに、想像していた自分のストーリーと現実の乖離に苦しむ。
そのせいで、他国に憎悪を燃やす、自分以外の成長している・儲かっている誰かに反発する、その炎の燃え先が目の前を通る誰かになる。

そして戦争が始まった。のだろう。きっと

とにかく人がバンバン死ぬし、すでにバンバン死んでいてそこかしこに死体が映り込む。その一方で、リーの親もジェシーの親も、田舎で農業をしていると語られる。戦闘が激しい地域と、全く戦場になっていない地域の格差がありそう。

アメリカ以外の海外のことは全く語られない。こんな状況なら米国に誰か攻め込んでもおかしくなさそうだが…

アメリカの分断を描いた映画、として宣伝されたが、実際はマスコミの人を描いた作品でありつつ、鳴りやまない北米の音楽だった。

ラストあたりの戦闘の描写にはリアリズムは全くない。人情とエンタメ。メディア像を描いているのにリアリズム無視ってどういうことだろう。
地上戦で大統領を追い詰めていく描写は泥臭い。

日本での評価はイマイチ。納得感はある。日本、ジャーナリズムへの忌避感があるから、ここまでジャーナリズムロードムービーだと共感しにくいよね。

あらすじ

以降はあらすじのメモ

ネタばれが含まれます。

かつ表現・呼称が正しくない可能性もある（米国知識がないから）ので、そこは注意です。

↓

あ

ら

す

じ

わ

き

ば

ら

↓

冒頭は、まったくメディアの前でインタビューに応じていない大統領の姿から始まる。

その後、おそらくニューヨークの困窮した姿を映しつつ、日々起きている内戦後のアメリカの姿を描く。これが明確に、今のニューヨークから想像できる概況として視聴者の目にさらされる。テント生活、電気が止まる、道路は荒廃、誰もいない街

すでに内戦が起きて数年が経過、主人公たちはニューヨークにいるジャーナリスト、メディアの人。荒廃はしているが、内戦が激しい地帯ではなさそう。ストーリー展開していく中で、やはり多様なアメリカの姿が描かれる。

連邦政府がそろそろ負けそう（でも連邦は西部連合に対してずっと降伏を呼びかける放送を流してる。このあたりは”本当のことを言わない政府”のイメージを想起させる。やはり、リベラル系かつ独裁の政府、というイメージだったのだろうか）
負けると殺されてしまうので、その前に米国大統領にインタビューをするために主人公たちは西から東海岸の方面へ車を走らせる。
なので、主人公たちは西部連合の管轄下。最後まで基本的に西部連合の下で行動していく。
主人公（リー、50歳くらいの女性、ソニーのデジタル一眼カメラ）が、仲間の男性、報道の先輩初老かつデブの男性、主人公が助けた23歳戦場カメラマン志望のジェシー（フィルムカメラを装備）、この4人でワシントンDCを目指す。（ホワイトハウスを目指すんじゃないの？）

アメリカ合衆国の地理が頭に入ってないと混乱するかも。僕は混乱した。

最初のガソリンスタンドで虐殺されそうな人、ザ・暴力に遭遇してジェシーはショックをうける。その後に内戦の銃撃戦の現場を取材、ジェシーはジョジョに成長していく。
平和が維持されている街もあったりして（実際は監視下にある）その中での交流とかで、リーとジェシーは理解を深めていく。謎の狙撃戦などを経て、徐々に危険度が増す中、以前の仲間に出会うと同時に、誰だからわからない私兵につかまり死にかける。2名が死亡、1名が銃弾を受けのちに死亡。ここで「どんなアメリカ人だ？」が出てくる。香港出身の仲間は速攻で殺される。

その後、西部連合の軍に身を寄せ、ワシントンがすでに落ちたことを知り、インタビューがもうできないかも、となり落ち込む。仲間も死んでるし。
だが、最後のワシントン攻めに同行して大統領府への地上戦がスタート。ジェシーは攻めていって、リーは戦場カメラマンとしてのアイデンティティを失う。

ジェシーが死にかけるのを庇ってリーが銃弾に倒れる。ジェシーはリーが自分の代わりに打たれるところをカメラにおさめる。道中でそういう話をしていた。
大統領が捕まり、即殺害の命令が出ていたが、主人公チームの男性が制止して西部連合軍が殺す前にインタビュー「俺を殺させないでくれ」と答える大統領に、もう十分だと悟ってそのまま軍人たちが射殺。映画は終了する。

全編にわたって、おそらく米国の懐かしい曲が流れている。けっこう曲がうるさい。