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【詩】Marmalade

「おはよ」と言えば「おはよう」と返ってくる そんな日常が憎かった
僕の聞きたかった目覚めはこんな煩わしいものではない 好きでもない人間の声と始まる朝は、この上なく不愉快である
理想はあまり話したことのないあの子
たまに世間話と恋バナをする、華やかなあの子の「おはよう」で目覚めてみたい そう思うとどうにもダサ過ぎてムカつくけれど
マーマレードジャムを乗せたトーストを齧りながら、うるさく囀る君と
一度の朝だけでいい、結婚してくれ
白昼堂々そんな夢を描ける程度の肝はあるのに、口には出せない
朝食のラズベリーティーは、何故か今日もほろ苦い

作家修行中。第二十九回文学フリマ東京で「宇宙ラジオ」を出していた人。