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HSPとADHDの「併発」またはその「可能性」

最初に

HSPの人はそうでない人と比べると刺激に弱くて疲れやすく、生きづらさを抱えて生活している人も沢山いるのではないでしょうか。

一方ADHDは発達障害のひとつであり、HSPと似たような特徴を持っていることがあるため、ADHDの診断を受けている人で「もしかして自分はHSP?」と感じている人もいるかもしれません。

また、HSPの人でADHDかもしれない、または併発するのか気になっている人もいるかと思います。

今回はADHDとHSPの違い、併発する可能性、ADHDとHSPを両方持っている場合の特性について紹介します。




ADHDとは何か

ADHDとは発達障害のひとつで注意欠如・多動症と言われています。

ひとつの物事に対して注意を長続きさせることができない、順序立てて行動することができない、すぐに気がそれて別のことを始めてしまう、落ち着きがなく行動が抑制できないなどといった特徴が持続し、日常生活に支障がでている場合、ADHDであると診断されます。

これらの特徴を持っていることで学校や職場、家庭など複数の場面で困難が発生し、良好な人間関係を築けないなどの問題が起き、患者本人の自己肯定感の低下や自尊心を失うことも少なくありません。

本人の意図とは別に身体が動いてしまったり注意力が散漫になってしまうため、先生や親から厳しく叱責されることが多く、「頑張っても怒られてしまう、何をしてもだめな自分」という自己否定の感情を持つようになってしまいます。

対人関係や学業不振によって気分の落ち込みや不安感の増幅など、こころの病気を併発してしまうケースもあります。




ADHDとHSPの違いとは

ADHDは精神医学に基づく障害に分類され、HSPは生まれつき持っている気質として定義されたものです。

ADHDは脳機能の障害なので精神科での診断ができますが、HSPは心理学的な気質なため一般的には診断することができないという大きな違いがあります。

しかし、HSPが障害ではないからといって軽視していると、他のこころの病気を併発してしまったりうつ病に発展してしまう可能性があるので、些細なサインを見過ごさないことが大切です。

生きづらさを抱えているという点ではADHDもHSPも同じであるため、放置せずに何らかの対策を講じる必要があるでしょう。

また、「自己のコントロール力」があるかどうかもADHDとHSPの違いとして挙げられます。

ADHDの人は多動性や衝動性があり、物事を考える前に行動してしまう特徴があります。
一方、HSPの人は物事を深く考えて注意深くなる傾向があり、考えすぎて動けなくなってしまうことがあります。

たとえば、思ったことをすぐ口にしてしまうADHDに対し、HSPは人の顔色を見て考え込んでしまうためなかなか本音で発言することができないというような違いがあります。

ADHDとHSPの見分け方としては、多動性・衝動性・自己のコントロール力があるかどうかがポイントとなります。




ADHDとHSPは併発する?

ADHDとHSPは共通する部分もありますが、実際は似て非なるものです。
ADHDは脳機能が他の人と異なることで起こる障害で、HSPは生まれ持った気質なので後天的にADHDを併発することはないと言われています。

しかし、もともとADHDとHSPの両方を持っていて症状が併発しているというケースはもちろんあります。

ADHDとHSPの両方を持っている場合、コミュニケーションがうまく取れなかったり、感覚過敏や感受性の強さ、特定の物事に対するこだわりなど複数の特徴が混在している可能性があります。




ADHDとHSPの両方を持つ場合のメリット

細かい作業や物事に対する注意力を保つことができる

ADHDは注意力が散漫になりやすく、細かい作業やひとつの物事に集中することが難しいという特徴を持っています。
集中しなければいけない作業を割り当てられるとイライラしたり、パニック状態になってしまうこともあるでしょう。

これに対してHSPは、緻密な作業をしたり物事をじっくり考えることが得意です。
ADHDの診断を受けていても「細かい作業が苦ではなくイライラしない」という場合は、HSPの性質を持っている可能性があります。




人の感情に敏感なため失言や衝動性が減る

ADHDは人の感情に共感することが難しく、思ったことをそのまま口走ってしまうので意図せず他者を傷つけてしまうなどのトラブルが生じやすいところがあります。

しかし、HSPの気質を持っていると人の感情に敏感になるため、相手が傷つく言葉を察知しやすく、失言することが少なくなります。

また、慎重に考えてから動こうとするHSPの気質によって、衝動的に行動してしまうことも減ります。
ADHDの人で「よく考えてから動くタイプ」だという人はHSPの可能性があるでしょう。




クリエイティブな分野に活かすことができる

ADHDとHSPの人は、両方ともクリエイティブなことに関心を強く持っている場合があります。

ADHDは次から次へと興味や関心が移り変わり、新しいものに心を惹かれる傾向があるのでクリエイティブなことにも活かすことができます。

ひとつの考え方にとらわれずに自由な創造力を働かせることができるので、芸術面において優れた才能を発揮することがあるでしょう。

そして、HSPは感受性が高く芸術的なものに惹かれやすいという特徴と情報を深く読み取る力があるので、分析力を活かしてクリエイティブの方面で活躍できる可能性があります。




ADHDとHSPの両方を持つ場合のデメリット

マルチタスクに追い込まれやすい

ADHDは複数の物事に対して興味を持ちやすく、さまざまなことに手をつけてしまう傾向があります。

気づいたときには「マルチタスクに追い込まれていた」ということもあるのではないでしょうか。

優先順位をつけたり、順序を決めて作業をこなしていくことが苦手なのでやることが山積み状態になってしまう恐れもあります。

HSPはこの「マルチタスク」が苦手な傾向があり、ADHDと併発している場合はなかなか仕事が終わらずに残業が続き、ストレスが溜まりやすい状態に陥る危険性があります。



興味が移りやすく中途半端になりやすい

HSPは周囲の状況を常にセンサーのように捉える性質があります。

そのため、そのセンサーによって他の物事が目につき、より興味が移りやすくなる傾向があります。

そして、ADHDは次から次へと興味の対象が移りやすく飽き性でもあるので、この2つの性質を合わせると物事が続かずに中途半端になりやすくなってしまいます。



キャパシティを超えて行動してしまう

HSPの「周囲をよく観察してよく気が付く」性質と、ADHDの「気になるとすぐ行動に移す」ことはメリットにもなり得ますが、「一度気になってしまうと動かずにいられない」という状態には注意が必要でしょう。

本来HSPは動くことよりも考えることが得意なので、ADHDの多動性・衝動性によって自分のキャパシティを超えるほどに必要以上に行動してしまい、より多くの刺激を受けて適応障害などを発症してしまうケースがあります。

精神的な負担を感じやすいので、自分のキャパシティを知って、できるだけリスクを避けた行動をとるようにしなければなりません。

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