「ミケル・バルセロ展」東京オペラシティアートギャラリー
新宿で、急に予定が無くなってしまった。
しかたがない、映画でも見るかと思ったが、観たいと思える映画はみな時間が合わず、さあどうしようかと色々調べて見つけたのが東京オペラシティアートギャラリーの「ミケル・バルセロ展」。
聞いたことのない名前。
「ミケル・バルセロ(1957~)は、1980年代より欧州を中心に精力的な活動をおこない、現代芸術を牽引する美術家の一人として評価されています」とのこと。
現代芸術かあ・・・。
現代アートってのはあまり興味がわかなくて、よく行く国立近代美術館でも現代アートの部屋はすーっと素通りしてしまうことが多いのだが。
でもまあ、行ってみるか、というあまり気乗りしない感じで行ってみたのだが、これがとても良かった。
東京オペラシティアートギャラリーというところも初めて。
綺麗だし、思ったより広い。
2フロアあって、下のフロアは天井が高いのが良い。
サイズの大きな絵、それに陶芸、それに彫刻。
サイズが大きい、ってのはそれだけで「スゴイ」って思わせるところがあるな。
いわゆる絵画作品(平面作品)なのに凸凹してるもの・・・油絵のすごい厚塗りとか、何か別な素材を張り付けたりとか・・・はあまり好みではないのだが、この人の作品にはちょっと有無を言わせない迫力がある。
しかし写真だと全然迫力が伝わらない。
この絵とか、なんとも言えない不穏な空気を感じたのだが、写真に撮って観てみるとあんまり感じられない。
この絵も、動きのない題材なのに妙に躍動感のある絵だったのだが、これも写真だとあまり・・・。
大きさと質感が伝わらないからか?
上のフロアは逆に天井が低い。
こちらには割と普通の大きさの絵が多かった。
キャンパスを黒く塗ってから漂白剤で色を抜いていくという手法で描かれた肖像画が何枚か。
ちょっとレントゲン写真ぽくて面白い。
アフリカをモチーフにした絵など。
一番好きだったのはこのスケッチブック。
× × × × × ×
美術作品を見る時に、
「作者の表現としての作品を鑑賞する」
という、とくに考えるまでもなく当たり前のこととされていることを、いろんな角度から再検討する、っていうのが現代アートなのかな、と勝手に思っていて、だから興味深いものにはなっても、きれいな絵を見て「きれいだな」と思うような素朴な感動からはどうしても遠くなるし、頭でっかちにもなりやすい。
そういう意味では、このミケル・バルセロは全然(ぼくの思う)現代アートではなくて、わりと古典的な「芸術」という感じがした。
すごくエネルギーを持った芸術家が、その個性の表現として作品を作り、それを私たちが鑑賞する、という、ある意味すごく昔ながらの芸術鑑賞。
堪能しました。
(3月25日まで)