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junaida『の』
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渋谷のラジオ「BOOK READING CLUB」で紹介されていたのをきっかけに手に取った。
細やかな描き込みと、繊細でありながらときに大胆な色遣いの絵本。
絵柄の印象もお話の背景も、どことなく外国風である。
「の」という助詞を使って、どこまでも空想をつなげていく。
どんどん小さい世界へ潜り込んでいく様は、これとは正反対だけどカメラをどこまでも引いていくようなイシュトバン・バンニャイ『ZOOM』を思い出したり。
御伽話のような、幻想的な着想も楽しい。
かと思えば、途中で突飛な跳躍もあり、こちらの予想は軽やかにひっくり返される。
時を超えたり、絵の中に入って行ったり。
何より、最後は出だしの「わたし」と連結しているところが見事。
あり得ない旅を一周して、また元に帰ってくる気分を味わった。
つまり円環しているこの本は、ページの最後から最初に向かって、逆に読み進めることすらできるのだ。
明日まで、代官山の蔦谷書店でもjunaida(ジュナイダ)さんの新作に関連して小さなフェアが開催していて、少し覗いてきた。
すでにこれだけ多数の作品がある人とは知らなかった。
絵本だけでなく、挿絵を担当しても独自の表現は確立させているし、画集のようなものはパラパラとめくるのがもったいないぐらいの描き込み。
また時間を取って、一冊ずつ丁寧に読んでいきたい。
junaida『世界』刊行記念フェア